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売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い④

売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い④

「自分の会社の財務をなんとか改善したい!」
「資金別貸借対照表の見方や活用方法を知りたい!」

などとお考えの方はぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、これまで3回にわたって解説してきた「売り上げや利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」です。今回は資金別貸借対照表の活用方法やこれまでの総括などをお伝えします。

前回までの記事はこちら
↓↓↓
売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い
売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い②
売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い③

儲けたお金がどこに消えているのか知りたい方や資金別貸借対照表を使いこなせるようになりたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

▽動画でも解説しています

資金別貸借対照表を使って支払手形を無くす方法

前回のおさらいも含めた内容ですが、財務体質を改善するには、支払手形を0にすることが重要です。支払手形が落とせないと銀行取引停止になって倒産に追い込まれるリスクがあるので、支払手形をできるだけ無くせるように努力しましょう。

前回は売上仕入資金の部の運用を改善して支払手形を減らす方法と、支払手形を0にしてその分を短期借入金で補う方法を紹介しました。

例えば、支払手形が1億6,700万円ある場合、前者の方法だと、売上仕入資金の中の受取手形と売掛金を5,000万円くらい減らせないかを検討します。あわせて固定資産の中の棚卸資産でも5,000万円ほどの削減を図り、合計で1億円くらい減らせれば、支払手形の大半を無くすことが可能です。

後者の方法では、支払手形を0にして短期借入金で1億6,700万円を調達します。先に固定資産のバランスを改善し、長期・短期ともに借入金の額を減らしておけば、この方法が使えます。

借入金に関しては、銀行に対してリスケが効くので、増えたとしてもすぐに会社が倒産することはありません。そのため、現状の借入金が少ない場合は、支払手形を借入金に変えるのも、財務体質を改善するのに有効です。

また両者の方法を組み合わせて使うのも良いでしょう。受取手形・売掛金と棚卸資産で1億円くらい減らしたうえで、支払手形を0にして残りを短期借入金で補充するならば、借入金は7,000万円未満で済みます。

こうしたことを長期的なバランスシートの目標にして財務体質を改善していきます。これが資金別貸借対照表の正しい使い方です。

「売上や利益が増えると財務体質が改善される」は勘違い

多くの中小企業の経営者の方は、売上が増えれば利益が増えて、財務体質も改善されると勘違いしています。たしかに入金条件や支払条件がしっかりしており、十分な利益が出ているところは、その積み重ねが財務体質を改善します。

しかしながら、売上高が増えたからといって、急に財務体質が改善されるわけではありません。そのときに設備投資など、お金の使い方を間違えると、いくら売上が増えて利益が出ても財務体質は良くならないので注意しましょう。

資金別貸借対照表の優れているところは、儲けた利益がどこに消えたのかをはっきり教えてくれるところです。それが固定資金で消えたのか売上仕入資金で消えたのか、もしくは流動資金で消えたのか、資金別貸借対照表があれば証明できます。

証明できるからこそ、対策も打てるわけです。固定資金に問題があれば固定資金で対策を打つ、売上仕入資金がまずいなら売上仕入資金を改善する、流動資金で有価証券などに余計な支出をしていればそれを無くすなど、いくらでも対策できます。

◯【ポイント】固定資金・売上仕入資金・流動資金には税金がかからない

また固定資金・売上仕入資金・流動資金の対策には、一銭も税金がかかりません。むしろ節税につながる場合が多いです。そのため、減らした金額がそのまま資金に直結し、効果的な対策になります。

一方でP/Lで利益を出して改善しようとすると、必ず税金というコストがかかります。利益の33%は税金で持っていかれるので、なかなか財務体質は改善できません。

以上より、財務体質を改善しようと思ったら、優先順位が高いのは税金がかからない固定資金・売上仕入資金・流動資金です。そして、足りない分を損益資金(利益)で賄います。そうすれば、儲けないといけない利益は当初の想定と比べてはるかに少なくて済むので、効率的な経営をすることが可能です。

資金別貸借対照表を銀行に見せてはいけません

多くの経営者は財務を知らず、資金を知らず、そして資金別貸借対照表を知らないので、財務体質を改善することができません。その結果、無駄な金利を払ったり、大変な資金調達をしたり、相当な苦労をされています。

資金別貸借対照表は、本当に会社の内容がよく見えてしまいます。見えすぎてしまうので、私たちは「できるだけ資金別貸借対照表は銀行には見せないでください」と言っています。

資金別貸借対照表を見ると、表面的に利益は出ていても、実質の財務体質がいかに悪いかが一目瞭然です。そのため、資金別貸借対照表を見せてしまうことで、銀行の信用がなくなったり、資金の調達が難しくなったり、金利が上がってしまうということが十分に考えられます。よって資金別貸借対照表は銀行に見せないのが賢明です。

◯【ポイント】資金別貸借対照表で改善策を立てよう

もちろん資金別貸借対照表で会社の中身がよく見えるというのは、メリットでもあります。よく見えるからこそ、会社側からすれば対策が立てやすいのです。

資金別貸借対照表を活用することで、無駄なことをやらなくて済みます。またどの部分をどのように改善すれば会社の体質が良くなるかということもわかります。それが資金別貸借対照表です。

ここまで全4回にわたって「売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」および資金別貸借対照表についてお送りしてきました。本当はお伝えしたいことがまだまだありますが、皆様には資金別貸借対照表が実に優れたツールであること、これを使うと本当に自分の会社がよく見えること、そうした道具も世の中にあるということをご理解いただければと思います。

売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違いのおさらい

ここまで多くの中小企業の経営者がしている「売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」について、全4回にわたって解説してきました。以下では、その要点をわかりやすくおさらいするので参考にしてください。

◯【ポイント】儲ければ儲けるほどお金は足りなくなるのが正解

図1:バランスシートで見るお金の不足

◯流動資産 計17万円 ◯流動負債 計7万円
売掛金 10万円
棚卸資産 7万円 買掛金 7万円

単純な例として、粗利益率30%で物を仕入れて売る業者があった場合、売掛金(売上)と買掛金(仕入れ)は10:7のバランスになるのが原則です。バランスシート上では、これに在庫を意味する棚卸資産が加わります。

上記の図のように、棚卸資産と買掛金が対応するならば、バランススートでは常に売掛金の分だけ左側の金額が多くなります。売掛金はまだ手元に入っていないお金なので、上記の場合だと10万円の不足です。

売上が上がれば上がるほど売掛金は増えていくので、お金はどんどん足りなくなります。そのため、「売上や利益が増えると会社にお金が残る」というのは勘違いであり間違いなのです。

◯【ポイント】資金別貸借対照表は4つの資金で構成される

図2:資金別貸借対照表の見本

資金運用 資金調達
【損益資金の部】
前払費用 前受収益
長期前払費用 引当金
不渡手形 未払法人税等
利益準備金
その他の利益剰余金
前期繰越利益
小計 小計
差繰越損益等
売上原価 売上高
販売管理費 営業外収益
営業外費用 特別収益
特別損失
法人税等 (税引前当期利益)
仮払税金等 (当期利益)
【固定資金の部】
卸売資産 長期借入金
建物・構築物 役員借入金
機械装置等 社債・転換社債
土地 長期未払金
無形固定資産等 その他固定資産
投資等 長期負債調達額計
繰延資産 資本金
減価償却累計額 資本準備金等
資本金等計
【売上仕入資金の部】
受取手形 支払手形
売掛金 買掛金
前受金 前渡金
未成工事支出金 裏書手形
安定資金合計
【流動資金の部】
未収入金 短期借入金
有価証券 割引手形
前払金 短期調達資金額計
立替金 未払金
短期貸付金 預り金
その他流動資産 未払費用
仮受(未払)消費税
仮受金
その他流動負荷
超短期調達資金額計
合計
固定性預金
差引現金預金

図2の通り、資金別貸借対照表は「損益資金の部」「固定資金の部」「売上仕入資金の部」「流動資金の部」の4つから構成されます。

損益資金の部は、会社を設立してからこれまでにいくら儲けたかを表す部分です。基本はバランスシートの利益剰余金ですが、前受収益や引当金などいろいろな勘定科目があって計算されます。

固定資金の部とは、長期的な資金の調達と運用のバランスです。棚卸資産もここに含まれます。棚卸資産は一度投資すると、売れるたびに補充されるので実質的に減らないため、長期的な資金です。

売上仕入資金の部は、売りと買いのサイトの勝ち負けを表します。ここで入金条件と支払い条件のバランスを見ることが可能です。損益資金と固定資金、売上仕入資金の合計を安定資金といいます。

なお、短期借入金や割引手形は、流動資金の部に含まれます。

◯【ポイント】運転資金は必ず長期借入金で調達すべき

銀行は「売上債権(受取手形+売掛金+棚卸資産)−(支払手形+買掛金)」で表される運転資金を短期で貸そうとしてきます。しかしながら、経営者の立場からすると、棚卸資産を含めた運転資金は長期的な資金として調達しなければなりません。

例えば、商売を続ける以上、在庫は実質的に減らないので棚卸資産は長期的な資金です。これを短期で借りてしまうと、3ヶ月~4ヶ月で返さなくてはいけないので、資金繰りに無理が生じます。棚卸資産を即座に現金化することはできないため、銀行が急に「返せ」「もう貸さない」と言ってきたら、お金が足りなくなって会社が倒産しかねません。

そのため、運転資金は銀行の言いなりになって短期借入金で調達するのではなく、必ず長期借入金で調達するようにしましょう。

◯【ポイント】資金別貸借対照表で見る問題点と改善策

資金別貸借対照表を見たときに、以下のような問題点が見られる場合、その会社は危ういと判断できます。

1. 損益資金のほとんどが固定資金と売上仕入資金に吸われている
2. 長期の調達が減っているのに対し、短期の調達が増えている
3. 割引手形や支払手形の金額が大きい

これらの問題点は、資金別貸借対照表を見ながら1から順に対処していくことで改善できます。

最初にすべきなのは、固定資金のバランスを見直すことです。例えば、不動産管理会社を作ってそこに土地・建物を売却すれば、売却分で長期借入金を返済することができます。また長期借入金が減った分だけ短期を長期に組み替えることで、短期借入金を減らすとともに固定資金のバランスを整えることが可能です。

加えて、土地・建物の売却で損失が出れば、それによって数年は税金がかからなくなることから、数年は効率良く損益資金を増やすことができ、その分を財務改善に充てられます。

以上の対処によって、1と2は改善されました。次に3ですが、長期・短期ともに借入金が減れば、返済に備えて預金をたくさん残しておく必要がないので、割引手形を残しておくことができます。支払手形については、冒頭で解説したように、受取手形・売掛金と棚卸資産を見直したり、新たに短期借入金を調達したりすることで0になります。

このように資金別貸借対照表を活用すれば、財務の改善に向けたさまざまなアイデアが生まれるため、経営者にとっては必須のツールだといえるでしょう。

まとめ:資金別貸借対照表を活用して財務の改善を!

以上、計4回にわたって「売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」および資金別貸借対照表について解説しました。

売上が上がって利益が増えると会社にお金が残るというのは間違いで、実際にはお金が足りなくなる可能性が高いため、設備投資などお金の使い方には十分に注意しましょう。また儲けたお金がどこに消えてしまったのか、どうすれば財務を改善できるのかを知るには、資金別貸借対照表が有効です。

資金別貸借対照表を見ると、会社の財務の実態がはっきりとわかり、問題点とともに改善策も見つかります。健全な財務体質を目指す経営者の方は、これを機会に資金別貸借対照表の見方や使い方をマスターしておくのがおすすめです。

なお、資金別貸借対照表も含め、会社の経営に役立つ数字を可視化した資料として、当社が毎月お客様にご提供している月次決算書サンプルをプレゼントとしてご用意いたしました。

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