『中小企業の社長の仕事とは』(社長は人格という基礎の上に能力という柱を立てる)
経営成績は社長の戦略によって決まる
中小企業の社長の中には、業績が悪いのは社員の働きが悪いからとか、社員教育が足りないからとか営業力が弱いからとか思い、高い教育費を払って社員研修をしたり環境整備が大切だとして研修をしている会社があります。
社員研修は必要ですが、経営成績は社員の働きによって決まるのではなく、社長の能力すなわち社長の戦略によって決まります。
私は41年間中小企業の経営を観てきましたが、業績のよい会社は社長が商品を開発したり、新市場の開拓、新規取引先の開拓をしています。
社員は社長の方針を実施して成果を出しています。
「全社員が一丸となってベクトルを合わせ、全社員の力が同じ方向に結集したとき、何倍もの力となって驚くような成果が生まれる。」(稲盛和夫氏)
中小企業の強みは一人一人の能力の高さではなく考え方が同じ方向を向き、チーム力で成果を出すことにあります。
ですから中小企業では、リーダーである社長の能力と人間性が業績と社員の幸せを左右します。
社長に一番必要な能力とは
古田土会計の経営計画書P62、63に「社長の仕事」について書いてあります。
(1)経営理念の承継
(2)事業の柱(戦略の構築)
(3)組織作り・社員教育(理念の落とし込み)
(4)後継者の指名と育成(理念の承継)
(5)経営計画書を作り、常に未来を視る。
3月号でも書きましたが、「会社の成長とは、売上、利益、社員数等の規模拡大ではなく、経営理念の浸透」と考えるのが、中小企業には合っていると思っています。
「人を大切にする経営」では規模の拡大より社員と家族の幸せが優先されるからです。
しかし社長の人格が高く、社員を大切にしようと思っても儲け方が下手では社員ばかりか、利害関係者も幸せにはできません。
社長の能力で一番必要なのは、社員のモチベーションを高め、頑張れば利益が出るような事業をつくることです。
すなわち、マーケティングとイノベーションです。
中小企業の社長は自分が先頭に立って新規開拓をします。
お客様回りをして、現場を見て、新商品、新サービス、新市場を考えます。
古田土会計の歴史は、新規開拓と新商品の開発の積み重ねです。
月次決算書と経営計画書は日本一の商品になり、財務顧問という市場は、ライバルのいないブルーオーシャン市場です。
経営で大事なのは戦略の構築ですが、会社は何のために、誰のためにあるのか、それは経営理念を実現するためですから、社長がいくら儲け方がうまくても経営理念の浸透と真逆のことをしたのでは、目的と手段をはきちがえます。
社長は人格という基礎の上に能力という柱を立てるのです。
経営理念は常に意識し、繰り返し教育し続けないと、字づらだけになります。
以上の理由により1番が経営理念の承継で2番が事業の柱(マーケティングとイノベーション)なのです。
3番目の仕事が組織作り・社員教育になります。
組織作りで大事なのは、全社員のベクトルを合わせることです。
人間性教育は技術教育より大事
教科書は経営計画書です。
トップが繰り返し理念教育をします。
また社員教育の実施教育は挨拶、掃除、朝礼の3つの文化により、他では真似できない人財の差別化をします。
私達は人間性教育は技術教育より大事だと思っています。
人間性が高いとベクトルが合い、成果が出ます。
中小企業で働いてくれている社員は心根のやさしい人間が多いのです。
人間性教育を是非やりましょう。
4番目は後継者の指名と育成です。
経営計画書には「これからの社長は遅くとも60歳までに社長を退任し、次世代の経営者、幹部の支援をする。重視すべきは業績ではなく、人を大切にする経営の継続です」。
5番目が経営計画書を作り、常に未来を視る。
経営とは、「財務」と「マーケティング+イノベーション」と「人づくり」です。
社長は経営計画書を作り、利益計画により目標の売上高と利益を確保し、経営方針書の実施により人づくりをするのです。
社長の仕事は以上の5つに集約されると私は思っています。
古田圡 満