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「あのままだと、会社は倒産していた」 立て続く退職から始まった、2代目社長の経営改革

「あのままだと、会社は倒産していた」 立て続く退職から始まった、2代目社長の経営改革

会社概要

会社名 三興塗料株式会社
所在地 東京都板橋区
従業員数 46名
設立 1966年11月
事業内容 塗料卸売業
経営理念 すべては、お客様のために
契約開始 2015年1月
契約内容 税務顧問

【課題】

  • 建築塗料業界は商品での差別化が難しく、価格競争になりがちだった。
  • 先代から会社を引き継いだ途端、4名が辞職してしまった。
  • 「お客様第一主義」の結果、サービス提供ばかりで収益性が低かった。

【得られた成果】

2015年度〜2015年度現在までの10年間で

  • 売上14億2000万円→20億円
  • 粗利益3.1億円→4億8000万円
  • 退職率10%→2%
  • 従業員数28名→46名

【ポイント】

  • 会社の収益構造を理解できるようになった
    古田土会計の「未来会計図」を活用した粗利益率と利益のシミュレーションにより、粗利益率の改善に取り組むことの重要性を知った。
  • 付加価値を高めるために何ができるかを考え実行した
    古田土会計の経営分析資料である月次決算書をもとに、毎月の業務改善を検討。「薄利多売」から脱却するため、今まではメーカーに依頼していた調色業務を内製化し、スピード感のある対応で会社の付加価値を高めた。
  • 全社員に数字を公開し、粗利1%の重みを伝えた
    数字を公開して読み方を伝えたことで、社員が会社の数字を自分事として捉えるようになった。
  • 経営計画書で会社の未来を伝えた
    全社員に経営計画書を配布し、経営計画発表会を開くことで、会社がどんな未来を目指しているのか自分の言葉で社員に伝えることで、業績が向上し、退職率が低下した。

建築塗料の販売店として、1966年の創業から半世紀以上の歴史を歩んできた三興塗料株式会社様。
今でこそ盤石な経営を続けられていますが、清水雄一郎社長が2代目として会社を継承しようとしていた当時、会社は「崩壊の危機」にありました。
「会社の未来が見えません」 そう告げて去っていった若手社員。4時間立ち続けても一人も応募者が来ない採用イベント。先代社長との経営方針の対立。
清水社長は、どうすれば社員に会社の未来を見せられるのかが分からず悩んでいました。
そんな折に古田土会計のことを知り、契約。思いを込めた「経営計画書」を作成しました。
また、担当者との密な関係によって、経営の改善にも成功。
業績を上げながら社員を大切にする経営を実現しました。

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1. 2代目として会社を継ぐも、先代との経営方針の違いで苦悩

――清水社長が2代目として就任された際、もっとも苦労されたことはなんですか?

先代との考え方の違いです。私は社長に就任する前から、「社員第一主義」で仕事をやっていきたいと考えていました。しかし、先代は「お客様第一主義」もちろんお客様を大切にするのは商売として間違っていませんが、そのために社員が犠牲になるのはおかしいと思っていたんです。社員を幸せにすることが、ゆくゆくは商売の発展につながると信じていたので、そこでのぶつかり合いは相当ありました。目指すゴールは一緒でも、そこまでの道のりが違っていたんです。

――会社を残していくことが簡単ではないと感じた、決定的な出来事はありましたか?

社長になる直前に、将来の右腕だと思っていた若手社員から「会社の未来が見えません」と告げられたことです。結局、その社員を含めた4名が一度に辞めてしまいました。本当に悲しかったです、ただ、自分たちが未来を語れていない以上、仕方のないことだという納得感もありました。

さらに追い打ちをかけたのが採用活動です。私一人で参加したハローワークの就職イベントでのことでした。参加した学生は150人、4時間立ち続けたのにも関わらず、うちの会社の番号札は1枚も取ってもらえませんでした。「うちには誰も応募に来てくれないんだ」と社員に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

2. 古田土会計との出会いが会社を変えるきっかけに

――そんな苦境の中で、古田土満(注:前古田土会計グループ代表)のセミナーに参加されたそうですね。講演を聞いて、どこが一番印象的でしたか?

一番刺さったのは「社員第一主義」という言葉でした。まさに私が目指していた経営そのものを、既に実践されている方がいることに感動しました。講演が終わってすぐ、名刺を持って古田土先生のもとに走りました。経営は結局「お金」ですから、その専門家である税理士の先生に教わるのが一番の近道だと思ったんです。

――経営計画書作りはどのように着手されたのですか?

古田土先生からは「とにかく、うちの経営計画書をパクりなさい」と言われました。まずは素直にそのままやってみようと思い、塗料業界向けに少しずつ手直しをしながら形にしていきました。作成の過程で、改めて創業者の言葉や会社の歴史を見つめ直すことができ、自社の強みと弱みを客観的に分析する貴重な時間になりました。

3. データに基づく経営改善への具体的取り組み

――業界平均が19%程度と言われる中で、粗利率を25%に引き上げるという目標を掲げられました。これはどうやって決めた数字なのですか?

社員の給料を高くしたい、そのためには今のままでは足りない。そう考えて担当の池田さんと何度もシミュレーションを重ねました。その中で、当社の強みである「配送」の付加価値として、塗料の「調色」を内製化する戦略が見えてきたんです。これなら粗利益率25%を目指せるという確信に変わりました。

――具体的な施策を打っていく中で、清水社長ご自身はどう感じていましたか?

シミュレーションの中で、たった1%でも粗利率を上げることができれば、利益が数千万円単位で変わってくると知りました。数字の裏付けがあるから、ワクワクして仕方がありませんでした。しっかり今のビジネスモデルを続けていけば、目標の25%に近づける。会社の未来が見えてきたことで、不安よりも楽しみな気持ちの方が大きかったですね。

4. 社員の意識変化と自発的な行動

――初めての経営計画発表会開催にあたって意識したことはなんですか?

社員たちも経営計画書を初めて見たときは「発表会ってどうやってやるの?」という戸惑いがあったと思います。でも、計画書の中に「なぜ利益が必要なのか」「どうやって粗利率を高めるのか」を細かく明記し、共有し続けました。発表会では計画書をもとに、会社の方針を伝えることを心がけました。

――社員の方が自発的に動くようになったなと感じる具体的なエピソードはありますか?

例えば、お客様への請求書に同封する「三興新聞」ですね。これは私が指示したわけではなく、社員たちが自分たちで考えて「どうすれば情報を伝えられるか」を形にしてくれたものです。そういう自発的な行動が劇的に増えました。また、経営計画書があることで「言った言わない」のトラブルも減り、組織として同じ方向を向けるようになりました。

――経営計画発表会で印象的だったことはありますか?

初めての経営計画発表会には担当の池田さんが来てくれました。発表会が終わった後、池田さんを駅まで送りながら、色々と話をしたんです。会社を継ぎ、経営計画書を作って発表会をして、自分としてはようやくスタートラインに立てたと感じていました。サポートしてくれた池田さんには感謝しかありませんでしたね。

社員さんからみた会社の変化

勤続18年目の山田さんにもお話をうかがいました。

――経営計画書を初めて読んだときにどう思いましたか?

初めて経営計画書を見たときは、率直に「すごいな」と思いました。今まで口頭で聞くことはありましたが、会社全体で「こうしていくんだ」という方針が文章で網羅されていて、社長がここまで考えてくれているんだと驚きました。

――社員として大切にされていると感じることはありますか?

清水社長になってから、家族を大切にするイベントが増えました。特に家族全員でディズニーランドに招待してもらえる『サンクスデー』は、僕も5人家族なのですが、子どもたちが一番楽しみにしています。子どもに『自分の会社はこういうところなんだよ』と誇りを持って言える。それが一番嬉しいですね

5. 数字で見る成長の軌跡

――社員第一主義を掲げてから、数字の面ではどのような変化がありましたか?

事業を承継した当時は売上14.2億円でしたが、現在は20億円。粗利益額も3.1億円から4.8億円まで伸びました。一番嬉しいのは、退職率が10%から2%にまで下がったことです。従業員数も28人から46名まで増えました。

財務面が改善したことで、11年越しに念願だった「週休2日制」もこの4月から実現できました。利益が出た分を社員の給料ベースアップに充てることができた。これが経営者として何よりの幸せです。

6. 「日本でいちばん大切にしたい会社」受賞の意義

――「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」に応募されたのは、どういう想いからだったのでしょうか?

自社の立ち位置を客観的に確認したかったからです。古田土先生からも「中身が良くならないと応募できない」と言われていたので、会社が挑戦できるレベルに達したのかを知りたかった。受賞を知ったときは、社員のみんなの顔と、古田土先生の顔が真っ先に浮かびました。

――受賞後の反響はいかがでしたか?

「卸売業という地味な業界にスポットライトを当ててくれてありがとう」と言われたことが嬉しかったですね。社員も会社が認められたことで誇りを感じてくれています。また、審査員の方から「働き方はどうなの?」というフィードバックをいただいたことが、週休2日制を取り入れる最後の決め手になりました。

7. 古田土会計との長期的なパートナーシップの価値

――10年以上、古田土会計とお付き合いを続けている理由は何ですか?

もう私たちにとって「家族」だからです。先代の薄利多売を続けていたら、遅かれ早かれ社員は辞めていったでしょうし、価格競争に巻き込まれて会社に利益は残らず、私も疲弊して行き詰まっていたはずです。もし古田土さんと出会わなければ、今ごろ会社は倒産していたと思います。

――具体的に、古田土会計のどのようなところが経営に役立っていますか?

毎月届く資料がとにかく分かりやすい。図が多くて、未来会計図を見れば「どこを改善すれば利益が出るか」が一目瞭然です。これを使って社員教育もできる。また、資金繰りや決算前検討会でしっかりシミュレーションしていただけるので、経営者としての安心感が違います。困った時にすぐ駆けつけてくれる距離感も、心強いですね。

――先代との関係に変化はありましたか?

経営計画書を作って、外部表彰をいただくようになってから、少しずつ先代が「自分の好きなように経営しなさい」と言ってくれるようになりました。決算書でしっかり利益が出て、粗利率が上がっていることが大きいと思います。「雄一郎がやっていることは正しい」と言われた時は、認められたと感じましたね。

8. これからの目標と未来像

――清水社長が思い描く、三興塗料のこれからの未来像を教えてください。

社員の子どもたちに「お父さん・お母さんの会社に入りたい」と言ってもらえる会社にしたいです。そのために魅力的な待遇や社会的評価を整えて、「三興塗料って温かくていい会社だね」と言われる存在であり続けたいですね。


具体的には、板橋区の行政職と同じ給与水準を目指し、さらに粗利を高めて還元していきます。100年企業を目指して、社員とその家族を守る経営をこれからも続けていきます。

9. さいごに

三興塗料株式会社の変化は、清水社長が「社員第一主義」という自らの信念を貫き、「数字」という客観的な根拠を持って経営を構造から変えた決断の結果です。商材での差別化が難しいと言われる卸売業界において、「社員を幸せにする」という覚悟を持ち、経営計画書を通じてその想いを「利益」という目に見える形に落とし込んだことこそが、社員の皆さんの自発的な行動を引き出しました。

清水社長からは、「これからも社員の子どもたちが誇りに思えるような、温かくて魅力的な会社にしていきたい」という力強い展望を伺うことができました。

古田土会計では、三興塗料様のような二代目経営者の葛藤はもちろん、日本中の中小企業の経営者の皆様が抱える葛藤に寄り添いながら、「理想の未来」を数字の力で具現化するために、これからも家族のような伴走支援を続けてまいります。

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