【第41期】経営計画発表会の開催と2023年のスタート
2023年1月11日(水)に【第41期】「経営計画発表会」を開催しました。昨今の社会情勢を踏まえ、今年もオンラインでの開催でしたが、約1500超もの方にライブ視聴していただき好評を博しました。
ご視聴いただいた皆さまへのお礼も込めて、発表会を振り返ります。
※発表会のフル映像をご覧になりたい方はこちら
基調講演 坂本光司氏 「人を大切にする経営について
第1部は、人を大切にする経営学会会長で、元法政大学大学院教授の坂本光司氏に基調講演を行っていただきました。テーマは、「人を大切にする経営の実践」「人を大切にする経営100の指標」です。以下、講演内容を抜粋してお伝えします。
まず「人を大切にする経営の実践」についてです。どんな活動にも目的・手段・結果がありますが、「一番大切なのは目的」と坂本先生はおっしゃいます。
「企業経営の目的は、関係する人々の幸せの追求・実現です。業績や利益は目的ではなく、目的を実現するための手段・結果として大事なことです」
人を大切にする経営学会では「日本で一番大切にしたい会社大賞」という表彰制度を実施していますが、ここでいう人とは、
①社員とその家族
②お客様の社員とその家族
③地域社会と社会的弱者
④株主であるがどうでもよい
※仕入先・外注先があれば、社外社員とその家族は2番目です。
です。この「五方良し」を実現している企業を表彰しています。今までに表彰した企業を対象に、会社で最も重視していることを聞いたところ、一番多かったのは「社員の働きがい」で、70%以上でした。
「働きがいの高い会社で業績の低い会社はないのですから、当然ですよね。社員の働きがいを大事にしているので、社員は離職しませんし、モチベーションは高いですし、価値ある仕事をします。それに伴って会社が提供する付加価値も高くなり、利益率も上がります」
人を大切にする経営を実践するためには、最初にやり方ではなく「あり方」を見直す必要があります。例えば急成長急拡大重視経営ではなく、少しずつ成長する年輪経営を目指します。社員が成長した分だけ会社は成長するもの。急激な売上高は魔物であり、そのような会社に坂本先生は「社員に無理をさせていますね」と指摘するとのことです。「世のため人のためになり、誰も犠牲にしない経営が正しい経営」と坂本先生は強調します。
「あり方」を見直せたら、次のステップです。社員が幸せを実感できる経営計画の策定・社員が夢と希望を持てる経営計画の策定を行います。そこには給与や福利厚生、労働時間などを具体的に入れ込みます。
人を大切にする経営の事例として、宮城県仙台市にある「フタバタクシー」が紹介されました。同社が所有する約50台のタクシーのうち、およそ半数が福祉タクシーです。普通タクシーと比べると儲からない事業ではあるものの、同社社長は「赤字になっても企業がやらなければならない仕事がある」と利他を重視しています。「お墓参りのためにタクシーを利用したお客様を背負い、50段以上の階段を昇ってお墓の前までお送りする」「歩行が困難なお客様を家の中まで迎えに行きタクシーに乗せ、病院に着いてからも担架に乗せる」など、親切な対応にお客様から感謝の声が届いており、社長の信念が社員に浸透していることもうかがえます。
続いて「人を大切にする経営100の指標」についてです。「人を大切にする経営100の指標」とは、
①社員と家族に関する指標
②社外社員と家族に関する指標
③顧客に関する指標
④地域や社会的弱者に関する指標
⑤将来を見据えた盤石な経営に関する指標
の5つの分野で20項目ずつ設定されています。坂本先生によると「本当に良い会社だと思うと、ほとんど80点以上で、問題が大きいと感じる会社は40点以下」であり、「指標を高めるような経営をすれば人を大切にする経営で、良い会社になれる」と述べています。
例を挙げると「社員と家族に関する指標」には、時間単位の有給休暇制度があります。これは女性から指摘の声があり、保育園にいる子どもが熱を出したときや、子どもを病院に連れていきたいときなどに時間単位での休暇制度があることで、柔軟な働き方ができるとのことです。
坂本先生の「人を大切にする経営」についてもっと知りたい方は、下記も併せてご参照ください。
●『「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標』(朝日新聞出版)
●『日本でいちばん大切にしたい会社8』(あさ出版)
古田土会計グループ 経営計画発表
第2部は、株式会社古田土経営 代表取締役社長による第41期(2023年)経営計画発表を行いました。発表会では、過去・現在・未来という視点で、下記についてお話しさせていただきました。
・前期の振り返り
・古田土会計グループが2022年に取り組んだこと
・古田土会計グループの新規開拓が増えている理由
・古田土会計グループの新規事業開拓に関する方針
・会計事務所業界の現状&今後の市場動向・古田土会計グループの今後の展開
・古田土会計グループの人づくりについて
前期の振り返り
第40期である2022年は、売上高は計画を上回ったものの、経常利益は計画を下回りました。その理由は、社員数が増えたことによってシステム利用料と、採用費などの未来費用が大幅に増加したためです。ただ、売上高が伸びていることからもわかるように、市場からの需要があるため、社員に負担をかけないための経費や、採用のための費用は先行投資として必要なものです。
また、お客様の流入元が紹介だけでなく、セミナーやホームページ、SNSなど多様化していることも特徴的でした。2022年の新規開拓件数は181件、経営計画作成25時間合宿(以下、合宿)の参加者は554名で前年比2倍以上に増加しています。
また今年から残業時間や平均年収、障がい者雇用率など、「人的資本経営」の項目を開示しています。
古田土会計グループが2022年に取り組んだこと
西船橋支店(千葉県)・横浜支店(神奈川県)・大阪支店(大阪府)の支店が増えたことによって、より多くのお客様にサービスを提供できるようになり、かつ社員の通勤の面でも利便性が高くなりました。
また、奨学金支援制度を開始し、30人近くの奨学金を一部サポートしています。ほか、地域貢献としてサッカーチームへの協賛・海辺の清掃活動を行いました。業績の向上だけでなく、地域に貢献できる活動ができた1年でもありました。
古田土会計グループの新規開拓が増えている理由
古田土会計グループの新規開拓が増えている背景としては、外的要因と内的要因があると考えます。
外的要因は市場において、古田土会計グループが行っている「人を大切にする経営」が求められていることです。わが社を選ばれるお客様は、成長期にいてますます伸ばそうとしているか、成熟期にいて現状維持から脱却しようとしている方が多くを占めます。そこで必要となるのが「数字に強くなる」こと。
また昨今は原価・人件費・光熱費の高騰から収益力が低下し、かつ事業の進化の速度が早く、衰退期を迎えるまでの時間も短くなっています。ゆえに、より一層数字に強くなることが求められています。
そのために必要なのがマーケティング・強い財務・人づくり・高収益型事業構造であり、それらを古田土会計グループはお客様に提供できるため、新規のお客様が増えていると分析しています。
内的要因としては、マーケティングを行い、お客様のニーズに沿った商品・サービスをアレンジして提供させていただきました。具体的には自社開発のオンラインセミナーと合宿です。
オンラインセミナーは「高収益型事業構造の作り方」など、さまざまなテーマでオリジナルの講座を製作しました。2022年においては全51回開催しています。
合宿は北は北海道、南は沖縄と全国からご参加いただいています。地方の方が人材不足が深刻で、魅力ある会社作り・人を大切にする経営計画書を学びたいという需要があると感じました。昨年は大阪・名古屋・博多でも実施しており、今年は横浜でも実施予定です。
経営計画作成指導の質も高め、一社ごとに合った経営計画書作成のお手伝いができるよう、経営計画キャンバス®や中期事業計画によってサポートしています。なお、41期(2023年)は、新規開拓件数270社、合宿参加者1000社を目標としています。
古田土会計グループの新規開拓に関する方針
事業拡大に伴い新サービスの提供を行います。たとえば「社長の成績表®の進化版の開発とリリース」については、「人を大切にする100の指標」をベースにした、古田土会計で用いている社員満足度調査の内容を加え、「定量評価+定性評価=総合評価」として、社長の成績表®の進化版を提供していく方針です。
「月次決算“超”初心者コース」では、利益やキャッシュが増える理屈など、決算書を初めて読むような人向けに、数字アレルギーを克服できるようなサービスを提供します。
会計事務所業界の現状&今後の市場動向・古田土会計グループの今後の展開
現在、会計事務所業界は大規模化と縮小の二極化していますが、いずれシェア争奪戦は止まります。
わが社においては、全体として拡大傾向であることはこれまでお伝えしているとおりですが、特にセカンドオピニオン契約の割合が増加しています。セカンドオピニオン契約とは、税務においては他の会計事務所に依頼している企業が、月次決算と経営計画についてはわが社にご依頼いただいている契約形態です。セカンドオピニオン契約を行っている会計事務所も他にありますが、多くはオプションとしての対応です。わが社では月次決算書について標準対応を行っており、全担当者がお客様に月次決算書をご提供できます。
今後は経営コンサルティング市場進出による市場開拓を行います。競合のいない層に対して「古田土コンサルティング」としてアプローチをし、サービスを提供していきます。
古田土会計グループの人づくりについて
41期のテーマは「導ききる!」です。導く人とは中小企業経営者の家庭教師です。家庭教師として、理想から逆算し、現状で行うべきことを検討し、助言を行います。それが可能となるように、月次決算と経営計画のクラウドを一体化し、実績と計画を比較できるようにします。
社員の未来像としては、社員が安心して働ける環境に加え、キャリアアップを図れる体制を整えていきます。
経験値を上げる施策として、担当替えをしたり、若手の経験値を向上させるため、0.7人前として早めに現場経験を積めるようにしたりします。決して放任するのではなく、失敗してもフォローする先輩・上司が周りにいますので、お客様におかれましてもご安心ください。
組織の未来像としては、後継者の指名と育成について具体的に明記しました。意向としては、55~60歳までに社長を交代することを検討しています。コンサルティング業務を強化していくにあたって、時代の移り変わりの早い分野であるため、若い人に早めにバトンタッチした方がいいのではないか、と考えているためです。
障がい者や母子世帯、ひきこもりなど、働きたくても働けない人の採用をし、ソーシャルファームの立ち上げにも力を入れていきます。なお、2022年は障がいのある職場体験実習生24名を受け入れました。
ソーシャルファームの立ち上げによって、互いに助け合い、共に成長する文化が醸成された社風の良い会社にすることを意識しています。そのための一つの方法として、障がい者雇用の人を集めた部署を解体し、さまざまなチームに入ってもらい、共に仕事をする環境を整えました。「障がい者」として分離した配置にするのではなく、チームの一員として働いていただいています。
一緒に仕事をするからこそ、共に生き、働く喜びを分かち合えるのです。そんな会社づくりをしていきたいですし、わが社が日本の中小企業のモデルとして全国に伝播していきます。
そして、本年も「日本中の中小企業を元気にし、その社員と家族を幸せにする」という使命感をもとに尽力していきます。
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