COLUMN 汚い字シリーズ

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『社長、社内に不正はありませんか 』(人は信用しても仕事は信用するな)

『社長、社内に不正はありませんか 』(人は信用しても仕事は信用するな)

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お客様の不正事例

古田土会計の42年8ヶ月という長い会社経営のなかで不倫、セクハラ、パワハラ、交通事故、使い込みによる不正等、さまざまな事件がありました。
今回はお客様の不正について書きます。
それも経理担当者による不正について2つの事例を紹介します。
1社目は設備関係の仕事で、社長は全てを女性経理担当者1人に任せていて銀行の通帳を見ることはありませんでした。
古田土会計の担当者も伝票、元帳の取引内容をチェックしていましたが、預金の元帳残高と通帳をチェックしていませんでした。
うちの担当者は女性経理担当者が、毎月の使い込みを仕訳せずに、決算期末に預金を現金に振り替えて残高証明書と預金残高を一致させていたことに気がつきませんでした。
現金は数期間決算書のみ過大でした。
発見は銀行の指摘でした。
2社目は、1社目の反省から毎月預金と通帳や当座勘定照合表をチェックするというルールを作ったのですが、中規模の印刷会社で明治大学卒で優秀なので、社長はこの経理部長に全てを任せていました。

元帳と現預金のチェック

社長には毎月月次決算の報告をし、中間決算も行い銀行の残高証明書のコピーも添付していました。
古田土会計の担当者には要求しても一切通帳や当座勘定照合表を見せてくれませんでした。
うちの担当者は社内ルール通りに行っていなかったのですが、お客様へのチェックリストにはチェックして合致していると報告したことがありました。
銀行の発見により2億3千万円位の使い込みが発覚しました。
私は連絡を受け現場に行って社長に「当座勘定照合表を見せて下さい」とお願いしたところ「それは何ですか」と聞かれました。
社長は就任以来20年以上一度も通帳も当座勘定照合表も見ていなかったのです。
中間及び年度の決算では銀行の残高証明書を一桁多く偽造していました。
13年間会計顧問と監査役をしていた前の先生には、会計事務所としてではなく監査役として1億円の損害賠償を請求し、一審で有罪、二審では無罪でした。
最高裁は確認していません。
古田土会計は監査役就任は断り、社長の奥さんに就任してもいました。
弁護士は、会計事務所に責任を問えないので(過去の判例から)監査役の責任で損害賠償の裁判を起こしました。
古田土会計は本来法的な責任はないのですが、チェックリストに合致したと報告したために1億3千万円の請求を受けましたが、前の先生が高裁で無罪になったために1,000万円で示談としました。

社内に犯罪者を出さないために内部牽制をしっかり

この反省から、社内ではチェックリストは確認しますが、お客様には提出しなくしました。
1社目の事例では、女性担当者が以前に夫婦で経営していた会社の借金返済のため手を付けたということでした。
2社目の経理部長は離婚をしていて、使い込んだ金は全て競馬に使ったということが判明しました。
個人の通帳でも確認しました。
事件発覚後まもなく経理部長は病気でなくなりました。
この他にも数件経理担当者による使い込みがありましたが、共通しているのは、社長が全然通帳、当座照合表、総勘定元帳を見ていなくて、会計事務所がチェックしているだろうと思っていたことです。
法的にはB/S、P/Lの残高は取締役に作成責任があり、監査役に監査責任があります。
会計事務所には、法的な責任はないのですが、もしきちんと元帳と現預金の残高をチェックしていれば2件とも防げました。
道義的な責任は十分に自覚しています。
そこで社長様にも、年に最低2度は通帳、当座勘定照合表を閲覧し、P/Lは月次推移変動P/Lを横に比較し、異常に増減しているものを発見したり、B/Sは、現金・預金の増減、売掛金残高が正しいのか、残高明細を確認したり仮払金、立替金、貸付金等に不明なものはないかを毎月B/Sの増減と総勘定元帳で確認して下さい。
経理担当者に長期休暇(1週間以上)を取得させたり、長期間(例:5年以上)同じ業務に固定させないことです。

社内に犯罪者を出さないために内部牽制をしっかりしましょう。

古田圡 満






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