経営計画書は事業承継の引継書です
事業承継といえば多くの経営者は相続税対策のために株式を子供等へ譲渡することをイメージすると思います。
よく銀行さんが相続税対策のための提案をいくつも持って来ます。
ただしその提案は銀行さんにとって都合のよい提案が多く、本当にお客様にとって最良の提案ではないことが多いものも事実です。
私達に必ず相談して下さい。
文書化することによって経営が引き継がれます
私が今日言いたいのは、事業承継の財産権のことではなく、経営権のことです。
会社は株式を50%以上所有する者のものです。
後継者が50%以上所有し財産権を手に入れ経営者になったとしても、その者が前経営者を否定するような言動をとったり、
自己中心的な経営をしたら社風ががらっと変わり、社員ばかりでなく、得意先、仕入先の方々も将来に不安を覚えると思います。
誰を後継者に選び、どのような経営をしなければならないのか、を教えてくれる教科書が経営計画書です。
私にとって後継者としての一番の条件は会社の使命感や経営理念を本気で実現しようとする人財であることです。
たとえ子供でも会社の経営理念の実現に取り組まない者は、社長にすべきではありません。
社長は経営計画書を作らなければ、自分の想いを後継者に正しく伝えられないことに気づいてほしいのです。
文書化することによって経営が引き継がれます。
私達古田土会計Gは経営計画書に「創業者が後へ続く者たちへ伝えたいこと」として経営者と全社員に文章ではっきり書きました。
特に経営者には5つのことを書きました。
要約すると
(1)本業以外への事業へは手を出さないで下さい。
(2)社長の仕事は社員のモチベーションを高くして、社員が頑張れば利益の出る商品、サービス、ビジネスモデル、
販売方法を時代の変化に合わせて変えていくことです。社員にうしろ姿を見せて、尊敬されることです。
(3)社員教育は社長がして下さい。挨拶・掃除・朝礼の3つの文化は守って下さい。社員教育は儲けるためではなく、社員の人間性を高め、
社会に貢献するためです。
(4)社長が一番大事にすべきは、社員とその家族を幸せにすることです。自分とその家族を一番大事にするような経営をしないで下さい。
(5)自分の利益より会社の利益を優先させる。経営者は社員から見て社長だけが得していると思われてはならない。
特に公私混同と自分の家族のみを特別優遇することは控える。(経営計画書P13)
学んだ哲学を実践すれば業績はぐんぐん上がる
稲盛和夫氏が塾長をしている盛和塾が今年の12月で解散します。
私が知っている経営者で最も尊敬し学ぶべき人は稲盛氏だと確信しています。
京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸せを追求し…」です。
この理念こそ最高です。他の大企業にはない、社員第一主義の考えです。
稲盛さんは、会社(社長)は全社員を大切にして幸せにするのが経営の目的で、
社員から尊敬されることが大事だと我々中小企業の経営者に教えてくれています。
古田土会計が日本中の中小企業に広めたい「人を大切にする経営計画書」のモデルです。
社長は後継者に京セラのようなフィロソフィーや経営計画書を作成し事業を引き継がせることが経営権の承継で大事です。
財産権よりもはるかに重要です。
稲盛さんは、社長と社員が一体となる方法、社員が1人でも利益を出してその1人を幸せにできたら立派な経営、
また企業経営は哲学で99%決まり、学んだ哲学を実践すれば業績はぐんぐん上がるはずだ、
またフィロソフィーで正しいことをしなさい、誰にも負けない努力をしなさい、利他の心を持ちなさい、
といった道徳的価値観の大切さを教えてくれました。
そして、目の前の得に釣られて下した利己的な判断は大半の場合、
周囲に損をさせるため良くない、利他の心を持てば、回り回って結果的に自分によいことが返ってくる、
と利他の心で経営を行うことの大切さを中小企業の経営者に教えてくれています。
中小企業の経営者は是非とも稲盛経営を学び、学んだことを経営計画書に書き、実践し後継者に引き継いでもらいたいと思っています。
古田圡 満