いかにして経営理念を浸透させるか
経営理念を浸透させるポイントとは
私は勉強会の講師を頼まれると経営理念のある会社の人に手を挙げてもらいます。
だいたい、いつも2割~3割です。
経営理念が浸透されていると思っている人を聞くとほとんどいません。
理念経営とか言われるように経営理念が大事なのは多くの経営者は理解し、勉強もしているのですが、社内に浸透していません。
よい経営理念をつくることが大事なのでしょうか。
私はそう思いません。
京セラ㈱のように「全従業員の物心両面の幸せを追求していく」、伊那食品工業㈱のように「社員の幸せを通して社会に貢献する」のようなすばらしい経営理念をマネして作ればよいと思っています。
ポイントは社員のことが一番大事だということを一番目に書くということです。
2番目に自社の商品・技術・サービスで社会貢献するということを書けばよいわけです。
社長は2番目の言葉を見つけるために経営理念の勉強をするということです。
次に社内で勉強会をして経営理念を理解させれば浸透するかというと私は浸透しないと思っています。
社員はすぐに理解しますが、なかなか行動できないからです。
勉強会はやらないよりはやったほうがましですが、効果はそれほどありません。
ほとんどの会社が作ることと、勉強しかしていないので経営理念が浸透していません。
行動できないのは、体にしみついていないからです。
すなわち社員が躾けられていないからです。
環境を整え、行動に落とし込む
私は経営理念を浸透させる一つの方法として環境整備を実践しています。
頭で理解するのではなく、体で覚えさせるのです。
環境整備の基本は「形」から入って「心」に至る。
「形」が出来るようになれば、あとは自然と「心」がついてくる。
具体的には、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5Sと挨拶・礼儀・規律等ですが、まず形をつくり、徹底的にトレーニング(訓練)することにより、形が揃うようになり、心も揃うようになってきます。
とくに掃除により物を磨くことにより、心も磨かれるようになります。
よい社風にするためには、掃除をすることです。
物をピカピカにし、心もピカピカにすることによって会社の文化となります。
よい社風になり、働く環境がよくなれば自然と心がついてきて、経営理念は浸透していきます。
人は勉強により意識は変わります。
ですから研修をして意識改革をすることは大切です。
しかし、意識が変わっても行動が変わらなければ何の意味もありません。
多くの会社で行動まで落としこんでいないから結果が出ていないのではないでしょうか。
行動を変えられる会社にするために環境整備を徹底してやる。
社長が方向を示すと全社員が同じ方向を向いて仕事をする、すなわち社長の言うことを社員が実行する組織になります。
行動を習慣にすることにより経営理念が実現する
行動が変われば習慣が変わります。
「躾とは習慣である」と鍵山秀三郎氏が言っておられます。
まさにその通りで社員が躾られている会社がよい社風の会社になっています。
稲盛和夫氏が短期間の間にJALを再生しました。
京セラフィロソフィーによる教育、アメーバ経営によるところが大きいと思います。
多くの中小企業でフィロソフィー・アメーバ経営の導入が成功しておりません。
JALは社員の質が高く、社員が競争で鍛えられていたから京セラフィロソフィーを理解し、行動に移し、結果を出せたと思います。
私達中小企業は社長も社員も質は高くないし、社内で競争はほとんどなく、規律もゆるく、罰も実行されていないので、言って聞かせるだけでは行動に移せません。
行動に落とし込んで訓練して習慣にすることにより、全社員が一丸となって社長の方針を実行する組織になるのではないでしょうか。
古田圡 満