一般的に優良会社の条件として無借金であることがあげられます。しかし、無借金会社にも、支払手形がある無借金会社、決算期末のみ預金で借入金を返し無借金にする会社、預金が借入金より多い実質的無借金会社があります。
支払手形と借入金どちらを早くなくすべきかは、当然、支払手形です。会社は振り出した手形が落とせないときに全ての銀行と取引停止になり倒産します。銀行に借入金が返せなくても、その銀行のみリ・スケジュールの交渉をすればよいわけです。ですから、支払手形のない会社は倒産する確率は低いわけです。反対に無借金でも支払手形の多い会社は、手形を落とすため資金が必要なとき、銀行との借入実績、返済実績がないため資金調達が出来ず、倒産する確率が高くなります。支払手形はないほうが安全です。
ではどうしたら支払手形をなくせるかを考えてみます。年商15億、仕入12億(月1億)、受取手形4億、支払手形3億の会社があります。支払条件は全て3ヶ月の手形です。損益からみると、手形払いを現金払いにすると、手形の中には利息や危険負担リスク料があり、また、手形割引の枠が増え、他の手形を割引できるので、仕入先は3ヶ月位の手形なら、2%位は値引き交渉が出来ます。年間仕入12億なら2%として、@年間2,400万円仕入値引きができます。この支払手形3億円を何で調達するかに気を付けて下さい。長期借入金で調達すると、5年なら年間6,000万円の返済。この原資は利益なら1億円以上の利益の増加が必要です。普通は無理です。では全て短期借入金なら金利3%として、A3億×3%=900万円の利息で、@−Aで年間1,500万円の差引利益増加ですが、いつまでも借金が減らないのでは、会社の体質はよくなりません。そこで、資金別貸借対照表をイメージして下さい。(1)現預金で2,000万円、(2)売上仕入資金で3,000万円、(3)短期借入金で1億円、(4)割引手形で1億円、(5)長期借入金で1億円、その他にも固定資金の運用の部からの資金調達も考えます。支払手形を退治することはキャッシュ・フローに大きな影響を与えますので、資金の調達方法に注意して下さい。
何故無借金を目指すのか、それは、会社の利益とお金の流れが近づくので、数字に弱い中小企業の経営者にわかりやすく、会社がつぶれない体質になるからです。世の中には、家賃を払うのはもったないからと自社の工場、店、本社を持ちたがる経営者の方は多いのですが、自社の物件を持つと、賃借しているときより税金を含めてはるかに多くの支出になります。そして、見せかけ上の利益は出るので、経営者が儲かっていると錯覚してしまいます。私は大きく成長しようとする会社は借金は絶対必要だと思っています。また、内部蓄積の厚い会社が自己資金を補填して設備投資するための借金も必要だと思います。安定成長を目指す多くの中小企業は長期的に無借金を目指すべきです。経営者の皆様、資金別貸借対照表の借入金を消して0と記して下さい。その資金を何で調達するのか、イメージして下さい。未来のバランスシートを。未来のバランスシートを作るのは、経営者のイメージ力です。決意です。そのために経営計画が絶対必要です。数年後に支払手形なし、借金なし、預金数億円の会社をイメージして下さい。見えるはずです。社長と社員の幸せそうな笑顔が。
古田土 満
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