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個人保証(経営者保証)を外す方法とメリットは?経営者は◯◯◯を目指すべき

個人保証(経営者保証)を外す方法とメリットは?経営者は◯◯◯を目指すべき

「どうにかして個人保証を外したい。」
「倒産しない会社を作るためにはどうすれば良いのかを知りたい。」

などとお考えの方はぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説しています。

今回はその関連テーマとして、「個人保証(経営者保証)の外し方」について、具体的な外し方や外すことで得られるメリットなどをお伝えします。また経営者が目指すべき財務改善についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

個人保証を外す方法とメリットについて

今回は「個人保証は外せますよ」という話です。

最近は金融庁をはじめ、各所で個人保証(経営者保証)を外すためのいろいろなガイドライン※が制定されており、努力次第で個人保証は外せます。そのため、たとえ皆様の会社で個人保証があったとしても、「個人保証は外せない」などとあきらめないでください。

※最も有名なのは中小企業庁などが活用を推進する「経営者保証に関するガイドライン」です。このガイドラインに基づき、政府系金融機関や民間金融機関において、経営者保証に依存しない新規融資の割合が増加しています。このガイドラインについては、後述の「【参考】ガイドラインに定められた個人保証を外せる3要件」も参考にしてください。

◯銀行に個人保証を外すように頼んでみる

まずは銀行に「個人保証を外してください」とお願いしてみてください。これまでの借り入れについては仕方ないとして、今後新しく借り入れる際は「今回は個人保証なしでお願いします」といってみましょう。

もちろん銀行は「いやダメです」という可能性もあります。その場合は「どこがダメなんですか」と、個人保証を外せない理由を詳しく聞くのがおすすめです。

銀行が指定した条件を満たすように改善を行う

銀行のいう個人保証を外せない理由の裏返しが、個人保証を外すための条件になります。つまり銀行が「◯◯だからダメです」といってきたら、◯◯さえ改善すれば個人保証は外せるということです。

また複数の銀行と付き合いがある場合は、まずは1行で個人保証を外すことを目指しましょう。1行でも個人保証が外れたら、そこを突破口として、どんどん保証を外していくことができます。新しい借り入れに対してだけでなく、既存の借入金に関する保証も取り除ける可能性があります。

◯個人保証が外れると事業継承のハードルが一気に下がる

個人保証を外していくと、事業継承は大いにやりやすくなります。

例えば、社内から後継者が出てきたような場合、個人保証まで後継することとなると、後継者に非常に大きなリスクを負わせることになります。個人保証まで継承してしまうと、もし会社が倒産してしまったときには、自己破産しか選択肢がなくなる可能性もあるわけです。

そのようなリスクを考えると、個人保証があったら誰も後継者なんてやりたがりません。結果、事業継承がまとまらず、会社を潰すことになってしまいます。以上より、やはり個人保証だけは外しておくのがおすすめです。

◯【参考】ガイドラインに定められた個人保証を外せる3要件

財務改善についてお伝えする前に、「経営者保証に関するガイドライン」に定められた「経営者保証ガイドラインの3要件」を紹介しておきます。当ガイドラインによると、以下3要件を満たせば、中小企業は個人保証なしで融資を受けられる可能性があります。またすでに提供している個人保証について見直すことも可能です。

経営者保証ガイドラインの3要件:

内部又は外部からのガバナンス強化により 3件を将来に亘って充足する体制が整備されていることが必要

・資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
・財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
・金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

出典:中小企業庁「経営者保証」

上記の3要件を見ても、個人保証を外すには財務体質の改善が必要不可欠であることがよくわかります。個人保証を外したい経営者の方は、次項を参考に、さっそく財務体質の改善に乗り出しましょう。

【財務改善】重要なのはキャッシュフローを良くすること

財務改善において重要なのはキャッシュフローであって、借入金を減らすことではありません。キャッシュが回って安定すれば問題ないわけで、借金はあっても大丈夫です。

キャッシュフローが健全である、もしくはキャッシュが回るとは、要するに「借入金を無理なく返済できること」だといえます。

◯キャッシュフローおよび借入金返済の理想とは

キャッシュフローの改善で目指すべきなのは、減価償却費の範囲内で借入金を返済することです。より高い理想を言えば、フリーキャッシュフロー※の範囲内で長期借入金の返済ができ、さらに預金も増えるという状態が挙げられます。

これを達成するには、まず営業キャッシュフローで設備投資の金額を賄い、フリーキャッシュフローをプラスにすることが必要です。そのプラス分で長期借入金をすべて返済でき、それでもなおプラスが残っていれば、財務的には超優良企業だといえるでしょう。

経営者は、財務体質に関して、とくにキャッシュフローがどうあるべきかということを理解し、理想的な状態に向けていろいろと手を打っていくことが大切です。

※フリーキャッシュフローとは会社が自由に使えるお金のこと。本業の稼ぎを表す「営業キャッシュフロー」と設備投資などの金額を表す「投資キャッシュフロー」の和で計算する。

経営者が目指すべきは「無借金」

借入金があっても、それが無理なく返済できるのであれば何も問題はありませんが、借入金がないに越したことはありません。そのため、当座の財務体質を改善しつつ、ゆくゆくは無借金を目指すのがおすすめです。

無借金になれば、赤字でも社員に賞与を払うことができ、たとえ1年間売り上げがなかったとしてもびくともしないような会社を作れます。

会社と社員を守ること、これを目標にするなら目指すべきは財務の改善。その究極が無借金です。

◯これからの時代は「儲け」よりも「財務体質」

儲けられればなんでも良いという時代もありましたが、これからの時代において経営者がやるべきなのは財務体質の改善です。財務体質が強ければ、たとえ儲けが少なくても会社はびくともせず、社員に安心と安定を与えられます。

私も一経営者ですが、経営で一番心がけたのは財務体質の改善です。成長することよりもむしろ借入金を無くして預金をたくさん持つことを重視し、常にバランスシートを意識して経営をしてきました。それが社員と家族を守る会社を作るために最善だと考えたからです。

そのため、不動産を買ったこともなければ、余分な投資をしたこともありません。

財務体質を良くすることが社員と家族を守る

私どもの会社は自己資本比率が90%を超え、純資産と同じくらい金融資産を持っています。しかし、それでもまだまだ不安を感じています。

何が起こるかわからないのが経営です。財務体質が悪ければ、ちょっとしたことで会社は潰れてしまいます。

やはり経営者である以上、会社を良い形で存続させ、社員と家族を守らなければなりません。そのためには利益よりも財務体質です。儲けることも大切ですが、それ以上に財務体質を良くすることを意識し、会社を潰さないための経営を心がけていただきたいと思います。

まとめ:個人保証を外すには財務体質の改善をより一層意識すべき

この記事のポイント:

・まずは銀行に「個人保証を外してくれ」と頼んでみる
・銀行から聞いた条件を満たすように財務を改善
・財務改善で重要なのはキャッシュフロー
・ゆくゆくは「無借金」を目指すべき

個人保証を外すには、まず銀行に「個人保証を外してくれ」と強くお願いしてみるのがおすすめです。ただし、財務の状況によっては銀行から断られる可能性も十分にあり、根本的な解決を見るには財務体質の改善が欠かせません。

財務体質を改善するには、キャッシュを回すこと、無理なく借入金の返済ができるようになることを意識しましょう。銀行から聞いた個人保証を外せない理由を参考に、徐々に財務体質を良くしていき、最終的には「無借金」に到達するのが理想です。

無借金になれば、儲けは少なくても会社と社員、家族を守ることができ、個人保証も外れて事業継承も楽になります。これからの時代、経営者にとって最も重要なのは「利益」ではなく「財務体質」であることを、ぜひ忘れないようにしてください。

なお、今回お話したように、本質的には財務体質を見直していくことが、会社を良くしていく一番の方法です。より詳しく財務について気になる方は、財務の本質を分かりやすくまとめた資料『BS(貸借対照表)とは』をご覧ください。

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