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売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い③

売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い③

「資金別貸借対照表の有効な使い方を勉強したい!」
「具体的にどうやって財務体質を改善するのか知りたい!」

などとお考えの方はぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、前回・前々回に引き続き「売り上げや利益が増えると会社にお金が残るという勘違い」です。前回は資金別貸借対照表の見方、会社が抱える問題点の見抜き方を解説しました。

前回までの記事はこちら
↓↓↓
売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い
売上や利益が増えると会社にお金が残るという勘違い②

今回は資金別貸借対照表の使い方、これを使って経営をどのように改善していくかについてお伝えします。お金の使い方を間違えたくない、資金別貸借対照表で経営を改善したいなどとお考えの方はぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

資金別貸借対照表で見る資金の問題点

『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』に例として掲載している会社の資金別貸借対照表を見ると、この会社は21期で8億5,800万円の利益を出しています。決して少ない金額ではありません。しかしながら、この会社の安定資金(損益資金+固定資金+売上仕入資金)はマイナスになっています。

この会社の問題点は何かというと、資金のバランスが悪いことです。例えば、固定資金の部を見ると、運用が11億5,700万円なのに対し、調達は4億8,900万円しかありません。このバランスの悪さが全体に悪影響を及ぼしています。

具体的にはどこが一番悪いのかというと長期借入金が少なすぎることです。固定資産の運用で11億円も投資し、棚卸資産・建物構築物・土地だけでも10億近くになっているのに、長期借入金は3億3,100万円しかありません。

固定資金のうち、建物構築物や土地は10年20年をかけて回収するものです。とくに土地はなかなか回収できません。この会社の場合、建物構築物や土地だけでも6億円ほどあります。

そうした長期的な投資を利益で賄えるのかというと、それは難しいです。たしかに利益は8億5,800万円なので、11億円の運用に対して4億8,900万円の調達でも1億9,000万円くらいはプラスになります。しかしながら、1億9,000万円の預金がすべて残るわけではありません。

実際、この会社は売上仕入資金の部において、売りと買いの比較で3億4,500万円のサイト負けを起こしています。そのため、残るはずだった1億9,000万円はすべてここに吸い込まれ、安定資金はマイナスになっています。

◯【ポイント】運転資金は長期借入金で調達しなければならない

運転資金は銀行から見れば短期借入金ですが、経営的にいうとすべて長期的な資金で調達しなければなりません。とくに行動的な売上仕入資金のマイナス、粗利益や支払条件などの分は、絶対に長期的な資金で調達する必要があります。

例の会社の場合は、売上仕入資金で3億4,500万円のマイナスがあるのに対し、長期借入金は3億3,100万円しかないので、売上仕入資金のマイナスを埋める分だけしか長期の調達がないわけです。そして固定資金の運用分の11億円が支払えなくなるので、短期借入金や割引手形に頼らざるを得なくなります。

銀行は「(棚卸資産+売掛金+受取手形)−(支払手形+買掛金)」を運転資金と言って短期で貸そうとしますが、この資金はすべて長期で賄わなくてはなりません。これを短期で調達するのが当たり前になっているのが、中小企業の経営者によくある勘違いであり、間違いです。

銀行の言いなりになって運転資金を短期借入金で調達していたら、銀行が貸さないと言ったときにあっという間に会社がおかしくなってしまいます。固定資金の投資分をすぐに現金化することはできません。そのバランスを崩すと商売が続けられなくなります。

以上のようなことを経営者の方は分からなくてはいけません。例えば、資金別貸借対照表で下記のような現象が見られたら、会社は危ないと思ったほうが良いでしょう。

・資金のバランスが悪いためにお金がどんどん減っている
・長期の調達は減っている一方で、短期の調達が増えている
・受取手形の残高は減っているのに割引手形は増えている

問題はこうした事態をどのように改善するかということです。実は、資金別貸借対照表という資料は、資金の問題点だけでなく改善策も教えてくれます。

資金別貸借対照表を使った資金の改善

ここからは、資金別貸借対照表を使ってどのように資金の問題を改善していくかを見ていきましょう。

先ほどの会社を例にとると、一番の問題点は固定資金のバランスの悪さでした。ここを改善するために固定資金の運用から棚卸資産と機械装置は残して、建物構築物・土地を売却します。

この会社の場合、土地・建物が5億6,000万円ありますが、問題はこれが一体いくらで売れるかです。社長個人が買ったり、不動産管理会社が別にあったりするならば、それらに土地・建物を売るというシミュレーションをします。

例えば、5億6,000万円の土地・建物が5億円で売れるとすると、6,000万円の売却損は出るものの、5億円分借金を返すことが可能です。不動産管理会社で土地・建物を5億円で買う場合は、20年くらいのローンで購入することができるので、年間の返済は2,500万円、月約210万円返すだけで済みます。

この会社は長期だと年間で約1億5,000万円返しており、無借金になるとその負担が2,500万円まで下がるのは大変有意義です。代わりに月300万円ほどの家賃が発生する計算になりますが、それは損益資金(利益)の部で賄うことができます。

このような組み替えをすることで、固定資金のバランスを改善することが可能です。

◯【ポイント】短期借入金は長期借入金に変えてしまう

次に短期借入金が多すぎるという問題について、短期を長期に変えられないかという改善策を考えます。短期借入金を長期借入金に変えると、固定資金のバランスも良くなるので一石二鳥です。

この会社の場合は、短期借入金が3億4,800万円、長期借入金が3億3,100万円、合計で7億円くらいになります。このうち5億円は先の土地・建物の売却によって返済できるので、残る長期借入金は2億円ほどです。

加えて、11億円あった固定資産の運用は土地・建物の売却によって5億円ほどになり、短期借入金は無くなるので資金のバランスが良くなり、お金が回るようになります。

またこうなれば割引手形を割り引かない改善も可能です。上記の組み替えによって、借金は大幅に減額されたので、借金が多い頃のようにたくさん預金を持っておく必要はありません。この会社の場合、3億8,500万円の預金がありますが、この預金は割引手形を割らなくても2億円くらいは残ります。

借金の重圧から解放され、長期借入金はちょうど2億円ほどになったので、2億円預金があれば十分です。そして手持ちの手形はそのまま残しておいて、いざというときに手形を割れるので財務体質的にも安定します。

さらに毎年4、5,000万円の利益を出す力があるならば、土地を売却して売却損を出したので税金は3、4年かからないとして、毎年3,000万円の利益を5年間出して1億5,000万円くらい貯めることが可能です。そのお金を使えば、将来的に支払手形もなくすことができて、資金のバランスはより一層良くなります。

なお、優先順位を変えて、手形を割るけれど支払手形を現金化するという方法を取っても良いです。

資金別貸借対照表を使って借金を0にする方法

上述の通り、資金別貸借対照表を理解すると、さまざまな対策が打てるようになります。未来のB/Sをイメージすることが可能です。

例えば、先ほどの会社の話で、長期借入金が3億3,100万円、短期が3億4,800万円、合計で約7億円の借入金があります。将来的にこの借入金を0にしたい、5年間でなくしたいと考えた場合、先ほど解説したように不動産管理会社を作って、土地・建物を20年ほどのローンで売れば良いのです。

5億円で売れれば、5億円の借入金を無くせます。そして残りの借入金もすべて返したいと思ったら、損益資金を充てても構いません。土地・建物の売却損で税金はしばらくかからないとすると、年4,000万円の利益を出し続ければ5年間で2億円。これで残りの借金も完済できます。

◯【ポイント】割引手形や支払手形も0にできる

資金別貸借対照表を見ていると、財務体質を改善するためのいろいろなアイデアが生まれます。長期と短期の借入金を0にした次は、支払手形と割引手形を0にすることを考えることが可能です。

借入金が0になったならば、固定的な預金をたくさん置いておく必要はありません。そのため、預金の分のいくらかを使って、割引手形をなくすことが可能です。割引手形は、借金を返したという財務体質の改善によって、半ば必然的に0になります。

また支払手形も会社にあると危ないので、0にすることを考えましょう。例の会社の場合は、1億6,700万円の支払手形があります。

資金別貸借対照表の見方としては、改善したい部分の左側に注目することが大切です。先ほどは長期借入金が少ないという問題を解決するために、その左側にある固定資金の運用に着目しました。

今回の支払手形は売上仕入資金の部なので、売上仕入資金の中で受取手形を減らせないか、売掛金の回収条件をもう少し良くできないかといったことを考えます。受取手形と売掛金で5,000万円くらい減らせれば、状況は一気に好転します。

次にさらなる改善点を見つけるにはその上の部に注目しましょう。今回であれば固定資金の部で、棚卸資産を3〜5,000万円減らせないかを考えます。受取手形・売掛金と棚卸資産で合計1億円ほど減らせれば、支払手形の大半を無くすことが可能です。

加えて、借入金は0になったので、支払手形を0にしてその分の1億6,700万円を短期で調達するという方法もあります。会社は結局支払手形で潰れます。短期であれ、長期であれ、借金は銀行に対してリスケが効くので、借金で会社は潰れません。そのため、時には借金によって会社を生き残らせることができます。

まとめ:資金別貸借対照表で財務体質の改善を

資金別貸借対照表では、左側と右側を比較することによって、資金のバランスが取れているかを判断できます。バランスが悪い場合は左側を減らせないか考えたり、右側を増やしたりすることで改善が可能です。

例えば、固定資金のバランスが悪ければ、不動産管理会社を作って土地・建物を売却することなどによって、固定資金の運用を減らすとともに長期借入金も返済できます。長期借入金が減れば、その分を短期から長期に組み替えることで、財務を安定させ、割引手形もなくせます。

このように資金別貸借対照表には、財務体質の改善にかかるさまざまなヒントが隠されているので、経営者の方は見方を覚え、積極的に活用するのがおすすめです。

なお、資金別貸借対照表も含め、会社の経営に役立つ数字を可視化した資料として、当社が毎月お客様にご提供している月次決算書サンプルをプレゼントとしてご用意いたしました。

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