社員は愛社精神、会社は愛社員精神
形だけでなく、心がついてくるようにするには
古田土会計の経営計画書の環境整備に関する方針に
「形より入って心に至る。
形が出来るようになれば、あとは自然と心がついてくる。」
という文章があります。
しかし、現実には形が出来ても心はついてきません。
心がついてくるようになるためには、何が必要か考えてみました。
社長がリーダーとなり社員と家族を大切にする経営をする
有名なイチロー選手の高校時代の監督、中村さんの言葉に「やらされている百発よりやる気の一発」というのがあります。
やらされ感で勉強や仕事をやっている限り、いくら努力しても、その努力は何の実りももたらさないということです。
もちろんイチローは誰に言われなくてもやる気の百発を実践した(致知1月号)。
社員をやる気にさせるのは、人事制度や給与制度でないことは、法政大学の坂本先生の3年間に及ぶ調査結果に出ています。
結論は、リーダーの人格です。
人はお金や地位よりも、また、どんな制度を作るかではなく、どんなリーダーがいるかが大事だと言っておられます。
リーダーとは中小企業では社長のことです。
人・物・金と言いますが、人とは、社長のことです。
社長が人を育て、事業を成功させ、お金を蓄積するからです。
ほとんどの社長がそう簡単に人格を高められないと思っていると思います。
しかし、方法はあります。
それは、社長が愛社員精神を持ち、社員と家族を大切にする経営をすることです。
社員の愛社精神は、社員の生活を守ることで生まれます。
社長や上司が何を語り、何をしているのかを毎日見ているうちに、長い時間をかけて、自然に育まれていくものです。
社員が全社員に「社員が一番大事」とか、「社員の幸せが大事」だといくら言っても社員は社長の行動を見ています。
私は今年の経営計画書で「創業者が後へ続く者たちへ伝えたいこと」として、次以降の社長への伝えたいことは
「自分の利益より会社の利益を優先させる」
「経営者は、社員から社長だけが得していると思われてはならない。
特に公私混同と自分の家族のみを特別優遇することは控える。
どうしても必要なら、その理由を社員に説明して、理解してもらう。」
と書きました。
社員を大切にしている会社で業績の悪い会社は1社もない
今年も3月16日に「日本で一番大切にしたい会社大賞」の表彰式があります。
ここで表彰される会社は間違いなく、社長に愛社員精神があり、社員は「自分達は会社より大切にされている」と実感しており、愛社精神があります。
ここで受賞した企業は「いままで多くの賞を受賞したけれど、この賞ほど欲しかった賞はない」と言ってくれます。
この賞は、会社の業績とか技術ではなく、社員と家族だけではなく、会社をとりまくどれだけ多くの人を幸せにしたかで決まるかです。
どんなに業績がよくても、社員満足度、顧客満足度が高くても、障がい者雇用に取り組んでいない会社は選ばれません。
4月より法定雇用率が2.2%になります。
101人以上の会社はこの条件を充たしていないと1人当たり5万円の罰金が課されます。
人にやさしい会社かどうかを見るときに、坂本先生の8,000社に及ぶ調査により社会的に一番の弱者である障がい者雇用に取り組んでいるかが一番の判断基準になるという坂本先生の信念です。
業績のよい会社で人を大切にしていない会社はたくさんあります。
しかし、社員を大切にしている会社で業績の悪い会社は1社もなかったと坂本先生は言っておられます。
社長が社員と家族を大切にする愛社員精神で経営すれば社員は会社から大切にされているということを実感し、社長を尊敬するようになり、自分だけの幸せだけではなく、会社の仲間、お客様、仕入先も大切にし、愛社精神を持つようになります。
これからは、社員を業績達成のための手段としての教育ではなく人間として成長させる心の教育が必要だと思っています。
古田圡 満