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事業承継の問題とは?意外と知らない4つの原因

事業承継の問題とは?意外と知らない4つの原因

会社の未来を左右する事業承継を円滑に進めるための方法5選 無料ダウンロード

「事業承継」と聞くと非常に難しい内容を想像するかもしれません。
しかし事前に原因を知り、然るべき対策を講じれば大きな問題になりません。
本記事では問題の原因とその対処方法を紹介していきます。

1.事業承継を取り巻く環境における問題

本章では事業承継の現状について数字を基に解説していきます。

1.1 特に中小企業の経営者が高齢化している

事業承継の問題を考える上で、中小企業の経営者の平均年齢が高齢化していることが大きく関わってきます。
以下のデータは2023年に帝国データバンクが出している社長の平均年齢と交代率を表した図です。

引用 https://www.tdb-college.com/column/up_img/1712881912-182852_p1.pdf

図からも分かる通り今から約35年前の1990年は54歳だった経営者の平均年齢が2023年には60.5歳と6.5歳高くなっています。それと併せて交代率も90年に4.58%だったものが3.80%となっています。
事業を引き継ぎたくても色々な問題(=事業承継の問題)がネックとなり引き継げなく、やむなく経営者を継続している現状がわかります。

1.2 後継者不在率も高い水準で推移

後継者不在率も50%以上の高い数字で推移しています。

引用 https://www.tdb-college.com/column/up_img/1700541920-771051_p1.pdf

この数字だけみると2020年以降は不在率が減少しているため改善しているように思えます。
しかしながら2020年は新型コロナウイルスが発生したタイミングでもあり、
業績が立ち行かなくなってしまった企業が引き継ぐことをやめた結果と考えられます。
東京商工リサーチのデータによると2023年の休廃業件数は約5万社と2000年以降最多件数の件数でした。

2. 事業承継を実施することによる問題

事業承継を進めていく上で上手く進まないこともあり、その原因を大きくわけると

①旧経営者と新経営者の方針の違い
②新経営者の実力不足
③事業承継計画の有無

の3点となります。
本章では具体的に事業承継を進めていく上で生じる問題を紹介していきます。

2.1 中期の事業計画が変わる

事業承継によって事業の進め方が大きく変わり、業績が大きく悪化する可能性も高まります。
経営者が交代することのメリットとしては、新規事業の創出や経営効率の合理化など新しい風を取り込める点が挙げられます。

会社の業績を上げられる可能性がある一方で経営者の実力が欠けていると根拠不足の経営となり、既存の業績に影響を与えてしまう可能性も秘めています。

有名な例として大塚家具のお家騒動は知っている方も多いかと思います。
経営者交代に伴い方針を変更しましたが、芳しい結果は得られず最終的には吸収合併され法人消滅という末路となりました。

もちろんすべての方針が間違っていたわけではなかったですが、事業承継は事業計画を新旧経営者が摺り合わせしながら徐々に引き継いでいかないと大きな失敗を招いてしまいます。

2.2 社風や働き方の変化

会社のトップが変わると会社の社風や働き方も大きく変わってしまい、退職者が続出してしまうこともよくある事業承継の失敗の例です。
特に事業承継の選択肢として、M&Aを選択した会社が陥りやすいでしょう。

実際に私が担当していたお客様で約30名いた従業員がM&Aで経営者が交代したことによって1年後に半分が退職してしまったということもありました。
親族もしくは従業員に引き継ぐ社内承継であれば、方針が大きく変わることも少ないです。

しかし社外承継だと仕事内容は同じでも就業規則や賃金規定、経営理念といった取り巻く環境が変わる分、社員の捉え方も変わり不安を感じやすいタイミングとなってきます。
そこを補完する意味でも事業承継計画が重要となってきます。

2.3 経営権の引継ぎに想定以上の手間がかかる

事業承継で一番手間や時間がかかる部分は経営権(自社株式・保証など)の引継ぎです。
そして事業承継の検討・実行する時間と資金に関してはある程度の相関関係があります。

そのため事業承継の計画が無い場合や不十分で回り道を多くしてしまう場合は資金を通常より多く準備しなければならなくなり、勿体ない結果を引き起こすこともよく聞く失敗例です。

3.事業承継の問題の原因

前章までは現状やリスクを説明してきましたが、原因を知らないが故にどこが問題かさえ把握できていない方も多くいらっしゃいます。
そこで本章ではなぜ事業承継が問題となってしまうのかという根本的な原因について解説していきます。

3.1 経営者が自身の引退時期を決めきれない

事業承継というと後継者不足をイメージされがちですが、そもそも問題の原因として大きいのは経営者自身が本腰を入れて引き継ごうと思っていないことが多々あります。
根本的な原因としては、

・経営者には定年がないこと
・会社を経営すること以上に楽しいことが見つからないこと

があげられます。

通常の社員の立場であれば定年があるため否が応でも引き際が決まっていますが、経営者は自身で決めなければなりません。
また会社に対して思い入れの強い方ほど生涯現役でいたいと熱望します。

その結果引き継ぐタイミングが後ろ倒しになってしまい、残された時間が少ない中で引継ぎをしないといけなくなり問題化する傾向にあります。
必ずしも経営者という立場ではなくても会社に関わることはできます。

事前にその他の経営陣も交えながら経営計画を検討する際に、ぼんやりでもいいですので譲る時期の明確化や引退後の関わり方を明記しておくことが予防策となります。

3.2 適任となる後継者の不在

会社を引き継ぐ後継者が不在であることが大きな一つの原因です。
事業承継として後継者への引き継ぎ方は大きな分け方として2種類あり、

1)子供や親戚などに引き継ぐ“親族内承継”とそれ以外の第三者に引き継ぐ“親族外承継”という区分方法
2)社内に在籍している親族や従業員に引き継ぐ“社内承継”と得意先や同業他社などが引き継ぐ“社外承継”という区分方法

が存在します。

一見すると別々の問題が存在するように感じますが、どのような方法を選択したとしても後継者がいれば紆余曲折しながらでも事業承継は進んでいきます。

一方で後継者がいなければ、現経営者がいくら条件後継者に求める条件を譲歩したとしてもそもそも論の話となってしまい何も進んでいきません。
そのため早い段階から最終的な後継者ではなく後継者候補でも構わないので、イメージしておくことが重要になってきます。

3.3 将来に対する経営・事業の不安

事業の将来性に不安を感じて引き継げないということも。
経営者の深層心理として、“会社を良くしてから後継者に引き継ぎたい”という親心が大きなネックとなっていると思われます。

当然のことながらいい状態でバトンタッチしたいのですが、“良くしてから”と思い時間をかけてしまうほど、現実的には会社の業績が悪化してしまう傾向にあります。

以下は中小企業白書(2021)による上から順に「経営者年齢別、増収企業の割合」「経営者年齢別、増収企業の割合」のグラフとなります。

上図からもわかる通り経営者の年齢が上がるほど増収増益割合の会社が下降傾向になります。
つまり経営者を継続するほど会社は悪化する可能性の方が高まります。

後継者がいる場合上記を踏まえると引き継ぎは早い段階で行った方がいいですが、任せることに多少なりとも不安を感じることがあるはずです。
その不安を解消するためには3.2と同様に経営計画を後継者含めて立案し、運用していくことが大事になってきます。

3.4 事業承継にかかる資金の不足の調達ができない

事業承継を進めたい意向はあっても、資金が不足しているが故に完全に引き継ぐことができないこともあります。
以下のデータは事業承継を進めるにあたって実際に苦労したことのランキングですが、赤枠で囲った部分が金融機関への説明含めて資金的な問題となったものになります。

2・3・9全てに関連することとして、まとまった金額が必要かつ時間をかけて解消する必要がある問題です。短時間で全てを解消することは不可能に近いです。

解決策としては、早くから事業承継の資金に関する問題がどこに内包しているかを洗い出していくことが解決に向けて大きな1歩となります。
事業承継計画の立案が効果的です。

事業承継計画の立て方に関しては以下のURLを参照ください。
◇自分でも作れる!具体的な事業承継計画の作成方法を詳しく説明
https://www.kodato.com/blog/p11424/

4.事業承継を問題化させためには10年後に引き継ぐ場合でも今から動くべき

事業承継を問題化させないためには早く動くことが一番大事な対処方法です。“早く動く”こととしてできる行動は第三者に相談することです。

商工中金が出している「中小企業の事業承継に関する調査(2024年7月)」によると以下のような相談先に相談していることがわかります。

引用 https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202410.pdf
それぞれの相談先への優先順位や強みを紹介していきます。

4.1 まずは顧問の会計事務所に相談してみるとよい

相談相手としての第一優先は顧問の会計事務所になります。
会計事務所の強みとしては“会社の情報を全て知っている”ということです。

事業内容や社員構成、経営理念等といった内部の情報から得意先や業界での立ち位置等外部の情報まで全てを知り尽くしています。知っているからこそ会社を引き継ぐ上での問題点も熟知していることが多く、安心して任せることができます。

1点注意して頂きたい点としては、会計事務所にはそれぞれ得意分野を軸に運営していることが多いため必ずしも顧問が事業承継の問題に特化しているとは言えません。

しかしながら得意ではない場合でも早くから相談すれば、事業承継に対して別の相談相手を探す必要があるかどうかを判断できる時間が生まれるため、軌道修正しやすくなります。
だからこそまずは顧問の会計事務所にお願いできるかどうかも含めて気軽に相談することを強くお勧めします。

4.2 金融機関に相談してみるのも一つの選択肢

3.3でも説明しましたが事業承継を進めるにあたって資金が必要となることも多いため、金融機関に相談することも大きな選択肢の一つでしょう。
金融機関には決算書やその他情報を定期的に共有しているため、担当の職員の方は歴が短いかもしれませんが金融機関自体としては情報の蓄積があり、様々な提案を受けられる可能性が高いです。

また金融機関は協力会社と多数提携しているため、専門性の高い内容も網羅することができます。
金融機関の担当者自身はそこまで専門性に長けていないこともあり、また費用も高くつくことが多いため、継続的に長い支援を受けることは難しいかもしれません。

但し中長期的な経営戦略の中で金融機関との付き合いは切っても切れない関係にありますので、相談するかどうかは別としても定期的に情報共有して頂くことは重要です。

4.3 決め手に欠く場合は専門のコンサルティング会社へ

会計事務所や金融機関に相談ができない場合や提案に満足いかない場合は専門のコンサルティング会社に相談することも良いです。

内部事情は0からヒアリングして進めていくため時間や労力の負担はかかりますが、専門性は高いので提案の幅や提携先は文句なく充実していることが多く、込み入った相談でも対応することが可能です。継続的な支援も対応できる会社が増えてきており、事業承継の完了まで責任を持ってアフターフォローしてくれます。

唯一の懸念点としては専門性の高さ故に、相談会社にとっての最適解ではなく、専門コンサルティングの強みを活かした提案ありきで進んでしまう可能性がある点です。

そのためまず相談するコンサルティング会社を選定する際に事業承継全体を網羅的に検討できる会社、具体的には事業承継計画の作成に強みのある会社を軸に選定されると良いでしょう。
そして都度顧問の会計事務所や銀行にもセカンドオピニオンとして意見を確認しながら計画すると齟齬なく進められます。

5.まとめ

事業承継は問題点を把握し早期から動くことが非常に重要です。
「自分の代で廃業する」と考えている経営者以外の方はぼんやりでも構いませんので、まずは相談してどのような点が問題になりそうか把握しておきましょう。

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