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売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い②

売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い②

「資金別貸借対照表の見方が知りたい!」
「どこを見れば会社が倒産しそうかわかるの?」

などとお考えの方はぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』やすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、前回に引き続き「売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」です。前回は売上や利益が増えるとむしろお金が足りなくなること、儲けたお金がどのように消えてしまったかは資金別貸借対照表で確認できることなどを解説しました。

前回の記事はこちら
↓↓↓
https://www.kodato.com/blog/p7798/

この記事では、資金別貸借対照表についてさらに詳しくお伝えしていきます。経営者の方はお金の使い方で失敗しないためにも、以下の内容をぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

資金別貸借対照表の概要

まずは前回に引き続き、儲けたお金がどこに消えたのかを知るのに有効な資金別貸借対照表について解説します。資金別貸借対照表は、「損益資金の部」「固定資金の部」「売上仕入資金の部」「流動資金の部」の4つから構成されるツールです。

◯「損益資金の部」「固定資金の部」について

図1:資金別貸借対照表・損益資金および固定資金の部の見本

資金運用 資金調達
【損益資金の部】
前払費用 前受収益
長期前払費用 引当金
不渡手形 未払法人税等
利益準備金
その他の利益剰余金
前期繰越利益
小計 小計
差繰越損益等
売上原価 売上高
販売管理費 営業外収益
営業外費用 特別収益
特別損失
法人税等 (税引前当期利益)
仮払税金等 (当期利益)
資金運用 資金調達
【固定資金の部】
卸売資産 長期借入金
建物・構築物 役員借入金
機械装置等 社債・転換社債
土地 長期未払金
無形固定資産等 その他固定資産
投資等 長期負債調達額計
繰延資産 資本金
減価償却累計額 資本準備金等
資本金等計

資金別貸借対照表における損益資金というのは、会社が儲けた資金です。『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』のp.120、p.121に記載されている事例では、損益資金は8億5,700万円となっており、これがこの会社の儲けた資金を意味します。

一方で固定資金のうち、資本金や資本準備金は株主から調達した資金、長期借入金は銀行から借り入れた資金になります。そのほか、役員からの借入金や社債も含めて、固定資金の部では調達したお金はすべて同じ位置付けです。

そのため、固定資産の部における調達の資金が、会社が返さないといけない総額になっています。そして長期的な資金の運用を表すのが、固定資金の部の左側に相当する「固定資金の運用」です。

熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』の事例では、固定資金の部で6億6,700万円のマイナスが出ています。

◯「売上仕入資金の部」について

図2:資金別貸借対照表・売上仕入資金の部の見本

資金運用 資金調達
【売上仕入資金の部】
受取手形 支払手形
売掛金 買掛金
前受金 前渡金
未成工事支出金 裏書手形
安定資金合計※

※損益資金+固定資金+売上仕入資金

売上仕入資金の部は、売りと買いのサイトの勝ち負けになっています。例えば、粗利が3割の場合、売掛金10万円に対し仕入が7万円のように10:7になるのが原則です。

そのため、売上仕入資金に売上と仕入以外のその他の資産は含まれません。あくまでも入金条件と支払い条件の資金のバランスを見るツールになっています。「受取手形+売掛金+α」と「支払手形+買掛金+α」の勝ち負けで、入金と支払いのバランスを表しているのが売上仕入資金の部です。

熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』に掲載の事例では、この売上仕入資金の部で3億4,500万円のマイナスが出ています。売上債権等が6億8,200万円なのに対して、買掛金が3億3,700万円であり、その差が3億4,500万円です。

またこの会社の場合、損益資金と固定資金、売上仕入資金の合計である安定資金合計では、1億5,500万円のマイナスになります。

◯「流動資金の部」について

図3:資金別貸借対照表・流動資金の部の見本

資金運用 資金調達
【流動資金の部】
未収入金 短期借入金
有価証券 割引手形
前払金 短期調達資金額計
立替金 未払金
短期貸付金 預り金
その他流動資産 未払費用
仮受(未払)消費税
仮受金
その他流動負荷
超短期調達資金額計

上記のように、短期借入金や割引手形は流動資金に含まれます。

熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』の事例では、短期借入金と割引手形の合計が5億2,000万円、それを含めた流動資金の合計が5億4,000万円あります。

◯資金別貸借対照表で見る会社の危うさ

以上より、この会社の資金の合計は以下のように表現できます。

図4:『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』掲載事例の場合

資金別貸借対照表
損益資金の部 8億5,700万円
固定資金の部 ▲6億6,700万円
売上仕入資金の部 ▲3億4,500万円
安定資金合計 ▲1億5,500万円
流動資金の部 5億4,000万円
合計 3億8,500万円

このように分類すると、この会社がいかに危ういかがお分かりいただけるでしょうか。この会社の損益資金は8億5,700万円、つまり内部留保は8億5,700万円もあるにもかかわらず、最終的な資金は3億8,500万円しかない。

この原因は、固定資金の部にあります。長期的な資金の調達がまずいわけです。

図5:この会社の「固定資金の部」

資金運用 資金調達
【流動資金の部】
11億円 4億3,300万円
合計 ▲6億6,700万円

長期的な運用が11億円なのに対し、調達が4億3,300万円しかないので6億6,700万円ものマイナスが出ています。そのため、せっかく稼いだ8億5,700万円がここでほとんど吸い込まれてしまうわけです。

またこの会社の売上仕入資金はマイナス3億4,500万円。入金条件と支払い条件の勝負で3億4,500万円のサイト負けを起こしているので、安定資金の合計では1億5,500万円のマイナスが出ています。

・短期借入金等が多いと銀行次第で倒産する

この会社は安定資金合計で1億5,500万円のマイナスを出していますが、図4の通り、現実にはお金が3億8,500万円あります。なぜなら短期借入金・割引手形5億2,000万円を含む5億4,000万円の流動資金があるからです。

ここにこの会社の危うさが集約されています。要するにこの会社は現実に持っているお金(3億8,500万円)よりも、短期借入金と割引手形の金額(5億2,000万円を)のほうが多いわけです。

そのため、もし銀行が「短期を返せ」「もう短期は貸しません」「手形も割引ません」などと言ってきたら、この会社はあっという間に3億8,500万円の預金を失い、倒産してしまいます。資金別貸借対照表を見るとこうしたことがはっきりと分かります。

資金別貸借対照表では、1年の動きも見ることができます。

また例の会社で見ていくと、この会社は1年間で損益資金が4,400万円増えましたが、固定資金は7,130万円減っています。どうして固定資金が減ったかというと、長期借入金が4億8,200万円から3億3,200万円に減っている、これが原因です。そのほか、繰延資産や投資等も減っています。

その代わりに何が増えたかというと短期借入金や割引手形です。短期借入金は2億7,000万円から3億4,000万円になっています。

長期借入金が減って短期借入金が増えたのは、銀行に「長期でお金を貸していたのでは危ない」と判断され、短期でしか貸してもらえなくなったからです。

◯資金別貸借対照表を見れば粉飾もわかる

あとは、売上仕入資金の部の買掛金も4,000万円くらい減っていますが、これはこの年の損益資金の増加分とほぼ同じ金額です。このことからこの会社はもしかしたら粉食をしているかもしれないことがわかります。

要するに4,000万円の利益を出すために、わざと買掛金を計上しなかったということです。そうすれば損益を4,000万円増やすことができます。

しかしながら、売上仕入資金は4,000万円マイナスになるわけなので、損益資金の部と売上仕入資金の部を合わせて見ると、プラスマイナスゼロになって利益はゼロであることがわかります。いくら粉飾したとしても資金は粉飾できません。

これは帝国データバングである会社から分析してくれと頼まれた事例です。私のほうで分析してみると、「ひょっとしたらこの会社は粉飾をしているのでは」となったものなので、数字や年度を変えながら資料として使っています。

この粉飾が疑われる資金別貸借対照表を詳しくご覧になりたい方は、ぜひ『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』をお手に取ってみてください。

資金別貸借対照表を使うことの意義

危うい会社の場合、資金別貸借対照表を見ると、儲かった利益がほとんど固定資金と売上仕入資金に消えていくのがはっきりわかります。これは前回の「儲かれば儲かるほどお金が足りなくなる」という話にも通じます。

儲かった利益はほとんど会社に残っていませんが、足りない分を短期借入金や割引手形で調達するので、現実にはいくらかお金があります。しかし、損益資金と固定資金、売上仕入資金の合計である安定資金はマイナスです。

このマイナスが続いていき、さらにマイナスの金額がどんどん膨らんでいくと、短期借入金や割引手形が増えて、預金が減っていきます。このように考えると、安定資金のマイナスが2期・3期と続くと、「この会社はもう倒産するな」というのがわかります。

こうしたことはバランスシートではわかりません。資金別貸借対照表だからこそ、どこに問題があるのかがわかります。資金別貸借対照表を見ると会社の中身がはっきり見える、これが資金別貸借対照表の意義です。

ちなみに我々は月次決算書を作る際、必ず月次決算書に資金別貸借対照表を付けています。そして月次の段階でも前年同月と比較して損益資金がどうなかったのか、固定資金がどのように変わったのかなどを見るようにしています。

そうすることによって、儲かった利益がどこに消えたか、またはどこを改善すべきかという未来のバランスシートを作るときに大変便利です。我々はすべて「未来会計」で未来のP/Lを作りましょうということでやっています。

儲けた利益はどこに消えたのかという1年間の動きはキャッシュフロー計算書で把握することが可能です。そして、資金別貸借対照表では、過去の儲けた利益が今現在どのように使われていて、これからどのように改善すべきかをチェックできます。

◯【ポイント】資金別貸借対照表ほど優れた資料はない

私は、資金別貸借対照表が最も優れた資料だと思っています。普通、プロでもバランスシートを見て問題点をすぐ指摘することはできません。倒産した会社を見て「あの会社はもうすぐ倒産すると思った」なんて本に書くコンサルタントもいますが、それは嘘っぱちです。

会社がちゃんと生きているときに倒産するということを予言できる人なんて現実にはほとんどいません。我々プロが見ても正確にわかるわけではないのです。ただし、倒産の「兆候」はわかります。

先ほど例にとった会社のように、損益資金があるけれど、それが固定資金と売上仕入資金にほとんど吸い込まれていて、安定資金がマイナスであるケースは危ういです。安定資金のマイナスが増えると、短期借入金や割引手形も増えていくわけですが、これには必ず限界があります。

短期借入金を増やすのには限界があり、割引手形に絶対に限界が来るので、その会社がもうすぐどうなるかということは想定できるわけです。

まとめ:損益資金が固定資金・売上仕入資金に消えると危うい

資金別貸借対照表を見て、損益資金はあるけれど、それが固定資金と売上仕入資金に吸い込まれて安定資金がマイナスになるようだと、その会社はかなり危ういです。短期借入金や割引手形に限界が来ると、お金が足りなくなって倒産してしまいます。

そのような問題点を指摘するのに、資金別貸借対照表は非常に優秀です。

なお、資金別貸借対照表も含め、会社の経営に役立つ数字を可視化した資料として、当社が毎月お客様にご提供している月次決算書サンプルをプレゼントとしてご用意いたしました。

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