増やすより貯める
中小企業では、投機の失敗は命とり
中小企業は大きくなるよりつぶれないことが大事です。
経営のコツはコツコツやることだと先月号でも書きました。
大企業では財務部で財産運用がなされています。
サンリオの投資失敗やヤクルト、メリーチョコレートのデリバティブ取引の失敗は有名な話です。
メリーチョコレートの場合は、ロッテに株式を譲渡し、子会社になってしまいました。
中小企業では、投機の失敗は命とりになります。
私はお客様からの投資話の相談では決まってこのように話をしています。
「もしこの投資をしなかったことにより儲けられなかったくやしさと、この投資をして失敗した場合の後悔とを比較して経営者としてどちらが正しい選択か」と。
ほとんどの経営者はうまいもうけ話をとどまってくれます。
こういう話はけっこう銀行からくるものなのでお客様は信用してしまいます。
ある経営者は言っていました。
「銀行さんが持ってきたうまいもうけ話で今迄うまくいったことは一度もなかった。」と。
お金は増やすものではなく貯めるものです。
私は今迄会社で土地・建物は買ったことはなく、株取引もしたことがありません。
お客様とのつきあいで少人数私募債や株を買ったことはあります。
本業のみでお金を貯めることを心がけてきました。
理由は、社員の目です。社員がどう思うかということを一番気にしています。
社員から尊敬される経営者になろうと努力しています。
社員は使用人ではなくパートナーだからです。
パートナーである社員に堂々と説明できる経営をしなければならないと思っています。
社長が株や土地の投資で儲けても喜ぶ社員はほとんどいません。不安になるだけです。
反対に失敗すれば社員が一生懸命働いて稼いだ利益を全てなくします。
それで賞与が減ったりしたら、会社で一番大切な信頼がなくなります。
不況とか本業の失敗は全社員の結束力を高め、会社の成長の源になりますが、投資の失敗は命とりになります。
利益をお金で残すための具体的施策
お金を貯めるには、売上をあげ経費を倹約して利益をお金で残すことですが、私がやっているのは、
1．早朝出社。
開業20年間は朝6時に出社し、帰りはPM10:00～11:00の間、休みは月2日位でした。
経営者が働く時間を長くすれば、お金を使う暇がないのでお金は貯まります。今は6:45分出社です。
2.経理公開。
パートさんを含めた全社員にB/S、P/Lを渡し、経営計画書に記入してもらっています。
監査役の社員に監査してもらい総勘定元帳を社員の休憩室に備え置いています。
私が公私混同しないためです。
私の給料も社員に公表しています。
自分だけよくなればよいと考えないようにするためです。
社員と家族の幸せが会社の使命ですから。
3.社長室はない。
私には社長室は必要ありません。
ほとんど自分の席にいることはなく、お客様に行っているか、会議室でお客様と打ち合わせをしています。
私の席は入口の受付の隣です。
お客様が来られたらすぐに挨拶に出られます。帰られるときもすぐに対応できます。
社長室がない分、社員の執務面積は広くなり、会社全体の動きも見えるので効率的であり、社長室に高価な絵や応接セットも必要ないのでお金が貯まります。
4.保証金が100万円のみ。
380坪借りていますが、保証金は100万円のみ、保証金は資産計上できるのでお金が固定化されるうえに費用にもならないので、お金の無駄です。
私はビルを借りるときに、保証金ゼロと更新料ゼロを条件に入居しました。
保証金分自由に使えるお金が貯まっています。
貯めるだけにとどまらない、お金の使い方
お金は使い方であると思っています。
私共の会社では毎年4月2日は会社を休みにして、パートさんを含む全社員でディズニーランドに行きます。
家族も招待です。女性社員で夫に休んでもらい家族で来られる方もいます。今年は200人を超えました。
毎年社員の子供達の成長を楽しみにしているとともに、社員と家族を守るという責任を自覚する時でもあります。
また、2年に1度は全社員で海外旅行にも行っています。
人は先に楽しみがあると楽しく働けるものです。
また、異業種交流会も行っています。
異業種交流会は、お客様同士のお見合いの場として、毎年7月に行なっています。
今年で8回目になります。
古田圡 満
