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事業承継を学べるお勧めの本7選

事業承継を学べるお勧めの本7選

事業承継の基礎知識を「まず個人で勉強してみたい」という経営者からのご相談をよく聞きます。
しかし“事業承継”という言葉が抽象的であるが故に、市販されている書籍の難易度も様々で「自分のレベルにあった本がどれかわからず、買ってはみたものの放置してしまっている」という声も耳にします。
そこで本記事では目的やレベル別に7冊紹介していきます。

注意して頂きたいのは、今回紹介する本を全て買って読むことを想定してはおらず、状況に応じて1冊ないしは2冊を選んで読めると良いでしょう。

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1.事業承継の全体感を学びたい方が読むべき本

事業承継という問題を考える際には最初に全体感を知るべきです。
全体感の把握に優れているのが以下の4冊となります。

1.1 社長、会社を誰に、どう継がせますか?~事業承継の新しい教科書

自社の事業承継を考え始める際、大半の経営者の方は目に見えている範囲の中で“誰に”
引継げられるかを検討します。
もちろん引継ぐ“人”がいないと事業承継は進まないのですが、その他にも大事な要素である“いつ”“どのような方法”で引継ぐかということも考える中で非常に大事なものとなります。

本書では「経営者の幸せな辞め方」を軸に置き、そのために検討すべきポイントは何かという部分を丁寧に解説しています。事業承継の完了までには長く時間がかかり、成功したかどうかの判断もかなり先の段階にならないと区別がつきません。だからこそ事前にどれだけ準備できるかどうかが成功確率を上げる王道です。準備の大切さも学べるため事業承継の初めの一歩として読んで頂きたい本となります。

【基本情報】
出版社:かんき出版
著者:門澤慎 佐奈徹也
値段:1,760円
難易度:★
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1.2 社長の想いを引き継ぐ 事業承継の進め方

後継者に会社を引継ぐということは社長業の引継ぎでもあります。
業務面の引継ぎは比較的スムーズに進みやすいですが、経営理念や社長の在り方といったマインド面の引継ぎは難しく、どのように引継ぐか解説されているものが少ないです。
本書ではどのように伝えていくべきか、現経営者と後継者それぞれの目線で参考になるヒントが記載されています。
例えば相互理解を深める方法として以下の点が挙げられています。

事業承継という問題は2面的に考えていく必要があり、“論理”と“感情”を上手く融合させられるかどうかが大きな鍵となります。本書のタイトルにもある“想い”の引き継ぎという視点を持ちバランスの取れた事業承継を行うためにぜひ読んで頂きたい1冊です。

【基本情報】
出版社:あさ出版
著者:エッサム
値段:1,760円
難易度:★
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1.3 事業承継のツボとコツがゼッタイにわかる本

事業承継の問題は実務の部分から法律的解釈が必要な部分まで多岐に渡っており、経営者が全てを事細かく網羅することは現実的に不可能です。
本書はできるだけ容易な説明で基礎的な内容をほぼ網羅しており、かつ個人~法人の問題まで満遍なくカバーしているので、事業承継を学ぶ上での初めの1冊としては丁度良い内容となっております。
特に本書が優れている点としては、

・事業承継の全体像
・株式の対策方法
・個人保証の対処方法
・贈与、相続、遺言

といった基礎的な内容はもちろんのこと
・事業承継を見据えた決算書の見方
・事業承継の補助金
・相続の遺留分対策
・信託の検討

といった事業承継専門のコンサルタントが提案するような踏み込んだ内容までわかりやすい説明で触れられております。実際に導入するかどうかは別として、検討に値する論点が多数載っているため「事業承継を完了する前に知っておけばよかった…」ということが格段に減ります。本書の活用イメージとしては学生時代の参考書のように、必要に応じて調べて解決する形が良いでしょう。

【基本情報】
出版社:秀和システム
著者:みんなの事業承継研究会
値段:1,980円
難易度:★
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1.4 中小企業の事業承継

1.3で紹介した本よりも更に踏み込んだ内容を記載されているのが本書です。
この本の優れている点は、法改正に対応しており、購入したタイミングではその時の最新の内容が反映されております。
書籍の弱点である情報の正確性の部分を概ねカバーしています。

通常の経営の問題と比較して事業承継が問題になってしまう一つの原因として、事業承継計画の決断までの時間的な長さがあります。
当然ながらどの経営者も事業承継で失敗したいと思っている方はおらず、必ず成功させたいと思うが故にプランの選択に時間を要してしまい、相談できる先もなく、時間だけ過ぎてしまうということが往々にしてあります。
本書は事業承継の考えられる選択肢を詳細に網羅しているため、自社に当てはめて活用できるかどうかを検討すると検討時間の短縮に繋がり、スムーズな事業承継に繋がります。

【基本情報】
出版社:清文社
著者:牧口晴一 齋藤 孝一
値段:3,520円
難易度:★★★
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2.事業承継の手段別に更に深く学べる本

1章で全体感を掴むと自社の事業承継で活用できるアイディアがなんとなく浮かんでくるかと思います。
2章ではよりそのイメージを具体化できる本を紹介します。

2.1 非公開会社の自社株のしくみがわかる本

事業承継を検討していくにあたって問題となりやすいのは株式の問題です。
株式は中小企業であっても1株でも持っていれば株主としての権利を保持しており、かつ市場価値が無いにも関わらず税金計算上は価値があるため非常に扱いが難しいものとなります。
だからこそ事業承継でどのような選択肢を取るにしても必ず株式に関する知識は蓄えておくべきです。
本書では株式に関して以下のようにリスクを冒頭に取り上げています。

それぞれのリスクに対して問題が生じる背景から解決策まで端的に取り上げています。
手法が多数掲載されていますが、趣旨としてはあくまでも経営に関係していない親族や第三者からの経営的リスクを抑えるためにという部分です。
きっとこの本を読んだ経営者の方は「自社の株式はどうなっているのだろうか」と調べるはずです。
実はその行動がとても大事で“現状把握”を早くできるかどうかが事業承継の成功確率を上げると言っても過言ではありません。解決策は専門家と一緒に考えれば良いのでぜひまずはその1歩を動き出して頂けると良いでしょう。

【基本情報】
出版社:同文舘出版
著者:田儀 雅芳
値段:2,420円
難易度:★
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2.2 ホールディングス経営はなせ事業承継最強メソッドなのか

事業承継の選択肢として持株会社体制(≒HD体制)が注目を浴びており、HD化を検討してみたい方におすすめしたいのが本書となります。
実際私の所に届く相談の半分が「自社をHD化したいがどうしたらよいでしょうか」という類のもので占められています。

HD化したいご相談の中で8割以上が経済的なメリットを享受するために希望される方が多いですが、あくまでもそのような利点は副産物のものです。
特に中小企業における経済的メリットは不確定要素が多いものかつ他の選択肢でも代替可能な場合があります。当然ながらHD化を行うためには初期費用(業務委託手数料・登記費用等)やランニングコストがかかるため、結果的にメリットもあったが、出ていく費用もあって、全体収支があまり変わらなかったという結末もあり得ます。
そのためあるべき姿として、一番は会社の経営理念や事業を円滑に引き継ぐためという目的があってその手段としてHD化だと考えています。
本書は理念の承継と事業の環境適応という事業承継において最重要課題について具体的な例を提示しながら、どのような最終形を目指していくと良いかという気付きを与えてくれます。HD化の詳細を詰めたい方やそもそもすべきどうかを検討した方にとってとても参考になる1冊です。

【基本情報】
出版社:ダイヤモンド社
著者:中須 悟
値段:1,760円
難易度:★★
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2.3 中小・ベンチャー企業のための成功するM&A失敗するM&A

世の中に出回っているM&Aの書籍の中で、“M&Aで高く売るための手法”や“M&Aの全体像”が記載されているものは多いですが、実際の経営者の心構えとして「何を大切にして関わっていくべきか」という考え方が載っているものはとても少ないです。

この本は実際に自社(=アチーブメント社)を売却した経営者の目線とそこに携わった専門家としての立場の目線から解説されています。
あくまでもM&Aは会社を発展・存続するための手段の一つにしか過ぎず、売り手として大事なのは残された社員や取引先にとってどうなのかという「利他的」な思い、根幹の部分であることが学べます。
また買い手に関してはその売り手の想いをしっかりと汲み取ってもらえるのかという部分に共感できるかがその後成功するかどうかを左右します。
実際に私が携わったM&Aでも条件面(金額・契約までのスピード感等)を重視したものはその後上手くいっているケースはあまりありません。当初は社員の事を思ってM&Aを始めたものの、最後は条件面を重視して契約したこともあってか、元々いた社員が1年後に半分以下になってしまったということもありました。
特に中小企業のM&Aは、経営理念や経営者の思想といった考え方の部分に大きく左右されるため、事業承継の選択肢として検討される場合は必ず読んで頂きたい1冊です。【基本情報】

出版社:アチーブメント出版
著者:仙石実 青木仁志
値段:2,420円
難易度:★★
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3 まとめ

どの本を読んだら良いかという点に関しては、

・事業承継を考え始めた経営者→1.1、1.2
・事業承継の論点を広く網羅したい経営者や同業者→1.3、1.4
・事業承継の選択肢を深く学びたい経営者→2.1、2.2、2.3

を参考にしてください。
今回取り上げた本に共通するのは「円滑に事業承継をするために」という目的がありきで論調されている点になります。
これは私たちが事業承継という分野に携わってきた経験によるものです。
もちろん長くかかわってきた会社の引継ぎですので経営者(オーナー)としての個人的都合が引継ぎ計画の中に入ることもあるかと思います。しかしそれが一番の目的になってしまうと短期的には上手くいったとしても、長期的に歪が生じ関係者の誰かが損をしてしまい大局的にみると失敗となる傾向が多いです。

そのような末路にならないためにもご紹介した本で知識を貯め、自社の事業承継計画を立てる際の参考にして頂けると幸いです。