人間性を高める7つの習慣
「人間性が大事」だと言われたり、仕事やビジネスでも「人間性も評価の対象」と言われた時に、
そもそも「人間性って何か?」「どのように高めていけばいいのか?」と悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
弊社は、
「社員の幸せを追求し、人間性を高める」
という経営理念を掲げており、会社として全社員の「人間性を高める」ことを目指し続けています。
仕事も人生も豊かにするために、人として「思いやり」「誠実さ」「素直さ」「感謝する心」などの資質を高める努力をしています。
なぜ人間性を高める必要があるのか? どのように人間性を高めていけば良いのか?
これまでの経験に基づいて、お伝えさせていただきます。
1.人間性とは
1.1 人間性の意味
「人間性」とは、辞書で調べると「人間を人間たらしめる本性。人間らしさ」と書かれています。
一般的には、「思いやりがある」「まわりへの気遣いができる」といったことをイメージされるのではないでしょうか。
京セラ創業者の稲盛和夫氏は名著『考え方』で人間性について「人間として正しいことを正しいままに貫く」と表現されています。
具体的には、「常に前向きであること」「努力を惜しまないこと」「誠実であること」「謙虚であること」「世のため、人のために行動すること」などが人間として正しいことだと説かれています。
「人間性が高い人は?」と聞かれた時に、メジャーリーグで大活躍しており、WBC優勝にも貢献した大谷翔平選手を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
大谷選手は高校生の時に書いた「目標達成シート」のなかで「8球団からのドラフト1位指名」という目標を達成するための一つの要素として「人間性」を挙げています。人間性を高めるためのキーワードとしては、「愛される」「感謝」「継続力」「信頼」「礼儀」「思いやり」といったものがあげられています。
このような意識と尋常ではない努力が、技術の高さだけではなく、多くの人から愛され応援される選手になっているのは間違いありません。
1.2 人間性を高めるメリット
人間性を高めていくことの一番のメリットは、
まわりに対して好印象を与え、「好かれる」「応援される」「尊敬される」「信頼される」ことにつながることです。代表的なのが、先ほどご紹介した大谷選手です。
好かれたり尊敬されると、仕事であれば円滑に進んでいきやすくなりますし、関わる方と相互に良い影響を与えることができます。さらには、良い人間関係が育まれたり、良い人達が自然と集まってくるようになり、豊かさや成功につながっていきます。
「日本でいちばん大切にしたい会社」で有名な坂本光司氏は、社員のモチベーションをあげるのは給与制度や評価制度、福利厚生よりも「リーダーの人格」が大事だと言われています。会社経営やマネジメントにおいても、リーダーの人間性が問われています。
弊社は、数多くの中小企業経営者の方とお会いしますが、
といったことが起こるケースを見てきました。このような状況に陥ると、業績にも悪影響を及ぼします。
経営者の人間性については、下記の記事で詳しく書いていますので、ご参考下さい。
参考記事:成功する経営者のたった一つの考え方
人間性が高いことは、ビジネスのみならず、人生の豊かさにつながっていきます。
1.3 人間性は後天的に高めるもの
人間性は生まれもった資質ではなく、後天的な要素が大きいです。
また、一朝一夕で身につくものではなく、習慣として継続していくことが重要です。
また、一度、身についたとしても、年齢を重ねたり、立場が変わったり、環境の変化により、人間性が変わってしまうことは多々あります。
特に、立場が偉くなったりすると、謙虚さを無くしたり、傲慢になってしまったりといったことに陥りがちです。できていないことに対しては認めたくないものです。
だからこそ、自分の短所などにも向き合い、日々の行動や言葉を変えて、長期的に継続していく必要があります。
継続する上で大事なのは「行動」にフォーカスすることです。習慣を変えるためには、考えたり思うだけではダメで、具体的な行動を変えていかないと簡単には変わりません。
また、人は環境に左右される生き物なので、どのような環境に身をおくか、どのような方と接するかも大きく影響していきます。
具体的に高める方法については3章でご紹介しますが、次章では、人間性が高い人の特徴を確認します。
2.人間性が高い人の20の特徴
「人間性が高い」といわれるのは、具体的にどのような人なのか、高い人と低い人の対比で20個リストアップしています。
リストを見ていただくと、異論はなく、高い人を目指したいと思っていただけるのではないでしょうか。
全てがパーフェクトにできているということはないので、少しでもプラスの要素が増えるように、努力を積み重ねていくことが大切です。そのためには、足りていない部分に気づくことがポイントです。定期的にリストを見ることで、不足を認識して、改善の一歩につながります。
3.人間性を磨く7つの習慣(方法)
人間性の高さは、生まれつきの資質だけでなく、教育、体験、経験、他人との交流を通じて育まれるものです。
そのため、意識的に継続的に努力をしていくことが必要です。磨くための方法を7つに厳選してご紹介します。
3.1 本を読む
人間性を高めるためには、定期的に読書することが効果的です。
人間は弱いので、環境に左右されたり、自分自身の欲望に負けたり、心が乱れたり、自己中心的になったりするものですが、継続的に良書に触れることで、正しい判断基準や考え方に向き合うことができます。
お勧めの本をご紹介します。
①「素直な心になるために」松下幸之助氏
素直な心を持つことの意味や、素直になるための具体的なアドバイスが語られています。
②「心。」稲盛和夫氏
人生に起こる出来事は、すべて自分自身の「心」が引き寄せて作り出したものだと書かれており、どのような心持ちで過ごすべきかを教えてくれます。
③「生き方」稲盛和夫氏
仕事や人生において守るべき原則(人間として大切なこと)について、分かりやすく書かれており、よいことをすれば良い結果が生じることが理解できます。
④「考え方」稲盛和夫氏
「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という人生の方程式は有名ですが、どんな考え方を持つべきかを教えてくれます。
⑤「1日1話 読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」 藤尾秀昭氏
人間性の高い人の生き様に触れることで、自分自身の人間性について省みることができます。毎日5分の読書で、1年で365人の人生観に出会えます。
⑥「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー氏
世界的な名著。
7つの習慣 ①主体的である ②終わりを思い描くことから始める ③最優先事項を優先する ④WinーWinを考える ⑤まず理解に徹し、そして理解される ⑥シナジーを創り出す ⑦刃を研ぐ
は、人間性の高い人の特徴と通じる内容です。
⑦「人を動かす」D・カーネギー氏
「人に好かれる六原則」①誠実な関心を寄せる ②笑顔を忘れない ③名前を覚える ④聞き手にまわる ⑤関心のありかを見抜く ⑥心からほめる
は、人間性を高めるための具体的な行動として非常に参考になります。
3.2 内省・反省をする
自分自身の行動や言動を客観的に振り返ります。具体的には、日常の行動やふるまいについて、成功したこと・失敗したことを振り返り、今後、似たような状況に出くわした際に、どう対応していくと良いかを考えます。
振り返る習慣があると、自分自身への理解が深まり、感情・気持ち・行動などをコントロールしやすくなります。人は誰しも不完全なので、不完全な自分に気づき、認めることは、他人に対する優しさや思いやりなどにもつながっていきます。
稲盛和夫氏は「反省」についてこう記しています。
『人間はもともと己を守ろうとする心、すなわち利己的で欲望に満ちた心を持っているわけです。だから、何も手入れをしないでそのまま放っておけば、人間の心は必ず利己的で強欲なものに満ち満ちてしまいます。そこで、「反省」ということがたいへん大事になってくるわけです。
反省を繰り返し、常に心を純粋にしていなければ、すばらしい考え方、すばらしい人格、すばらしい人間性、そういうものを維持していくことは不可能です』
_______________________________引用:「京セラフィロソフィー」
毎日の日記などを通じて、振り返る習慣を試してみてください。
3.3 誰に対しても謙虚な姿勢
相手の立場によって態度を変えるのではなく、常に相手への思いやりの気持ちをもって謙虚な姿勢で接することが大切です。
下記のような態度は謙虚と反対の言動です。
・お客様という立場から店員さんに対して偉そうな態度を取る
・上司という立場から部下をぞんざいに扱う
・経営者が社員を雇ってやっているという態度
相手が誰であろうとも、常に謙虚さを持っていくことが大事ですが、孔子の論語に、このような言葉があります。
『子曰わく、我れ三人行えば必ず我が師を得。其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にしてこれを改む』
「私は三人で行動したら、必ずそこに自分の師を見つける。他の二人の一人が善い者でもう一人が悪い者だとすると、善い者からはその善いところをならい、悪い者についてはその悪いところが自分にはないか反省して修正する」(どこにでも師はいる。我以外皆師である)
自分以外は、みんな師であるという気持ちを持ったり、「おかげさま」という精神があると、自然と謙虚さが備わっていきます。
3.4 感謝の習慣
感謝の反対は「当たり前」で、何事も当たり前になってしまうと、感謝の気持ちが小さくなっていきがちです。
感謝の気持ちを持って、小さなことでも感謝の種に気づけるかが第一ですが、伝えないと相手に伝わらないので、表現することも重要です。
感謝でお勧めの本は書道家で有名な武田双雲氏の『「ありがとう」の教科書』です。著書では、「感謝は技術で手に入る」と主張されており、感謝の技術が30個紹介されており、すぐに実践できる内容ばかりです。一部ご紹介します。
__________________________引用:「ありがとう」の教科書 武田双雲著
感謝を会社の仕組みにするには「サンクスカード」などをアプリなども活用して導入すると、会社全体に感謝する習慣ができていくので、お勧めです。
3.5 小さな習慣の積み重ね
1章で紹介した大谷選手のオープンウィンドウの中に、運を良くする項目として、「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「道具を大切に扱う」などがあります。グランドにゴミが落ちていると拾うというのも有名なエピソードです。
・丁寧に明るい挨拶をする
・ゴミが落ちていたら拾う
・日々、短時間でもいいので掃除をする
・仕事などで使っている道具を大切に扱う
といったことを、日々積み重ねることで、徐々に人間性が磨かれていきます。
言い方を変えると「凡事徹底」となりますが、凡事徹底について詳しい記事を書いていますので、ご参考ください。
3.6 積極的にフィードバックをもらう
自分に至らない点があった際に、自分で気づけないこともよくあります。他の人のことはよく見えるのに、自分のことは分からないものです。
そこで、まわりからフィードバック・指摘をもらうことが大切なのですが、必ずしも指摘してくれるとは限りません。
特に、自分自身が素直ではなく、人の言うことをあまり聞かないタイプだと、伝える側も「どうせ言ってもな」となり、わざわざフィードバックはくれません。
フィードバックを受けるには、
・言われたことは素直に受け止める
・相手からの指摘を待つのではなく、自分からフィードバックを受けとりにいく
の2点をぜひ意識してみて下さい。
3.7 意思決定基準・考え方の基準を作る
2章の人間性が高い人の特徴を見た時に、異論がある方は少ないと思います。一方で、分かってはいるんだけど、なかなかできないのも現実です。
そこでお勧めなのは、自分にとって響く言葉やフレーズをストックしていき、自分の中での辞書や意思決定基準を持つことです。
ありきたりの言葉だと陳腐化していくので、私であれば、下記のように変換して意識するようにしています。
読書やセミナーなどを通じて、良い言葉に出会った際には、すかさずメモを取り、自分がテンションが上がるような言葉をストックすることで、意識しやすくなります。
弊社では、会社として、人間性を高めるための心得を言語化して、共有しています。
4.おわりに
人間性が高い人は、自分自身も豊かな人生になっていきますし、まわりへも良い影響を与え、豊かさを与えることができます。
人間性を高めるためのヒントを得ていただき、何か一つでも実践して変化していけば嬉しいです。