ビジネスの原理原則とは関わる人を幸せにすることである

世の中の流れが加速し続ける中、その時その時の流行りに振り回されず、結果を出し続ける方法はないか・・・なんて考えたことはありませんか。
実は、時代が変わっても揺らがないビジネスの『原理原則』は存在します。
ビジネスの原理原則を理解することで、安定した成果を得ることができるようになるのです。
なお、世の中には原理原則と言われるものが数多く存在しますが、実は原理原則はたったの一つしかありません。
それは「関わる人を幸せにすること」です。
このページでは、ビジネスの『原理原則』を理解したい方のために、シンプルにまとめたこのたった1つの要素について分かりやすく解説します。
1. ビジネスの原理原則は「関わる人を幸せにすること」
ビジネスの原理原則は関わる人を幸せにすることです。
規模や業種業態などは一切問わず、世の中の全ての成功しているビジネスはこの原理原則に則っているはずです。
反対にこの原理原則に則っていない企業は、短期的には成果を上げることができても、長期的に成果を上げ続けることはできないはずです。
ここではその理由を9つ解説していきます。
1.1 理由1 ビジネスは一人では成立しないから
ビジネスには、必ず複数の登場人物が存在します。
仮に、会社を個人一人でやっていたとしても、その先にはお客様が絶対に存在します。
ですから、ビジネスは絶対に一人で完結することはできません。
そこで必要になるのは、相対する人との関係です。ビジネスは全て相対する人が喜び、幸せになることで対価を得る構図になっているのです。最少は1対1の関係ですが、関わる人が増えることで、さらに幸せを追求することができるようになります。
つまり、関係する人が幸せを感じられる会社こそ社会から必要とされるようになり、結果として規模も大きくなっていくということが言えるのではないでしょうか。
1.2 理由2 利益追求だけでは長続きしないから
幸せとか喜びとか2の次で、とにかく儲かればそれでいいと考えている会社が一定数いるのも事実です。しかし、そういう会社は短期的には成果は上げても長続きしていきません。
上記は、長寿企業ランキングの上位10業種を記載したものです。
(帝国データバンクより:https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241024_shinise2024/)
記載の通り、時代の潮流となるような業種はほとんどありません。
また、倒産した会社のうち、黒字のまま倒産した会社は46.8%に上り、
約半分の会社は利益がでているのに倒産してしまうという状況です。
(※1 出典 株式会社東京商工リサーチ: 2020年「倒産企業の財務データ分析」調査)
利益だけを追いかけていては、会社が短命で終わってしまう可能性が高いことがこの数字からも読み取れるのではないかと思います。
1.3 理由3 お客様満足によって継続的な業績向上につながるから
ビジネスは、継続的な売上があると安定した経営を実現することができるようになります。
なぜなら、会社には固定費という売上がなくても必ずかかる経費があるからです。
その経費を売上が上回らなければ赤字になり、その状況が続けば基本的に会社は倒産することになります。継続的な売上は、その状況を改善し固定費を安定的に賄ってくれる存在となるため、ビジネスが成功するための重要な存在です。
では、どうすれば継続してくれるでしょうか。
それはお客様がその商品・サービスに満足しており、ずっと使い続けたいと思える状況になっているかに尽きると思います。
また、その商品・サービスを利用することで感動し、ファンとなっている状態にまでなれば、口コミでお客様がお客様を呼んでくださる状況になり、新規開拓にかかるコストも削減され、結果として業績向上につながるようになります。
1.4 理由4 社員満足によってお客様満足度の向上につながるから
お客様満足度の向上が安定した業績向上につながることを説明しましたが、そのお客様満足向上のカギを握るのが社員の存在です。近年はクラウドワーカーやギグワーカーといった、社外社員であることも増えておりますので、彼らも対象となります。
社員の存在は、会社がサービスを提供するために必要不可欠な存在であることは、業種問わず間違いない事実ではないかと思います。
サービス提供のカギを握るその社員が満足度高く働いていれば、結果、その社員はお客様に喜ばれようと一生懸命働くことになり、お客様の満足度向上に大きく寄与することになります。
また、社員の満足度が高かければ、離職率もおのずと下がることになり、結果採用コストなども抑えることにつながり、結果生産性を高めることになります。
なお、ハーバード大学のヘスケット教授とサッサー教授らが提唱したバリュー・プロフィット・チェーンやサービス・プロフィット・チェーンにおいては、従業員満足度と顧客満足度の相関関係が示されており、従業員満足度があがれば顧客満足度と業績があがるということが実証されています。
1.5 理由5 社会貢献活動が世の中から必要とされるようになっているから
近年は、SNSの影響もあり、その会社だけが潤っていればいいという状況に対して、懐疑的な風潮が強くなっています。
世界的にもSDGsに対する意識が年々向上しており、ESG経営など、地球、社会に優しい会社が評価を受けるようになってきました。
お客様満足、社員満足とあわせて社会貢献活動も積極的に行っていくことで、地域社会から喜ばれ応援されることで、会社の価値も高まると言えるようです。
1.6 理由6 経済学やビジネス理論としても理論が証明されているから
「経済学の父」と称されるアダム・スミスが提唱する「見えざる手」の理論では、個々の利益追求が市場全体の調和と幸福につながるという考え方を提唱しています。
また、現代経営学の発明者である経営学者のピーター・ドラッカーは「ビジネスの目的は顧客を創造することであり、価値を提供すること」と述べています。
これは、お客様に価値を提供し、満足を与えることがなければビジネスは成り立たないということを指しています。つまり、関わる人の幸せがビジネスの原理原則であることを教えてくれています。
1.7 理由7 心理学や行動経済学的にも理にかなっているから
幸福学の研究では、他者を助けたり、良い影響を与える行動が、自分自身の幸福感を高めるとされています。
ビジネスを通じて他者を幸せにする行為は、結果として企業や従業員の持続的なモチベーション向上にもつながっていることになり、関わる人を幸せにすることは心理学的にも理にかなっていることを証明してくれていると言えるのではないでしょうか。
1.8 理由8 数字やデータでも証明されているから
ハーバード・ビジネスレビューの研究によると、顧客満足度が高い企業は、満足度が低い企業に比べて収益成長率が高い傾向があることが証明されています。また、ギャロップ社の調査では、従業員の幸福度が高い企業は、幸福度が低い企業に比べて生産性が21%高いというデータがあります。
上記の通り、数字やデータにおいても、社内外問わず人々を幸せにすることが、ビジネスの成功に寄与することが証明されています。
1.9 理由9 関わる人を幸せにして成功している企業があるから
関わる人を幸せにすることで成功している企業が実在します。言い方を変えれば、多くの成功している企業がこの原理原則を証明してくれています。ここでは特に象徴的な3社の事例を紹介します。
1.9.1 お客様満足を徹底した企業の成功事例
愛知県名古屋市を中心に、小児科を展開する柊みみのどはなクリニックは、
「子供たちの未来のためにハッピーなクリニックを創る」を使命に掲げ、
徹底してお子さんに寄り添ったサービスを展開しています。
内装は子供達が飽きないようなカラフルでイラストがたくさんあるような内装にし、クリニックにも関わらず、院内にて頻繁に子供向けイベントを実施。
施術後にはガチャガチャやクレーンゲームを無料ですることができ、お子さんの笑顔が絶えません。
お客様の要望が絶えず、クリニックを次々に開業しています。
1.9.2 社員の幸福を重視した経営モデル
東京都江戸川区に本店を置く、古田土会計グループは
「日本中の中小企業を元気にし、その社員と家族を幸せにする」ことを使命として掲げ、
中小企業に対し家庭教師の様に寄り添って経営までサポートする会計事務所を中心としたコンサルティンググループです。
この会社の経営理念は「一生あなたと家族を守る」。
創業初期に社員と行った日帰り旅行の帰りに交通事故にあい、助手席にいた女性が右足を切断するという大事故をきっかけに、「会社は社員が幸せになる場所である」と思いを固め、社員が安心して働けるような会社作りを徹底しています。
平均年収は大企業と引けを取らず、万が一社員が病気や不慮の死を遂げてしまったとしても、
毎月10万~20万を払い続ける制度や、社員の子供の数に応じて手当が増えるような家族手当を設置。
子供が4人いると月8万年間約100万円を手当として支給されます。
離職率の高いコンサルティング業界にも関わらず、離職率5%と低い水準を実現しています。
1.9.3 社会への貢献を通じて人を大切にする経営大賞を受賞した富士メガネ
北海道札幌市に本社を置く、株式会社富士メガネはアフターケアを充実させ、
品質を重視したメガネを提供することで評価が高い会社ですが、
その一方で1983年より、UNHCR(国連 難民高等弁務官)の管理下にある海外の難民キャンプを訪問し、
難民一人一人の視力を検出して、適切な眼鏡をその場で手渡すという難民の視力支援活動を行っております。
これまで37回、201名の社員がボランティアで参加し、18万組余りの新しい眼鏡を寄贈しています。
また急増する難民への財務支援として、これまで4百万ドルの寄付(各10年延払い)をUNHCRに約束し、実行しています。
これらの取り組みが評価され、人を大切にする経営大賞にて内閣総理大臣賞を獲得されています。
2. まとめ
2.1 関わる人を幸せにするための3つのステップ
ビジネスの原理原則が「関わる人を幸せにする」ということがご理解いただけたでしょうか。
なお、ビジネスの原理原則を実践していくにあたっては、実現していく順番が決まっております。
まず一番に「お客様満足」。ここがなくては、そもそもビジネスが成立しませんので、まずはお客様に喜ばれる事業構造を構築することが一番最初になります。
その体制ができたら次に「社員満足」の向上に重点を置いていきます。
最初は給料・賞与を高めることから、そして、働きやすい環境を構築していきます。最後に社会貢献。
多くの会社は社員満足で止まってしまうことが多いですが、世の中から必要とされる会社になることで、社格が高まり公器の器になることで、本当の意味での会社になることができるのです。
冒頭にもお伝えしましたが、ビジネスは決して一人で完結することはありません。関係する人の幸せを少しでも多く増やせるようにしていきましょう。