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【解説】流動比率が高いから、うちの会社は安全という勘違い

【解説】流動比率が高いから、うちの会社は安全という勘違い

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回は「流動比率が高いから自社経営は安全か?」というテーマで財務体質の改善について分かりやすく解説します。
「流動比率が高いなら安全では?」と思った方もいらっしゃるでしょう。
ところが、流動比率が高くても会社の財務体質によっては安全とはいえません。

今回は会社の財務体質の改善方法もあわせて解説します。
「財務体質の改善方法を知りたい」
「財務体質を改善するためには何から始めたら良いのか分からない」
というお悩みにお応えします。

ぜひ最後まで読んでみてください。

▽動画でも解説しています

社長の成績表®

古田土会計事務所では、決算後や新規顧客の状況を確認する上で活用しているオリジナルの中小企業評価表があります。
オリジナルの評価は財務体質を確認するのに役立ちます。

古田土オリジナルの「社長の成績表®」で商標登録済みです。
中小企業の特徴や状況、財務の面を確認するのに活用します。
銀行版と中小企業版の2種類あります。

次に2種類の特徴を説明します。

銀行版

銀行版はもともと、三菱UFJ銀行がつくった評価表を基準にしていて一般的なものです。
社長の成績表®に表示する具体的な項目は4つ

1. 安全性
2. 収益性
3. 成長性
4. 返済能力

銀行が最も注視するのは返済能力です。
企業の優劣を判断する材料として銀行版は役立つのです。
銀行が融資判断に使える指標を得るために、比率を出しているといえます。

大雑把な内容

自己資本比率、ギアリング比率、固定長期適合率、流動比率をチェックします。
銀行版は流動比率が高い場合は安全であると位置付けています。

企業のキャッシュフロー等については明示していないため、本来の目的である財務体質を詳細に確認することはできません。
銀行版の大雑把な内容では会社の本質まで見抜くことはできないのです。

本コラムのテーマは財務体質の改善です。
会社の本質を見抜き、財務体質の課題を見つけ改善していくことが私たちの目的です。

中小企業版

元々あった銀行版に加え、中小企業版の「社長の成績表®」をつくりました。
財務体質を改善することが目標です。

目的にかなった、評価基準が主なポイントです。
企業が保有する資産の内容を確認し、改善していきます。

結果、強固な財務体質に変えていくことができます。
財務体質の改善という目的に合った評価基準を明示できるのが、古田土式「社長の成績表®」といえます。

チェックする比率の種類

銀行版の一般的な比率は書いてありますが、あくまでも銀行の立場にとっての比率であるため、財務体質を改善するために、必要な課題は見えてきません。
会社の潜在的な能力を確認するために、必要なことは財務体質の抜本的な内容です。

企業の財務体質の抜本的な内容を知ることで企業の改善をはかることができるのです。
企業の優劣を表面的に判断するだけでは改善対策を提示することはできません。

銀行が中小企業の格付けをみる理由

注目してもらいたいのは、そもそも銀行は何のために中小企業の格付けをしているのかということです。
銀行にとって中小企業を判断するポイントは返済能力です。

返済する能力が高い中小企業ほど格付け点数は高くなります。
企業の優劣判断はあくまでも銀行という立場において重要な比率に絞って判断しているということです。

中小企業の改善

財務体質の改善を図るためには、企業の現預金や投資、負債といった本質を知る必要があります。
現預金が相応にあっても、それ以外の資産が将来のキャッシュフローに結びつかない状況であれば、流動資産の内容をしっかりとチェックし財務体質を強くしていく必要があります。

財務体質を強固にする

自社の財務体質を強固にするには、まずは現預金をしっかりと持つことです。
高額な設備投資や、貸付金といった現預金ではないことにお金を使い込んでしまい、現預金よりも高額な量を保有するのは財務体質を強固にしていません。

反対に財務体質を悪化させてしまう場合もあり得ます。

スコアリングシートはタダの根拠に過ぎない

スコアリングシートによる表面的な点数は、財務体質を改善するキッカケにはなりません。
明確にするべきことは、改善が必要な項目や目標を知ることです。

中小企業の改善に重要なのは資産の内容といえます。
投資は純粋な資産ではありません。
財務体質を判断するうえで重要なのは、現預金をしっかりと持っているかなのです。

帝国データバンクによる評価点数は倒産の可能性

帝国データバンクによる評価点数が50点以下の会社は86%以上もあります。
何万社と評価している帝国データバンクの評価の9割近くが50点以下です。

中小企業の殆どが50点以下である理由は、帝国データバンクが信頼を失わないために、厳しくしています。
帝国データバンクが見る指標は、1年以内に倒産する可能性の有無です。

高く点数をつけていたにも関わらず、1年以内に倒産してしまったら、信頼を失ってしまうからといえます。
帝国データバンクの評価制度の信用性を下げないために、厳しい点数評価体制にしているのです。
よほどの大きい企業でない限り、低い点数になっています。

倒産する可能性の低い企業と取引を希望するならば有効な情報といえます。
ただし、中小企業の財務改善、強固な財務体制という目標においては、あまり役に立たない情報になります。

目標は財務体質を改善すること

帝国データバンクの評価制度では自社経営、財務体質の改善をはかるための情報としては不向きです。
中小企業の評価は、目的に適した基準で実施する必要があります。

必要な情報を得るためにオリジナルの評価基準を設け、財務体制の改善にあたります。
中小企業のための格付け表が本記事で紹介している、オリジナルの評価基準による判断基準を設けた古田土式社長の成績表®(中小企業版)です。

古田土式社長の成績表®は業界初の画期的な評価になります。
5段階評価による評価基準を設けています。
中小企業に役立つ評価基準を提供しているのです。

提供する評価の目的は自社の弱点に気づき、改善する方法を探るきっかけとなることです。
社長の成績表®は経営改善のヒントになるでしょう。

流動比率が高くても倒産する

流動比率は、流動資産を流動負債で割ったものです。
流動資産よりも流動負債が多くなってしまう会社経営は危険です。
流動比率を高く保ち、なるべく負債を抱えないようにすることが重要です。

繰り返しになりますが流動比率が高いだけでは安全とはいえません。
流動比率が高くても資産内容によっては安全ではないのです。
資産が投資や、なかなか回収できそうにない貸付では、安全な財務体質とはいえません。

大手レナウンが倒産した理由

流動比率を分かりやすく説明するために、倒産したレナウンの情報を紹介します。
帝国データバンクの最終的な評価は51点でした。
いつ倒産してもおかしくない状況だったともいえます。

レナウンは当時相当な大企業でした。
バランスシートの示す高い流動比率にもかかわらず倒産しました。

倒産した当時抱えていた問題は、流動資産の中身です。
レナウンは現預金に対し、負債額と貸付額が大幅に上回っていました。
健全な財務体質から、かけ離れてしまっていたといえます。

流動資産の内容が重要

流動資産の内容は非常に重要です。
会社を良くするも悪くするも原因は流動資産の内容にあるといっても良い程、流動資産の内容は重要です。

財務体質の良い会社とは、数字的に見るならば、預金を多く持っている会社です。
倒産しない会社といえます。

強い会社にするには預貯金をしっかりと持つこと

倒産しない会社、財務体質の良い会社とは、自己資本比率が高くて現預金をしっかりと持っている会社です。
流動比率が高いことだけでは、倒産しない会社、財務体質の良い会社とは言い切れません。
現預金をしっかりと持っていて、さらに借入金が少ないか、無いことが大切なのです。

預金を多く持っていれば、固定資産やゴルフ会員権、投資、寝かせている棚卸資産、なかなか回収できない売上債権といった回収や資金化に長期間を要する資産があっても、キャッシュフロー的に当面は対応可能ということになります。

自己資本比率が高い会社でも現預金のない会社は、過度な設備投資や投資、売上債権、棚卸資産などの資金化や回収が長期化した際に対応が困難となります。

先にご紹介したレナウンの最後の決算書では総資産300億のうち、189億が売上債権と棚卸資産で現預金は34億円でした。
現預金額の方が売上債権と棚卸資産よりも少額で負けていたことになります。

流動比率が高くても、売上のほとんどが棚卸資産と売上債権として回収に長期間を要する状態にありました。
現実的に回収できていなかったといえます。

倒産の考えられる原因のもう1つは、中国の会社に対する貸付が多かったのです。
回収できないお金が膨らんでいました。

レナウンを例にして分かるように、一般的な財務分析の数字だけでは的確な判断はできないということです。
財務分析の数字が高いから安心と判断しないことが重要になります。

現預金をきちんと持っているかに注目し、中小企業の評価を基準にすることです。
中小企業を判断するうえで重要なことは、現預金をきちんと持っていて自己資本比率が高いかなのです。

いってしまえば、流動比率だけでは企業を判断するのに役立ちません。
中小企業を判断するという実務において非常に重要なポイントでもあるのです。

なお、今回の記事でご紹介した「社長の成績表®」をプレゼントとしてご用意いたしました。
ぜひ、自社の数字を当てはめて、正確な現在値を掴むのにご活用ください。

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