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【お客様インタビュー】大ヒットの自社ブランドと既存の機械事業がつながり成長(スズキ機工株式会社 最終回)

【お客様インタビュー】大ヒットの自社ブランドと既存の機械事業がつながり成長(スズキ機工株式会社 最終回)

本連載は、社員数わずか17名ながらも年商5億円の成長企業へと転じた、スズキ機工株式会社の成功の秘訣をうかがうべく、同社代表取締役社長でいらっしゃいます鈴木 豊 社長へのインタビューを書き起こしたものです。

全10回に渡るシリーズものとなっていますので、ぜひ中小企業の経営のヒントを得ていただけますと幸いです。

▽動画も視聴いただけます

◇前回までの記事はこちら
【お客様インタビュー】売上ゼロから年商5億円に成長した社員17名の会社の転機とは(スズキ機工株式会社 1/10)

【お客様インタビュー】『ランチェスターの法則』を取り入れた戦略で新事業を展開(スズキ機工株式会社 2/10)

【お客様インタビュー】事業転換、社長就任、しかし会社は赤字続きの自転車操業だった…(スズキ機工株式会社 3/10)

【お客様インタビュー】明文化した戦略と労働環境改善により会社が大きく前進(スズキ機工株式会社 4/10)

【お客様インタビュー】社員全員でつくる環境や経営計画が会社の当たり前を変える(スズキ機工株式会社 5/10)

【お客様インタビュー】習慣の継続と社員を守る体制が社員と会社の成長につながる(スズキ機工株式会社 6/10)

【お客様インタビュー】人を大切にする心をもち地域社会へのサポートにも尽力する企業(スズキ機工株式会社 7/10)

【お客様インタビュー】新商品・サービスに挑むかは3つのフィルターで判断(スズキ機工株式会社 8/10)

【お客様インタビュー】インターネット活用が功を奏した中小企業商品の全国展開(スズキ機工株式会社 9/10)

【出演者】
インタビュイー:
スズキ機工株式会社
代表取締役社長
鈴木 豊 氏

インタビュアー:
株式会社古田土経営
代表取締役社長
飯島 彰仁

持たざる経営で固定費を抑えて失敗を恐れず事業に挑む

飯島 スズキ機工にこれだけの収益力があると聞くと、たくさん商品を製造している会社だと想像する方もいると思います。しかし実際には、自社でそこまで多くの物を作り出しているわけではなく、いわゆるファブレス*なんですよね。
ファブレス・・・製品を製造するための工場を持たない業態のこと

鈴木 そうなんです。私たちが目指しているのは「強い営業力と優れた事業開発力を兼ね備えた頭脳集団による経営」であり、経営計画書にもそう書いています。当社で開発した商品を全て自社で製造するとなると、設備や人員などのコストが非常に大きくなります。

ですから、ファブレスという形をとり、製造は外部にOEM委託をして、自分たちは金の卵を産み出すための商品開発と、営業・販売、情報発信に専念するんですよ。事業にはさまざまな挑み方がありますが、私はこれこそが中小企業が取るべき正しいベクトルのひとつではないかと思っています。

飯島 固定費が大きいと、成功すればうまくハマるとはいえ、失敗したときが怖いですからね。持たざる経営で固定費はできるだけ小さく、という形をとっていらっしゃるんですね。

鈴木 とはいえ、実際のところ失敗も多いんですよ(笑)。売れると思って作ってみたら売れなかった、ということは過去にたくさんありますから。けれども、失敗の痛手が少なくて済む方法をとっているので、失敗が経営に大きく影響することはないんですよ。

飯島 そういうことなんですよね。中小企業の経営者の中には「これだけの設備投資をしたい」「これだけの商売をする」と、壮大なことを言う方もいます。もちろんそれは結構なのですが、やはり数字をわかっている我々から見ると、身の丈に合った勝負をしなければ、失敗したときに取り返しがつかないと思うわけですよ。

しかし、スズキ機工に関しては「失敗してもいい勝負」をされているので、「そのくらいでしたらどうぞ、どんどん進めていいんじゃないですか」と言えるんですよ。設備投資をしないから、減価償却費も含めて固定費がかからない。そういう点では、鈴木さん自身も失敗をあまり恐れていないのではと思います。

鈴木 私たちは、機械事業のお客様に新商品の試作品を紹介して、意見をいただくこともあります。これは事業間が隣接しているからできることで、通常は営業スタッフを雇ってゼロベースでマーケティングを行わなければいけません。当社では、自社ブランド商品を販売する際、すべて既存の土台の上でビジネスを回せるので、そういう面でも隣接異業への進出は有益だったと思います。

労働集約型と知識集約型の相乗効果がよい商品・サービスを生み出す

飯島 過去には失敗もあったというスズキ機工ですが、現在はベルハンマーだけではなく、いろいろなシリーズの商品がヒットしていますよね。

鈴木 ありがたいことにベルシザーもすごく売れていますし、パケットリールなども大変好評いただいています。こうして「ベルブランド」と呼んでいる自社商品たちが育ち、販売ルートも確立されてきている今、今後の展開が本当に楽しみなんです。「ベルブランド」のファンが増えていけば、次の商品を投入するのが楽になりますし、しかもストックビジネス以外は行いませんから。

飯島 ますます超高収益型事業構造になっていきますね。また、中小企業であるにもかかわらず、全く労働集約型ではないことも特徴的ですね。

鈴木 はい。自社ブランド事業は特に知識集約型です。

飯島 中小企業の理想の形は、もしかしたらここにあるのかもしれませんね。

鈴木 当社は変則的ではありますけどね。いわゆる労働集約型のセクションをもちながら、実は知識集約型のヒントをそこから得ているという、双方をつなげている形です。極端な話、お客様からお金をいただきながら、商品開発をしているともいえます。

飯島 本当にそうですよね。あくまで極論ですが、その労働集約型の事業では別に儲からなくても構わない、というくらいの心意気なんですよね。

鈴木 そのくらいに思っています。

飯島 もう勝ち方が分かっていらっしゃるので、商品開発のために仕事をして、そこで培ったものを高収益型事業の方に投入する……。

鈴木 人材開発もまた大切ですね。商品開発力と頼れる人材がいなければ、新規事業を進めることはできませんから。また、お客様との交流も挨拶から始まり、打ち合わせ、クレーム処理も含めて、すべて大切な財産なんですよ。そうして得たものから事業の特徴ごとに戦略を使い分けて、かつ使い分けた戦略がシナジーをもって成長しているという、少しまれな事業の形だと思います。

飯島 事業の各パーツが実は全てつながっていて、スズキ機工という企業をつくりあげているというのはすごいことですね。

経営計画書に書いた理念を核として理想の事業運営をかたちに

鈴木 繰り返しになりますが、全てのつながりの核になっているのは、やはり経営計画書なんですよ。これが私たちにとっての「経営計画書を活用した事業運営の仕方」であり、「事業運営を思った方向に進めていくための経営計画書の活用の仕方」なんです。

飯島 経営計画書を作成するからこそ、市場に近くなり、社員のみなさんとも近くなり、地域とも近くなる。そして、そのために必要なことを気付かせてくれるんですよね。う〜ん……やはり改めて、ただ数字だけを書いた経営計画書ではなく、人を大切にする思いが込められた経営計画書があるからこそ、成果を出されているのだと感じます。

鈴木 もちろん、いろいろな会社がありますから、売上第一主義、株主第一主義、利益第一主義、実力第一主義と掲げても、それはそれで全く問題ないんですよ。

飯島 そういう価値観もあるということですからね。

鈴木 ただ当社の価値観は、経営者である私の「こういう事業運営をしたいんだ」という思いに共感できる人と一緒に安定した事業経営をしたい、ということなんです。たったそれだけの違いなんですよ。

飯島 会社の取り組みには、理念と価値観が全て表れるんですよね。最近、つくづくそう思いますよ。「全ては理念なんだな」と。

鈴木 当社の44期の経営計画書には、「理念のない経営は、罪悪である。戦略のない経営は、寝言である」と書いています。これは、二宮尊徳(二宮金次郎)の「道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は、寝言である」という言葉にならったものです。

飯島 なるほど(笑)。

鈴木 両方大事だということなんです。

飯島 戦略があってこそ経営があるということなんですよね。理念を確立して会社の当たり前基準を高めたら、高収益型事業構造を構築していく……というのが戦略で、それによって価格決定権を得られるということですね。

鈴木 中小企業経営は本当に厳しいんですよね。立場が弱いと思いますし、苦しいこともたくさんあります。けれどもそれを、仕方のないことだと社長が甘んじて受け入れていたら、会社は変われないんですよ。私たちはそこから抜け出すために、10年、20年という歳月をかけて努力し続け、少しずつ現在の事業を築き上げてきたんです。これは今もまだ成長の途中で、この先ももっといけると思っています。

飯島 理念を掲げて稼ぎ方の改革を行い、お客様や地域社会に貢献し、自社ブランド商品のファンを獲得して、会社の価値を高めていったスズキ機工の歩みは、本当に素晴らしいものです。私たち古田土経営は、このような中小企業が1社でも多く増えることを切に願っています。今後も、鈴木さんにはいろいろ教えていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

鈴木 こちらこそ、私たちもまだまだ努力の途中なので、今後ともよろしくお願いします。

飯島 この度は、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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