あなたの会社に元気と未来を届けます!

CLOSE

kitanaiji 汚い字シリーズ

アーカイブを選択してください

会社は誰のものか(Ⅱ)

PDF版はこちら / 参考資料

 

会社の株を所有している投資家は、何を目的としているか

 

去年の5月に会社は誰のものかについて、書かせて頂きました。
今回はライブドアとフジサンケイグループとの間の株の支配権をめぐって世間が騒いでいるので、私見を書きます。

上場会社で株を所有している投資家は何を目的としているのでしょうか。
会社の所有者として、会社の将来。社会的使命。社員に対する責任。等を考えているのでしょうか。

そういう考えの個人、法人投資家は皆無だと思っています。
彼らの目的は、株が上がるか下がるか、配当が高いか低いか、又は商売上の都合です。
ほとんどが投機目的です。

ほとんどのマスコミが会社は株主のものであるという、記事、テレビのインタビューを載せ、放送しています。
証券関係者に質問すれば同じ答えが返って来るのは自明の理です。

商法により会社は設立され商法のルールにより会社が運営される以上、一般的には会社の所有者は、株主であることはしかたがないと思います。

 

本当の所有者は誰であるべきか

 

では、本当の所有者は誰であるべきかということです。

「京セラ」の稲盛和夫氏は、京セラの経営理念を「全従業員の物心両面の幸せを追求して…」というように会社存在の目的を役員、社員を含む全従業員の幸福に置いています。

投資家は会社の未来、従業員の幸せをほとんど考えませんが、会社経営者と社員は自分たちの未来と社会的役割を真剣に考えています。
どちらを大事にすべきでしょうか。

財務的に見ると貸借対照表の資本の部の話になります。

資本金、資本剰余金、利益剰余金から構成されていますが、資本金と資本剰余金は株主の払込額、利益剰余金が会社の内部蓄積です。
1株当りの価値で言うと、利益剰余金が増える程、一株当りの価値は上がります。
よって、商法上の会社の利益は、社員を守るためのコストでもなく、会社存続のためのコストでもなく、株式の価値を高めるものと考えざるを得ません。

 

古田土会計の提供する資金別貸借対照表での考え方

 

しかし、当事務所が提供させて頂いている月次決算書の中にある資金別貸借対照表は、会社は、全従業員のものであると考えて作られています。

一番大事な損益資金が全従業員が設立以来稼いだ内部蓄積の合計です。
配当は損益資金のマイナスとなります。利息と同じ扱いです。
会社が安定するためには、この損益資金を増やすことです。

この資金が増えないで、株式投資、設備投資に資金を投入すると、その調達は固定資金である借入金か資本による増資となります。
借入金の返済は損益資金である利益が原則です。多額の借入金は利益では賄えません。
よって多額の株式投資は、会社経営を圧迫します。

しかし、借入金を資本にすれば借入金の返済と利息の支払いはなくなります。
そうなると、会社は銀行と投機家のものになり、社会性より、ますます経済性のみが追求されることになります。

私達は会社は全従業員のものであると自覚し、全従業員が会社を守るために、会社の経営理念を実現すべく、全社員一丸となって、ベクトルを合わせ、働くべきです。

 

古田圡 満