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kitanaiji 汚い字シリーズ

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中小企業の社長は頑張っている

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マスコミが報道する賞与額と、実際の中小企業との差

 

毎年12月10日が近づくと中小企業の経営者は憂うつになります。
公務員や大企業の冬の賞与の支給予想が報道されるからです。

東京都の職員は不況でも平均100万を超えるのではないでしょうか。
大企業では、15~16%下がっても70万円を超えています。
中小企業の調査でも40万円を超えています。

何故このような結果になるかといえば、大企業は150社位の日本を代表する優良企業のみの情報だからです。
上場企業約4,000社の平均をとるともっと低いはずです。

中小企業ではアンケートを集計して調査します。回収率は20%以下です。
どういう会社が回答するか想像してみて下さい。
業績のよい会社か賞与の支給額が高い会社です。
中小企業と言っても社員100人以上の中会社です。平均勤続年数も16~18年と長く働いています。
多くの中小企業の勤続年数は10年以下であり平均年令も30歳代です。

マスコミの報道している会社と我々中小企業では規模も平均勤続年数も平均年令も全く違っているのに多くの社員が自分の賞与と報道される賞与を比較して寂しい思いをしています。

 

中小企業の社長にのしかかる責任と負担

 

古田土会計では社員が賞与が出ることに感謝してくれています。
年末調整を受託しているので中小企業の実態を実感しているからです。

500社超のうち30%弱の企業が賞与がなく、今年の夏は平均支給額は23万円でした。平均社員数26名です。
今年の冬は20万円位になるのではないでしょうか。

大企業の社長は会社が赤字でも自分の給与はほとんど下げません。
銀行借入の保証もしません。会社がつぶれても個人財産は守られます。

ところが中小企業は業績が悪くて赤字でも借金してまで賞与を支払っている会社があります。

その賞与が少ないと社員から文句を言われています。
また少ない額であることが社員に申し訳ないといって謝罪している社長もいます。

個人保証や自宅を担保してまで借金して社員に給与や賞与を払っている社長の姿を見て、自分もその立場になったら同じようにするだろうけど立派なことだと思います。
他の役員や社員とそんなに報酬に差があるわけでもないのに気の毒です。

そんな社長の気持ちは、役員や社員はなかなかわかってくれません。
黒字でも中小企業はつぶれるのがあたりまえです。
つぶれない会社にするためには社員には想像もできない苦労があるのに、それを口に出すと器が小さいと思われるので、誰にも話さず我慢します。

社員から社長になる人もいます。
社長になると個人保証、担保提供による資金調達をしなければならないので全財産がなくなることもあります。
そんな立場に理解する奥さんがいるでしょうか。
普通の人は引き受けないと思います。
役員までで社長にならなくて、批判を受けないほうが得です。

いつつぶれるかわからない中小企業の社長は人生の修行をしているようなものです。乗り越えるしかありません。

 

現状を知って、お互いに感謝する心を

 

社員の方、役員の方にもこのことを私は理解してほしいと思っています。
このような厳しい経営環境の中で会社を存続させるためには全社員の協力が必要です。

お互いに不満を持つのではなく、現実をしっかり説明してお互いに感謝する。
「こんな厳しい会社で働いてくれている社員に感謝する」
「こんなに苦しいのに毎日給与や少ないにしても賞与を出してくれる会社はありがたい。給与や賞与が出ることはあたりまえではない」
と感謝する。

社長は大事な社員を守るために社員の3倍働く。
また本業が悪い時には多角化はしない。総合化をする。本業を中心に深堀りする。

多角化は失敗すると会社自体の命とりになります。

 

古田圡 満