内閣総理大臣賞が創設!国も注目する「日本で一番大切にしたい会社」大賞とは?
1.はじめに
「いい会社」の定義が変わっている
「いい会社」と聞いてどんな会社を思い浮かべますか。
実は今、企業の在り方が、大きな転換期を迎えています。
会社の規模や立地条件に関わらず、お客様が殺到し、働きたいと希望する若者が後を絶たない。
そんな会社には共通点があります。
その共通点とは、経営者が心から社員を大切にし、やりがいをもって楽しく仕事に取り組めるように仕組みを整えていることです。
従業員は会社のことをよく見ています。働いている会社が社会通念に照らして正しい経営をしているか、社会に対する使命と責任を果たしているかが、従業員からの信頼に直結しているのです。
かつては「売上高」や「時価総額」といった数字が絶対的な物差しでした。しかしこの常識は変わりつつあります。
「人的資本経営」や「ウェルビーイング経営」といった言葉を聞く機会が増えてきました。
人的資本経営とは人材を「資源」ではなく「資本」と捉え、投資を通じてその価値を最大限に引き出す手法、ウェルビーイング経営とは従業員が身体的・精神的・社会的に満たされた「幸せな状態」であることを重視する経営で、どちらも従業員を核に据えた経営手法です。
数字以上に「この会社があって本当によかった」と思われ、関わる人々から愛されているかどうか、「正しい経営」を実践しているかが問われる時代になっています。
今回はそんな「正しい経営」を実践する企業を表彰する「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞をご紹介します。
本記事では、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の概要を解説し、具体的な受賞企業の事例を通じて、中小企業が目指すべき「人を大切にする経営」の具体像をお伝えします。
2. 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の概要
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞はなぜ生まれたか
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は、元法政大学教授・坂本光司先生の「会社は誰のためにあるのか」 という問いから生まれました。
坂本先生はこれまで8,000社以上の中小企業を訪問し、業績がいいだけでなく、関わるすべての人を幸せにしている経営の実態を調査・研究し続けてきました。
坂本先生は企業経営の目的・使命を「関係する人々の幸せの追求と実現」であると定め、業績の成長や企業の発展は目的を実現するための手段だと説いています。
また、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の発足には古田土会計グループが関わっています。
古田土会計グループ(当時は古田圡公認会計士事務所)の経営計画発表会に坂本先生をお招きし、基調講演をしていただきました。
現会長の古田土満との対話の中で、素晴らしい会社をもっと世の中に紹介していく必要があると考えた坂本先生は、『日本でいちばん大切にしたい会社』を執筆し、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞を発足させました。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は「人を幸せにする経営をしている会社が一社でも増える」ことを目的に、利益や社員規模ではなく「人を大事にした会社」の永続的発展を他の会社に学んでもらうための賞です。
・内閣総理大臣賞(第14回から新設)
・経済産業大臣賞
・厚生労働大臣賞
・地方創生大臣賞
・中小企業庁長官賞
・中小企業基盤整備機構理事長賞
・審査委員会特別賞
第16回(2026年)の受賞企業はこちら です。
大切にする「5つの人」の優先順位とその理由
坂本先生は、会社経営とは「五人に対する使命と責任がある」と提唱しています。
五人とは① 従業員とその家族 ② 外注先・仕入先の社員③顧客④地域社会⑤株主です。
② 外注先・仕入先の社員 外注先や仕入れ先の社員は自分の会社の仕事をしてくれている「社外社員」です。
③顧客 会社には、お客様を幸せにする使命と責任があります。
④地域社会 地域社会の方々に幸せを与え、地域にとって存在価値のある、なくてはならない存在となる必要があります。
⑤株主 株主配当だけでなく、株主であることを誇りに思ってもらいます。
このうち、①従業員とその家族の幸せがなければ、顧客を幸せにすることはできません。
審査基準のご紹介
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞には厳しい応募資格が定められています。
・過去5年にわたって、以下の6項目全てに該当していること
・希望退職者の募集や人員整理(リストラ)をしていない
・重大(死亡や重傷)な労働災害を発生させていない
・一方的なコストダウン等理不尽な取引きを強要していない
・障がい者の雇用率は法定雇用率以上である
注1)
常勤雇用40人未満の企業で障がい者を雇用していない場合は、障がい者施設や多数雇用企業(全社員の10%以上)から、安定的かつ継続的に物品やサービスの購入や発注する等、雇用に準ずる(間接雇用)取組みがあること。なお、年間購入または発注金額は20万円/年以上とする
注2)
・本人の希望等で、障がい者手帳の発行を受けていない場合は実質で判断する
・営業黒字で納税責任を果たしている(自然災害や為替レート等の大幅な変動等による赤字等を除く)
・下請代金支払遅延等防止法等の法令違反がない
引用元:「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞公式サイト
https://www.htk-gakkai.org/a0013/MyHp/Pub/
3.受賞歴のある古田土会計グループのお客様をご紹介
私たち古田土会計グループは「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞と深いつながりがあり、会長の古田土満が審査委員長も務めています。
古田土会計グループが使命感として掲げているのは、「日本中の中小企業を元気にすること」です。
より多くの中小企業が人を大切にする経営を実践し、社員とそのご家族を守り続けられる会社であってほしい、という強い想いがあります。
その想いを形にするために、私たちは日々の月次決算書を通じた財務面でのご支援と、経営計画書を軸とした経営方針の明確化・実行支援の両面から、経営者の皆様をサポートしております。
古田土会計グループのお客様の中には、財務と経営方針の両方に真摯に取り組まれながら「人を大切にする経営」を実践しているお客様が数多くいらっしゃいます。
毎年何社もの古田土会計グループのお客様が「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞に応募し、受賞されています。
ここからは、そんな取り組みの一部をご紹介します。
三興塗料株式会社様(第10回 審査委員会特別賞受賞)
「これからの日本の中小企業を考えた時に、社員を大切にしないと絶対残っていけないと思いました」
ご両親から会社を引き継ぐにあたって、こう考えていた清水社長。
毎年経営計画書を作成して社員様に配布し、毎月の勉強会で会社の方針や数字の目標を伝え続けています。
その結果、平均の粗利益率が18~19%の塗装業界の中で粗利益率25%を達成。離職率も2%と非常に低くなっています。
給料を板橋区の職員行政職と同水準にすることを目指してさらに取り組みを続けられています。
「必要なときに、必要な商品を、必要な場所へ」を理念に掲げる三興塗料様。
ただ注文を受けた商品を届けるだけでなく、お客様のために何ができるかを常に考えて行動されています。
近年では自社内での調色(※)に力を入れていらっしゃいます。
メーカーに注文した場合は発注から配達までに数日かかることもある調色。できるだけ早く届けてほしいと考えているお客様に対して、スピード感のある対応が難しい状況でした。
そこで、調色設備を導入し、自社で調色をおこなえるようにしました。
注文を受けたその日のうちに配達までを完了することができるようになったため、作業可能日が決められている塗装業のお客様から感謝されています。
また、塗装機器の修理・リースも手がけられています。塗装機器メーカーの人手不足により、機械の修理まで数カ月かかってしまうというお客様のお悩みを解消するためにはじめられた事業です。
塗装ボランティア団体「NPO法人塗魂ペインターズ」への参加や、業界向けの講習会なども積極的におこなわれています。
※複数の塗料を混ぜて色を作る作業

▲左から 坂本光司先生・清水雄一郎社長・古田土満(古田土会計グループ会長)
三興塗料株式会社
所在地:東京都
従業員数:46名
1966年設立。塗料・防水材・塗装用具の専門商社。
株式会社リードビジョン様(第13回 審査委員会特別賞受賞)

▲受賞後の様子 中央が清水大輔社長
「補聴器のイメージをより自然なものに」「快適なコミュニケーションで人々を幸せに」という二つの理念を掲げていらっしゃる株式会社リードビジョン様。
17歳から難聴を患い、自身も補聴器愛用者である清水社長。聞こえで悩む人が抵抗なく補聴器を着けられる社会を作ることが自らの使命だと確信して創業されました。
ご自身の体験をもとにメーカーと共同で見えない超小型補聴器を企画、補聴器をつけていることを知られたくないと考える方に支持されています。
従業員ファーストを掲げ、シフト制でありながら年間休日120日、年に3回の賞与など福利厚生を整えていらっしゃいます。
また、社員旅行やバーベキュー、忘年会といった社内行事には社員様のご家族も招待。補聴器先進国のヨーロッパでの展示会や販売店の見学にも毎年従業員様と共に参加されています。
そういった様々な取り組みと共に、経営計画書には下記の内容を明文化して記載し、清水社長の思いが伝わるよう工夫されています。
・これからどんな会社にしていくのか
・社員を幸せにするために何をするのか
・会社のあるべき姿はどんな状態か
コロナ禍で高齢者の外出が減って補聴器業界に大きな影響があった際にも、従業員様が一致団結して前年を超える業績を作り上げました。

▲株式会社リードビジョン様の経営計画書
2025年には東京2025デフリンピックに協賛されています。
関わるすべての人にとって無くてはならない企業を目指して、歩みを止めず挑戦を続けていらっしゃいます。
株式会社リードビジョン
所在地:東京都
従業員数:46名
2002年設立。補聴器、聴覚関連機器の販売会社。
グローバルビジネスソリューション株式会社様(第14回 審査委員会特別賞受賞)
仕事と私生活の両方が忙しかった時期に、うまく笑えなくなっていたという前山社長。
その経験から、「豊かさの創出~笑顔の絶えない未来を~」という理念は生まれました。
グローバルビジネスソリューション株式会社様は、売上の9割以上がお客様先常駐事業(SES)の企業として、初めての受賞を果たされています。
社員が離れた場所で働くSES業界は、雇用環境の維持や心のケアが難しいとされています。その課題に対し、積極的に取り組まれている点が評価されました。

▲受賞後の様子 中央が前山真希社長
インフラ・開発などの技術研修だけでなく、「笑顔研修」や「人間力研修」など多角的な教育を実施。
さらに、全社員への定期的なキャリアカウンセリングや、24時間365日医師に相談できる福利厚生を完備し、社員様の心身の健康を最優先に守っています。
普段は常駐先で離れて働くことの多い社員様のために、部活動や各種イベントも積極的に開催されています。
専門的な技術と人間力との掛け合わせによって、より良いサービスを生み出しています。
理念の浸透のために、中期経営計画を「経営計画書」として明文化して全社員に配布。
全員が顔を合わせるのは難しいことから、経営計画書の一部を毎日グループチャットに投稿することで、目指すべき方向性を共有しています。
更に、自社の社員だけでなく、関わるすべての人の幸せを目指し、社会貢献活動にも力を入れていらっしゃいます。
障がい者施設から年間約50万円の物品購入を継続するなど、高いレベルでの社会貢献を実践されています。
ビーチクリーンなどの地域清掃活動や、子ども食堂団体への寄付など、地域社会を明るくするための挑戦を続けられています。

▲障がい者施設で制作された石鹸
厳しい雇用環境にあるSES業界において、人を大切にする経営のモデルとなるべく、さらなる挑戦を続けていらっしゃいます。
グローバルビジネスソリューション株式会社
所在地:東京都
従業員数:77名
2006年設立。SES事業および人材育成事業、Web制作事業を展開。
受賞企業の共通点
受賞企業では、「人を大切にする」ことを単なるスローガンとせずに、社内制度や経営計画に落とし込み、現場まで浸透させています。そして従業員の働きやすさの追求が、結果として従業員の自主的な行動や高い生産性、離職率の低さにつながっています。
4. 「日本でいちばん大切にしたい会社」を目指す道
「うちはまだ赤字だし、障がい者雇用も進んでいない。受賞なんて夢のまた夢……」と諦めていませんか。受賞は「目的」ではなく、正しい経営を積み重ねた「結果」に過ぎません。
最初から完璧を目指すのではなく、「今、目の前の人を大切にできているか」から始めましょう。
今からできる3つのこと
①現状診断(セルフチェック)
まずは自社の現状を確認しましょう。
どこからはじめていいか分からない方のために、『古田土式「人を大切にする会社」チェックリスト』をご用意しました。
ぜひDLしてご活用ください。
『古田土式「人を大切にする会社」チェックリスト』のDLはこちら
②理念の再定義
自社の経営理念を振り返り、「誰を幸せにするための経営か」を言語化します。
③「人を大切にする経営学会」への参加
坂本光司先生が会長を務める同学会には、志を同じくする経営者が集まっています。他社の事例を学ぶことで、「自分たちにもできることがある」と確信が持てるはずです。
5.おわりに
「日本でいちばん大切にしたい会社」が増えれば、従業員やその家族、地域社会まで幸せと活気が広がります。それは巡り巡って、私たちの社会全体が良くなることにもつながっていきます。
「自社に関わる人を、昨日よりも一人多く幸せにする」。そんな決意から、新しい経営を始めてみませんか?
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 公式HP
https://www.htk-gakkai.org/a0013/MyHp/Pub/
坂本 光司 著『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版/2008・3)
https://www.asa21.com/book/b216480.html

