『高収益体質の中小企業とは 』(規模の拡大ではなく質の充実)
高収益体質の会社の基準
私は「日経トップリーダー」という雑誌で「高収益体質エクササイズ」というコーナーを約8年間連載しています。
しかし今迄一度も高収益体質の会社とはどのような会社なのか、どのような計算式で判断するのかの基準を明確に示してきませんでした。
そこで今月は、私の42年間の経験と3,000社以上の中小企業を分析した体験から私なりの高収益体質の会社の基準を書きます。
多くの人は大企業で営業利益を何兆円も出している会社が高収益会社であると思っていると思います。
一般的には、営業利益や経常利益の額で判断しています。
具体的には売上高が30兆円、営業利益3兆円はすごい会社です。
売上高1,000億円、営業利益30億円もすごい会社です。
しかし、営業利益3兆円でも社員数30万人なら1人当たりの利益は1千万円です。
営業利益50億円でも社員数1,000人なら1人当たりの利益は500万円です。
私達古田土会計のお客様で1人当たりの営業利益が1千万円を超えている会社は、私が担当している会社だけでも3社あります。
100人で営業利益16億円、60人で営業利益10.8億円、30人で営業利益3.9億円です。
1人当たり営業利益が300万円を超えている会社は、相当数あります。
すごい中小企業はいっぱいあります。
高収益体質の条件
私は高収益体質の条件を3つの指標で見ています。
(1)損益分岐点比率
(2)1人当たりの経常利益
(3)1人当たりの給与です。
この3つの指標を全てクリアしてこそ高収益体質の企業と言えます。
例えば、いくら損益分岐点比率が低くても、1人当たりの利益が高くても、社員の平均給与が世間相場では、高収益体質の企業とは言えません。
私はむしろ1人当たりの給与が高くて、損益分岐点比率が90%以下で1人当たりの利益が150万円を超えている会社のほうが高収益体質だと思っています。
指標の計算式
(1)損益分岐点比率が80%以下であること。
一般的に収益性の指標とされている売上高経常利益率は業種によって粗利益率が大きく異なるため指標としては使えません。
粗利益率が高いサービス業、製造業、飲食業と粗利益率が低い卸売業、商社では売上高経常利益率が大きく異なります。
総資本利益率は、装置産業といわれる製造業、建設費、不動産業と固定資産を持つ必要のない卸売業、サービス業等では同じ経常利益でも総資産は大きく異なります。
つまり収益性の指標としては損益分岐点比率(f/m比率)のみが全業種の目安となります。
f/m比率80%以下が高収益企業です。
そして90%以下であれば優良企業です。
f/m比率が80%~90%の範囲内であれば立派な経営をしていると思っています。
(2)1人当たりの経常利益は製造費、卸売業等で労働集約的でない会社は1人当たり300万円、サービス業等で労働集約的な会社は250万円以上です。
古田土会計だけで今迄3,000社以上を見て来ましたが、30人の会社で9,000万円~1億円の利益を出していたらすごい会社です。
大企業でも売上高1,000億円、営業利益30億円で社員数2,000人なら1人当たり150万円の利益です。
大企業でも1人当たりにするとたいしたことはありません。
有名なキーエンスは1人当たり営業利益4,800万円と超高収益ですが、私共のお客様でも1人当たり経常利益は上記の3会社は、1,600万円、1,800万円、1,300万円です。
私達中小企業でも1人当たりの経常利益は、250万円~300万円は十分可能です。
(3)1人当たりの給与が一番大事です。
(1)(2)の条件をクリアしていても1人当たりの給与が高給与でなかったら、世の中に誇れる会社とは言えません。
まず最低限は年齢の15倍、30歳で450万円40歳で600万円50歳で750万円が目標ですが高給与(国税庁ホームページ5,000人以上の男の平均692万円、44歳勤続年数16年)の目安は、男女とも40歳代勤続年数10年以上で700万円以上30歳代600万円以上であれば高給与であると思います。
私達古田土会計は、現在の平均給与は男女平均して620万円(除入社1年未満、役員4人、平均年齢35歳勤続平均7年)ですが、44歳平均で700万円を目指しています。
平均給与は1人700万円以上(40歳代)が高給与の目安と思っています。
3つの指標をクリアして、高収益体質の会社になって下さい。
古田圡 満