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貸借対照表中心の経営へ
平成20年8月号

 

 多くの経営者は損益計算書中心の経営を行なっており、経営者の経営能力は増収増益を何期連続しているかによって評価されています。まず増益(税引前利益の増加)はよいのですが、増収(売上の増加)のみで増益にならない場合は、自己資本額が増えないのに、売上債権(受取手形・売掛金)や棚卸資産が増えます。さらに売上アップのために設備投資まですれば総資産はさらに増加し、自己資本比率は下落します。総資産が増えて、自己資本が増えないということは、借入金が間違いなく増えているということです。借入金依存度は高まります。次に増益でも利益以上に売上仕入資金(資金別B/S)のマイナスが増えたり、棚卸資産が増えると、実質損益資金はマイナスになり、儲かっているのに資金不足になり黒字倒産になります。多くの上場会社が倒産する直前の決算書は黒字です。会社は赤字だから倒産するのではなく、お金がないから倒産するわけです。会社が増収・増益にこだわる1つの理由に銀行の格付があります。銀行の格付は営業利益・経常利益を多くして流動資産を多くし、流動負債を少なくすればよくなるようになっています。銀行が一番重視している債務償還年数は借入金を償却前利益で割って計算します。しかし、借入金の返済は償却前の利益ではできません。P/Lの科目でB/Sの科目である借入金は返せません。借入金の返済は同じB/Sの科目であるお金(預金)でしか出来ません。仕訳をしてみれば納得できると思います。借入金を返済するためにも預金を増やす経営、キャシュフロー経営しながら、自己資本額を高めることを念頭に、企業を発展させなければなりません。

 貸借対照表中心の経営のポイントは、自己資本額(自己資本比率)と手許預金額です。中小企業の目安は、絶対的な額ではなく、比率とか1人当たりの額です。1人当たりの生産性とか1人当たりの利益、1人当たりの自己資本額等で計算すると日本一になれる中小企業もあります。ゴキブリダンゴで有名な潟^ニサケは1人当りの提案件数ではトヨタを抜いて日本一だそうです。我々中小企業の目安となる1人当たり自己資本額は1人当たり1,000万円位だと思っています。30人の会社なら自己資本額は3億円、100人なら10億円です。古田土会計グループは6.8億円で110人ですから1人当たり680万円です。中小企業では、自己資本比率40%を目安にしながら額としてはまず1億円。やがて1人当たり1,000万円を目指すべきと思っています。次にいくら自己資本額が多くてもお金が残っていなかったら会社は簡単に倒産します。留保しておきたい資金の目安は社員と家族を守るためにできたら給料の1年分。少なくとも月給の6ヶ月分は必要です。理想的な貸借対照表は結果として出来るものではなく、経営者の強い意思で作り上げるものです。それは資金別貸借対照表で支払手形ゼロ、借入金ゼロ、預金○○億円とまず入れて見ます。これを実現するために長期経営計画が必要です。理想的なB/Sは利益を出すだけでは時間がかかりすぎます。仮払、貸付、投機等に無駄な資金が流れていないか、土地・建物等の固定資産は本当に必要なのか、貸借ではダメなのか、売上・仕入資金が大きくサイト負けしているのをどう改善するか。棚卸資産はどの位減らせるか等を長期的に改善しながら、足りない分を利益で埋める。この利益の計画が長期利益計画です。効率のよい経営をするためにも経営者・幹部は貸借対照表中心の経営をすべきです。

古田土 満

 

 

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