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【中小企業1,314社の平均年俸を開示】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い①

【中小企業1,314社の平均年俸を開示】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い①

「中小企業の社長はどのくらいの給料をもらって良いのか」
「社長の年俸や月給は、どのような基準を意識して決めるべきなのか」

上記の内容に少しでも興味のある方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。今回は同著の179ページから181ページまでを取り上げます。

テーマは「社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い」です。

「社長は給料をいくらもらえばいいのか」と悩んでいる経営者の方も多いと思います。そこで今回は、「優良な中小企業の社長がどのくらいの金額をもらっているのか」という具体的なデータを紹介します。

あわせて、社長の給料を決める基準となる2つのポイントについても解説するのでぜひ参考にしてください。以下の内容は、社長の年俸や月給を決める際の良い指針となるでしょう。

▽動画でも解説しています

【社長の年俸】中小企業1,314社の平均は「1,021万円」

私どもは、社長の年棒についてアンケートを取りました。以下をご覧ください。

ちなみに法政大学の坂本光司先生や株式会社パソナグループの渡辺尚社長は、この資料について「これは得難いものですね」とおしゃってくださいました。「ぜひともコピーをくれ」とも言われたので渡しました。

また坂本先生は、この資料をご自身の書かれた本にも載せています。いろいろなところでこれを活用し、中小企業の役員報酬の実態を紹介しているようです。

資料:「経常利益」と「社長の役員報酬」(H28年8月〜29年7月決算)

経常利益 社長の役員報酬
金額 平均 件数 平均
5億円〜15億円 9億2,200万円 7 4,900万円
2億円〜5億円 2億9,500万円 21 3,300万円
1億円〜2億円 1億4,400万円 43 ※1 2,400万円
7,500万円〜1億円 8,700万円 31 2,200万円
5,000万円〜7,500万円 6,200万円 46 1,700万円
4,000万円〜5,000万円 4,500万円 24 1,300万円
3,000万円〜4,000万円 3,400万円 47 1,500万円
2,000万円〜3,000万円 2,400万円 63 1,500万円
1,000万円〜2,000万円 1,400万円 156 ※2 1,200万円
750万円〜1,000万円 860万円 68 950万円
500万円〜750万円 620万円 97 900万円
250万円〜500万円 360万円 134 680万円
1円〜250万円 93万円 228 ※3 550万円
▲250万円〜0円 ▲92万円 56 450万円
▲500万円〜▲250万円 ▲360万円 52 990万円
▲1,000万円〜▲500万円 ▲700万円 43 850万円
▲2,000万円〜▲1,000万円 ▲1,300万円 28 740万円
▲5,000万円〜▲2,000万円 ▲2,900万円 14 1,100万円
▲3億円〜▲5,000万円 ▲8,500万円 11 1,100万円
1,314
(計)
1,021万円
(平均)
※1:経常利益が1億円以上の会社は71社(5.4%)
※2:経常利益が1,000万円以上の会社は443社(33.7%)
※3:黒字の会社は1,076社(81.4%)

1,314社の役員報酬、つまり社長の年棒の平均額は「約1,021万円」でした。

なお、この資料はうちの契約会社1,842社のうち、数字の入力があった1,314社のデータを総合したものです。その1,314社のうち、経常利益がプラスだったのは1,076社でした。割合にして81.4%です。

世間では66%の企業が赤字とされていますが、うちのお客様は大半が黒字。うちのお客様の質は結構良いのです。

そのような優良なお客様に対して行ったアンケート調査の結果が、上記の表になります。

【利益3億円以上】社長の平均年俸は3,000万円以上

1,314社のうち、経常利益が5億円〜15億円のお客様は7社ありました。利益の平均は9億2200万円。

そうしたよく儲かっている会社における社長の平均給料は、4,900万円ほどです。つまり5億円以上の利益を出している社長の年俸は、約5,000万円だとわかりました。

次に2億円〜5億円、平均3億円の利益を出している会社は21社ありました。それら会社での社長の平均年俸が3300万円、月給で言うと大体300万円です。

このことから、3億円以上の利益を出している会社なら、社長は月に300万円ほど給料をもらっても良いのではないでしょうか。

【利益7,500万〜2億】社長の給料は2,000万円強が相場

続いて1億円〜2億円、平均で1億5,000万円の利益を出している会社は、43社ありました。これらの会社における社長の平均年俸は2,400万円くらいです。

月給で言うと200万円くらいなので、会社に1億円以上利益があれば、月に200万円くらい給料を取っても良いと言えるでしょう。

また利益が7,500万円〜1億円の31社では、社長の平均年俸が2,200万円程度という結果が出ました。

【利益1,000〜5,000万】社長の年俸1,200万円、月給100万円以上が多い

以下のように、利益が2,000万円〜5,000万円の会社では、社長が平均して1,500万円程度の年俸をもらっています。

・利益4,000万円〜5,000万円の24社:平均年俸1,300万円
・利益3,000万円〜4,000万円の47社:平均年俸1,500万円
・利益2,000万円〜3,000万円の63社:平均年俸1,500万円

年に1,500万円なので、月々の給料は125万円ほどです。

また1,000万円〜2,000万円の経常利益を出している会社では、社長の平均年俸が1,200万円、平均月給で100万円ほどという結果が出ました。

以上より、「月々100万円以上の給料をもらっている社長は、少なくとも1,000万円以上の利益を出している」ということがいえます。

【利益1,000万円未満】社長の給料も1,000万円未満

とはいえ、割合として多いのは、経常利益が1,000万円に満たない会社です。

そのうち、利益が750万円〜1,000万円未満なのは68社で、社長の平均年俸は950万円。また利益500万円〜750万円の97社では、社長が平均して年900万円の給料をもらっています。月々の給料になおせば、大体75万円くらいです。

数として2番目に多いのが、利益250万円〜500万円の会社で、この群における社長の平均年俸は680万円。月給だと大体55万円くらいです。

そして数が一番多い経常利益250万円以下の黒字企業328社では、社長の平均年俸が550万円。つまり「月に45万円くらいの給料をもらっている社長が、数としては最も多い」ということがいえます。

そのほか、赤字企業における社長の平均年俸は、450万円〜1,100万円程度との結果が出ました。

以上、我が社で行った独自調査の結果ですが、サンプル数が多いので、かなり真に迫ったデータだと思います。

社長の給料は「利益」を基準に決めるべき

さて、社長の報酬は何で決まるかというと、それはやはり「利益」です。売り上げの規模ではなく、利益が多ければ、社長は報酬をしっかりもらって良いでしょう。

十分な利益が出ていれば、社長の給料がある程度高くても、とくに問題にはなりません。

「社員の給料とのバランス」も重要

もう一つのポイントは、「社員の給料や賞与とのバランス」です。社長だけの給料が高くて、社員は全然もらっていないという状態はいけません。

私は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査員をやっていますが、同賞の審査項目のひとつに、「社員の給料は世間相場以上か」というのがあります。

これは、ある四国の会社を調査したときの話です。その会社では、社長が1,500万円くらいの給料を取っていました。一方で社員の給料は、年間で320万円ほどしかありませんでした。

その社長はアンケートで、「社員の給料は世間相場より高い」の欄に丸をつけました。国税庁の調査によると、日本人の年収は男女平均で430万円程度。つまりその会社の320万円では、到底「世間相場より高い」とはいえないわけです。

世間相場より100万円も低いのに、なぜ「世間相場より高い」に丸をつけたのか。私はその社長に質問しました。すると社長は「いや、この地域ではもっと水準が低いのですよ。平均で300万円もいきません」と答えました。

社長の言ったことはたしかに事実であり、結局、その会社は「世間相場より高い」ということになりましたが、私はなんとなく釈然としませんでした。

社長の報酬は、1,500万円〜2,000万円で、全国的に見た世間相場並みかそれ以上なのです。一方、社員の給料は320万円で、全国的な平均より100万円以上劣ります。しかし、地域的に見れば「世間相場より高い」と社長は主張するわけです。

この社長が本当に人を大切にする経営をしているのだろうか、私はとても疑問でした。しかしながら、審査の条件を満たしているため、「人を大切にしている」ことになってしまったのです。

社員の給料に対し社長の給料が多すぎるのは適切でない

似たようなケースで、ある会社を審査で落としたこともあります。

その会社は、社員の給料は世間相場並みなのに対し、役員報酬を調べたら1億2,000万円もあったのです。役員は社長と弟さんの2人。つまりその2人が、6,000万円ずつもらっていたのでした。

一方で社員の給料は、世間相場の300万円台なのです。このケースは「これが正しい経営のあり方なのだろうか」と、審査員の中で物議を醸しました。

役員2人で1億2,000万円も取るのだったら、社員の給料をもっと高くできるはずです。例えば、2人で6,000万円に減らして、残りの6,000万円を社員に分配すれば、社員30人だと1人あたり200万円も給料が上がります。社員60人でも1人100万円は上げられるわけです。

そうした可能性がある中で、「世間相場並みに給料を払っているから人を大切にする会社だ」とはならないでしょう。結局、その会社は社長と弟の給料が高すぎるということで却下しました。「もっと社員に利益を分配すべき」というのが、審査員の意見でした。

まとめ:社長の給料は「年1,021万円」が平均【社員の金額との比較も大切】

この記事のポイント:
・中小企業の社長は平均年俸1,021万円
・月給100万円以上の社長は年1,000万円以上の利益を出している
・社長の給料は「利益」をベースに決めるべき
・「社員の給料とのバランス」も重要

我が社が独自に調査した結果、優良な中小企業1,314社の社長は、平均で年間1,021万円の給料をもらっていることがわかりました。給料は経常利益に比例し、月給が100万円以上社長は、少なくとも会社で年1,000万円以上の利益を出しています。

なお、社長の給料は「利益」をベースに決めるのが基本です。ただし、「社員の給料とのバランス」を考え、社長だけが多くもらいすぎないように注意しなければなりません。

社長の給料は世間相場をはるかに超えているのに、社員の給料が世間相場未満というような事態は避けましょう。

また、少しでも多くの給料を社長も含めて社員全員で貰えるようにするたには、会社が儲かる構造になるしかありません。そのヒントになるのが、どこに手を打てば利益が出るか分かる『未来会計図表』です。

ぜひ、手に取って活用してみてください。

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