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【お客様インタビュー】事業転換、社長就任、しかし会社は赤字続きの自転車操業だった…(スズキ機工株式会社 3/10)

【お客様インタビュー】事業転換、社長就任、しかし会社は赤字続きの自転車操業だった…(スズキ機工株式会社 3/10)

本連載は、社員数わずか17名ながらも年商5億円の成長企業へと転じた、スズキ機工株式会社の成功の秘訣をうかがうべく、同社代表取締役社長でいらっしゃいます鈴木 豊 社長へのインタビューを書き起こしたものです。

全10回に渡るシリーズものとなっていますので、ぜひ中小企業の経営のヒントを得ていただけますと幸いです。

▽動画も視聴いただけます

◇前回までの記事はこちら
【お客様インタビュー】売上ゼロから年商5億円に成長した社員17名の会社の転機とは(スズキ機工株式会社 1/10)

【お客様インタビュー】『ランチェスターの法則』を取り入れた戦略で新事業を展開(スズキ機工株式会社 2/10)

【出演者】
インタビュイー:
スズキ機工株式会社
代表取締役社長
鈴木 豊 氏

インタビュアー:
株式会社古田土経営
代表取締役社長
飯島 彰仁

飯島 スズキ機工様が成長したのは、顧客の声をもとにした事業の構築があったからだと感じています。しかし、社員数わずか17名という規模の会社が、どうやってここまでお客様から選ばれるまでになったのでしょうか。

鈴木さんが「ランチェスター法則」、いわゆる弱者の戦略を実践されるようになったきっかけや、経緯も含めてお聞かせください。

鈴木 まず2007年に18L缶事業から食品機械設備事業へ完全に事業転換をして、私が代表取締役に就任しました。当時の業績は赤字続きで、会社は常に自転車操業状態でしたね。土日も休まず毎日長時間、身を粉にして働いても全く利益が上がらなかったんです。

このときはまだ、ランチェスター法則についての勉強はしていませんでした。ただ、さまざまな経営指南本や成功した社長の著書などを読みながら、「自分たちの戦い方を変えなければ、この先どれだけ頑張っても何も変わらない」と感じていました。

そして、食品機械設備事業がうまくいかない理由を自分なりに突き詰めていくと、移動に時間をかけすぎているという問題があることに気づいたんです。

当時は紹介の数珠つなぎで顧客を増やしており、どんなところからの仕事も拒まずに受けていました。とにかく食べていくのが精一杯で、そのためにひたすら売り上げを作っていたというのが正直なところです。足を運ぶのに片道2〜3時間かかる顧客も結構いましたね。

得意先からの裏切りを受け顧客を近隣にしぼり込むことを決断

鈴木 あるとき、片道2時間半かかる場所にある大手食品メーカーから、「大至急作ってほしい装置がある」と依頼があり、急遽リスケして朝から社員と2人で訪問しました。

現場での採寸を済ませ、見積書と構成図面をお渡しして「ではこちらで製作を進めます」と言うと、仕様が変わったということで、突然待ったがかかったんです。社員2人で丸1日かけてこれだけ準備したのに!?と言いたくもなりましたが、仕方がないですよね。

まあそういうこともあるかと思っていたのですが、後日別件でその会社を訪問すると、私の書いた図面そのままの装置があったという…。これは明らかに図面転用でしょう、と事情説明を求めましたが、きちんとした説明は返ってきませんでした。その会社とは「もう二度と連絡してこないでください」と一切の取引を中止し、依頼を受けていた注文書もすべて破棄させていただきました。

残念な出来事でしたが、なぜこんなことが起こったのかと振り返ると、やはり顧客接点数が少な過ぎたんですよね。人が動いてなんぼの我々装置事業にとって、往復の移動で5時間人手が取られるのは正直痛手です。そういったこともあり、その会社へ足を運ぶのは、受注があったときや打ち合わせの必要があるときなど、せいぜい月に1度くらいでした。

当時は移動による時間のロスが多い、移動に時間を割けず顧客接点が築けない、顧客との信頼関係が無いがために裏切られる…など、マイナスなことばかりでした。そこで「やらないことを決めないとダメだ」と思い、車で1時間以内で行ける顧客のみと取引する・移動に1時間以上かかる顧客とは取引をしない、と絞り込んだんですよ。それは当時の私たちにとって非常に勇気のいる決断でした。

飯島 場合によっては、目の前にある売上・利益を取らずに切り捨てるということですもんね。

鈴木 取引件数は一気に4割減りました。でもその代わりに、これまで移動に費やしていた時間を、1時間以内の商圏のお客様との時間に使えるようになったんです。それからは用事がなくても顧客訪問をして、雑談などをしながら「案件や宿題はありませんか?」などと、接点を持つ機会を増やしていきました。これが効果があって、お客様からほかの仕事や系列会社の案件などをどんどん依頼されるようになったんです。結果的には、顧客をしぼり込んでから数か月以内に、売上・粗利益が劇的に改善されました。

飯島 数か月ですか。そんなに早く流れが変わるものなんですね。

鈴木 本当に早かったですね。食品機械設備事業には、打ち合わせから設計、製作、施工、研修まで3〜4か月、長いと半年費やす案件もあれば、注文をいただいた翌日に納品できる部品などの加工ビジネスもあります。そういった細かい案件を効率よく拾えるようになったことでも、業務や経営状況は相当改善されましたね。

経営計画書に明文化したことが新方針を遂行できた勝因

飯島 スズキ機工様は遠方の顧客を諦め、近隣の顧客との接点数を増やした結果、オファーを増やすことに成功しました。やはり売上向上には、信頼関係が重要な要素になるんですね。とはいえ、そういった決断を下すのは、どんな社長にとっても非常に怖いことだと思います。鈴木さんはそれをどのように克服したのでしょうか。

鈴木 確かに怖かったですね。でも、あれだけ働いても利益ひとつ出せないという結果が前提にあったので、何かを変えなければ会社の将来はないという危機感もありました。ですから、会社にとって一番の無駄は移動時間だと痛感したとき、私たちには「移動時間のかからない顧客との取引に特化する」しか生き残る道がなかったんです。

またそのころ、古田土先生の書籍『ドロくさいけど必ず結果が出る!経営計画のつくり方』を読んで、「これだ!」と、すごく腑に落ちたんですよね。その本には古田土会計の経営計画書の抜粋のようなエクセル表を収録したCDがついており、とにかく藁にもすがる思いだったので、自分でも見よう見まねでつくってみました。そのときに、事業基本方針として「車で1時間以上かかるお客様とは取引しない」「車で1時間以内のお客様との取引に、規模・業種を問わず特化する」と書いたんです。この方針は今でも変えていません。そこから事業改革をぶれずに進められたのは、こうやって明文化して挑んだことが大きく、古田土会計の経営計画書があったからこそ遂行できたと思っています。

飯島 明文化することは大切ですね。人は弱いですから、魅力的な話があればそっちに行きたくなりますもんね。

鈴木 誰でも行ってしまいますよ。でも事業基本方針にそれを書いて以来、移動に1時間以上かかる顧客からの依頼は、どんなものであってもすべてお断りしました。

飯島 ランチェスター法則における弱者の戦略の本質は、「しぼれ」なわけですからね。会社が何に集中し、何に資源を投下するかを決める際には、やはり「何でもやります」ではなく「これしかやりません」というスタンスが必要だと改めて感じます。

鈴木 私たちが月次決算書などで古田土会計にお世話になりはじめたのは、ちょうどこのころからですね。飯島さんに新方針などについて話をしたときに「そのやり方はまさにランチェスター法則ですよ」と言われ、なんだそれはと思ったのを憶えています(笑)。

第4回に続く]

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