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売上高経常利益率が10%ないと社長失格!?

売上高経常利益率が10%ないと社長失格!?

「理想的な売上高経常利益率はどのくらい?」
「損益分岐点比率は何%以下が適正?」
「粗利益率が異なる業種でも目標は同じになるのか?」 などなど

よくこのような会社の収益性に関する質問をされることがあります。
健全な会社運営をする上で一体どのくらいの目安が適正なのか、わかりにくいものです。

今回もそんな企業の皆様が頭を抱えている悩みに、書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』からポイントをかいつまんで、しっかりお答えしてきます。

「売上高経常利益率はどのくらいを目指したらいいの?」と思っている方は、ぜひご覧ください。

▽動画でも解説しています

理想の売上高経常利益率は?

よく日経新聞などでは「売上高経常利益率」や「経常利益額」というキーワードを目にしますが、一体どのくらいの尺度で評価すべきものなのでしょうか?

例えば、売上高1000億の企業の経常利益が10億だった場合「売上高経常利益率1%」ということになりますが、売上高が100億で経常利益が10億だった場合はどうでしょうか。

この場合は「売上高経常利益率10%」ということになり、よっぽど経営効率は高いと評価されます。しかし、このように売上高を基準に考えてしまうと、会社や業態によって「粗利益率」が様々であるため、全ての会社に「売上高経常利益率○%」が正しいと言い切れるものではありません。

当然高いに越したことはありませんが、世の中の全ての企業を通して一律した基準にできませんし、どんな税理士でも会計士でも「あなたの会社はこのくらいです」と、明確に応えられる人は少ないものです。

その中で「売上高経常利益率は10%以上でなければダメだ」という考え方もありますが、その企業の粗利益率によって売上高経常利益率が異なるのであれば、業種によって目標とする数字はおのずと変わってきます。

売上高経常利益率とは本来会社の収益性をみるための重要な指標ですが、会社としての良し悪しを売上高経常利益率だけで評価することはできません。売上高経常利益率は、どれだけ儲かる事業をしていて、どのくらい経営効率が高いかを示すものになります。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高

業種ごとに目標の目安が異なる

一般的な業種ごとの粗利益率を見てみると以下のようになります。

⚫︎ 士業・コンサル業100%
⚫︎ 美容業90%
⚫︎ 飲食業60%
⚫︎ 製造業・印刷業50%
⚫︎ 小売業30% など

このように、業種によって粗利益率は大きく異なります。

その中で、一般的な製造業の50%という粗利益率を基準にして、京セラ創業者の稲盛氏は「売上高経常利益率が10%ないと社長失格である」と自身の著書で唱えています。

しかし粗利益率とは、売上高に占める粗利益額の割合です。
それに対して、売上高経常利益率は総売上高の中で経常利益をどれだけ残せたかを示す割合となるため、粗利益率に「経営安全率」を掛けても求めることができます。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高
経営安全率=経常利益÷粗利益
粗利益率=粗利益÷売上高

上記の計算式から「売上高経常利益率=粗利益率×経営安全率」となります。
つまり、粗利益率が様々な業種によって目標とする売上高経常利益率は「一律ではない」ということになるのです。

売上高経常利益率5%はダメな会社?

答えとしては「一概には売上高経常利益率5%だからダメな会社とは言えない」となります。
これまで説明してきたように、業種によって一般的な粗利益率は異なるため、当然その会社の理想的な売上高経常利益率も変わってきます。

卸売業であれば、粗利益率が10〜15%で経営安全率20%を掛けると2〜3%が適正となっており、小売業であれば、粗利益率が25〜30%ですので5〜6%の売上高経常利益率が適正であると捉えることができます。

あくまで、小売業であれば売上高経常利益率5%は悪い数字ではありません。
売上高経常利益率が何%だからという理由だけで、その会社が優良企業なのかそうでないのかは一概に判断できないということになります。

つまりその業種によっては「売上高経常利益率10%なくとも社長失格ではない」ということになります。

損益分岐点比率80%以下を目指す

粗利益率が業種ごとに異なるのであれば、一体何を基準に経営状態を見ていくといいのでしょうか?
それは「損益分岐点比率」となります。

損益分岐点比率とは、実際の売上高に占める損益分岐点売上高の割合を示すものです。損益分岐点比率は低ければ低いほど安全とされている財務指標になります。

損益分岐点比率=固定費÷粗利益(※または損益分岐点売上高÷売上高×100%)

業種によって変わらない「損益分岐点比率」を下げるという考え方であれば、言い換えると「経営安全率」をあげるとも言えます。「損益分岐点比率=1−経営安全率」と捉えることができます。

その安全ラインを考慮して考えると、1つの目安としては「損益分岐点比率80%以下(=経営安全率20%以上)」を目指すことで健全な経営が可能といえます。

<数値の目安>
90%以上‥‥改善が必要
80~90%‥‥日本企業の平均的な数値
60~80%‥‥安全
60%以下‥‥黒字確保に問題ない
引用<https://www2.meijo-u.ac.jp/~onishi/zaimuw7/sonekiuriage.html

さらに会社に対して本当の評価をするためには、粗利益を固定費で割る「生産性(付加価値)」をベースに考えてみることが必要です。人件費で割ると「賃金生産性」、社員の数や労働時間で割ると「労働生産性」と言われます。つまり生産性とは分子に「付加価値」を持ってくるという考え方ですが、中小企業の経営者は、生産性で会社を評価することが重要です。

だから「売上高経常利益率」を目標にするのではなく「損益分岐点比率」や「生産性」を経営の目安にするべきなのです。

まとめ

⚫︎ 売上高経常利益率は一律に判断できない
⚫︎ その業種の粗利益率によって目標数値は異なる
⚫︎ 売上高経常利益率ではなく損益分岐点比率を基準に考える
⚫︎ 損益分岐点比率80%以下が1つの目安

売上高経常利益率は、業種ごとに異なる粗利益率に影響を受けるため基準値を示すのが難しいですが、損益分岐点比率はすべての会社に当てはまるため、明確な基準として活用できます。

目標が明確になれば経営の舵取りもしやすくなりますので、まずは自社の損益分岐点比率を算出するところから始めてはいかがでしょうか。

損益分岐点比率をはじめ、経営に必要な数値の目安が記載してある『未来会計図表』をご用意しました。ぜひ、参考にしていただけますと幸いです。

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