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kitanaiji 汚い字シリーズ

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出せば入る。ただし出した処からではなく別の場所から入る。

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常識のない振る舞いと優しい行動とのギャップ

 

5月30日午後3時50分東西線の南砂町で乗って来た30歳位の女性がドアの手前で弁当(スパゲティー)を食べ始めました。
回りには立っている人もいて匂いが気になりました。
私は「常識のない人だ、人の迷惑も考えろ、注意しようか」と思いながら出来ませんでした。

西葛西の駅に近づいたころ私の前に座っていた80歳位の老人が杖をついてドアの前に行ったところよろけてしまいました。
その時弁当を食べていた女性が老人の手を取り支えてあげました。
ドアが開いてからはホームの安全な所まで手を取りながら誘導して行きました。

私はこの光景に衝撃を受けました。
私の常識では他人の迷惑を考えなく非常識な行動をとる人は、他人に無関心、電車の中でも席を譲らない人と決めこんでいたからです。

老人の手を取って支えてあげ「大丈夫ですか」と優しい言葉を言える人が他人の迷惑も顧みず弁当を食べている。
このギャップが新鮮でした。

 

損得が行動の基準となってしまっている大企業

 

私は独立して今年で32年目ですが、世の中を見てきて、損得で行動して成功し続けている人をほとんど知りません。

昭和58年から平成にかけてバブルという時代も経験しました。
この時代の多くの人々は儲けるために土地、株、マンションを買い財産をなくし、借金を背負いました。
今も借金が残っています。資産は減っても借金は減りません。

人間の本質は変わりませんから世の中の多くの人々が物事を損か得かで考え行動しています。

例えば大企業は過去最高の業績で1人当たりの賞与が80万円を超えていると日本経済新聞(5/25)の記事に載っていました。
中小企業は円高のときは価格を引き下げられました。
円安の今、価格の値上げを大企業は言って来ていません。
利益を会社と社員と株主で分配していて、下請け先や仕入先の社員のことまで考えてくれません。自社のことだけ。
労働組合は、自分達のことだけ。仕入先の労働者のことを考えてくれません。

障がい者雇用でも大企業は仕事のできる身体障がい者の雇用が中心です。
精神障がい者とか知的障がい者を積極的に採用している会社は少ないのが現実です。
法律で罰せられるから、損得で判断しています。

日本理化学工業(株)のように社員の7割が重度の知的障がい者が働いている会社もあります。
法政大学の坂本光司教授ら多くの人が支援しています。

日本理化学工業(株)さんのすごいところは障がい者を支援しているのではなく、戦力として活用していることです。
彼らに合わせて製造方法を工夫して付加価値を高めています。
事業として成り立っています。

 

得は別の処から入ってくる

 

世の中に役に立つこと、社会的に弱い立場の人を支援すること、これらのことを一生懸命やっても損得で考えると損ばかりです。

しかし、得は別の処から入ってきています。
お金だけではなく、賞や社会の尊敬、社員の誇り、生きがい等、損得ではなく尊徳に変わり世の中を明るく元気にします。
私達古田土会計でもこの体験をしました。

「おもてなし経営企業」に選ばれたのは
お客様に対しては異業種交流会、これは毎年7月にお客様同士のビジネスマッチングの催し、お客様からは一切お金は頂きません。
社員では障がい者雇用。重度の知的障がい者のために社員ができる仕事を考えてくれました。
社会のためには、全社員でやる小、中学校のトイレ掃除(日本を美しくする会の法人会員)。
業界では会計事務所甲子園の開催。

これらは損得で計算すると大幅な赤字です。
しかし目に見えない、お客様や世間の評判、社員の誇りになっています。

お客様が口コミで増え続けています。
社員が明るく元気で、社長の言うことを聞いてくれます。
AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」も10日間位で作ってくれました。

出すところと入るところは違うんです。
だから損得ではなく、人様に喜ばれること、世の中の役に立つことを一生懸命やれば、すぐには報われなくてもいつかは報われるのですね。

古田圡 満