|
業務ミスゼロ、不良品ゼロ、事故ゼロ、生産ロスゼロ等社内のムダを省き、生産効率を高めるためにゼロを目標とするスローガンを掲げチャレンジすることは大事なことです。しかし、クレームゼロを目指すことが正しいのか、私は疑問に思っています。クレームは社内のことでなく、お客様との関係で発生するからです。3月に会計事務所の勉強会である税理士さんがうちの事務所ではクレームゼロを目指していますと発表しました。周りの先生方も当然のように聞いていました。私は会計事務所がクレームゼロを目指すとどうなるかを考えました。結論は社員が嘘吐きになるということです。社員が嘘をつくと一番の被害者はお客様です。会計事務所の仕事は専門性からミスをしてもお客様に気付かれないことがあります。私達はお客様に迷惑をかけお客様からクレームをいただくことがあります。これは誠意を持って対応させていただきますが、ミスのなかには、私たちだけが気付くミスがあります。そのミスを黙っていればお客様が損をしてもお客様に言わなければそのまま過ぎてしまうことがあります。これはお客様に嘘をついていることになるわけです。会社がクレームゼロを目指して行動すると、社員は成果を出すためにクレームを隠すようになります。また、クレームの責任を社員に課すと自分で負担したくないのが人情ですから隠すようになります。ですからクレームについての責任は一切問わない。当方のミスでお客様に損害を与えた場合には、その損害額は全て会社負担とし、個人には負担させない。ただし、クレームの報告、連絡を怠ったものは責任を追及し、処罰するようにしています。お客様に迷惑をおかけしたことを上司が知り、上司がお詫びの言葉を言うようにしています。社員と会社が正直で誠意を持って対応するためにも会社に内部蓄積をしておかなければなりません。人間は弱いものですから「貧すれば鈍する」でミスを隠します。「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあります。
私達は以前クレームをラッキーコールと呼んだことが一年だけありました。清水英雄さんから学びました。しかし、止めました。社員がクレームの重みを自覚しなくなったからです。私達の会社のレベルが低いため、お客様からのクレームが担当者とお客様で、問題に対する温度差が原因で事の重要性に気付かなくなってきました。お客様がクレームを言われるとき、どのような気持ちで言われるのか、きつく言い過ぎたと後悔する方もいると思います。お客様に心配をかけないようにするためにもクレームはお客様の立場に立って、誠心誠意スピードを持って対応しなければなりません。また、クレームは発生したら大騒ぎして社員全員がわかるようにして、全員でお客様にお詫びできる会社にしたいと思っています。上司が大声でお客様にご迷惑をかけた社員を叱る、お客様のことを考えないで仕事をしている社員を叱る、こんな会社でないとクレームはいつまでも発生する。社員を大声で叱れない上司は社長の信頼ばかりでなく、部下の信頼もなくしていることに気付くべきです。
古田土 満
|