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【お客様インタビュー】これまでのできごとや出会いがつながって現在の事業拡大に(株式会社浜野製作所 5/7)

【お客様インタビュー】これまでのできごとや出会いがつながって現在の事業拡大に(株式会社浜野製作所 5/7)

本連載は、中小企業の星として、今やメディアに引っ張りだこの株式会社浜野製作所 代表取締役CEOである浜野氏へのインタビューを書き起こしたものです。

全7回に渡るシリーズものとなっていますので、ぜひ中小企業の経営のヒントを得ていただけますと幸いです。

▽動画も視聴いただけます

◇前回までの記事はこちら
【お客様インタビュー】時代や環境の変化を見つめて事業展開をする中小企業の鑑(株式会社浜野製作所 1/7)

【お客様インタビュー】インターンシップの受け入れが会社に新たな風を吹き込んだ(株式会社浜野製作所 2/7)

【お客様インタビュー】6歳の女の子のために受けた仕事が今の事業展開の原点に(株式会社浜野製作所 3/7)

【お客様インタビュー】経営理念に込めた想いを伝えることでスタッフの意識も変わる(株式会社浜野製作所 4/7)

【出演者】
インタビュイー:
株式会社浜野製作所
代表取締役 CEO
浜野 慶一氏

インタビュアー:
株式会社古田土経営
代表取締役社長
飯島 彰仁

経営計画書はつくるだけではなく
伝えて共有し活用することが大切

飯島 中小企業に対して経営計画書の作成指導をする立場の我々から見ると、経営計画書をつくることがゴールになってしまっている企業があると感じます。けれども、理念や数字の目標は作るだけでなく、それを使うことが大切なんですよね。

これは私も経営者をしていてつくづく思うのですが、さまざまな場面での判断基準は経営理念であって、むしろ経営理念しかない。ですから、なぜ判断基準になるのかということを社員みんなと共有することこそが、理念教育なんですよね。

浜野 それがすごく大切だと思っています。どの企業の経営者も頭の中でいろいろなことを考えていると思いますが、それをきちんと伝えられていなかったり、伝わっていなかったりすることは結構多いのではないでしょうか。

飯島 「うちの社員たちはどうしてわからないんだ…」などと思っているうちは、やはり、そういうことなんですよね。

浜野 私が経営理念について話す時は、1時間半くらいかけて話をするんです。工場を1時間半止めるとなると生産効率も落ちるので、時間的な理由で想いをスタッフに伝えられていない社長や管理職、工場長の方はいると思います。当社でも最初の頃は「こんなことするより工場で仕事を進めたほうが良い」「また残業が増えるよ」などというスタッフがいました。けれども、そこを思い切って実行することは大切かもしれませんね。

もちろん言ってお終いではなく、それを定期的にメンテナンスしていくことも必要です。そして、実際の仕事の中でも、スピーチや品質会議、営業会議、不良対策書などのさまざまな局面で、経営理念に入っているキーワードを意図的にスタッフの胸に落とすようにすることですね。時間も手間もかかるので大変ですが、それがスタッフたちに浸透した時には、どのような企業でもきっとものすごい力が出せるのではないかと思います。

飯島 「急がば回れ」ですね。

浜野 そうですね。私も昔は「そんなことしているんだったら1件でも営業先に回ってこい」ということを言ってしまったりもしていましたが…。

飯島 だからこそ今は、自社の原点をみんなと共有する時間を大切にされているんですね。

月次決算書は新入社員まで全員に公開

浜野 当社では現在、中間管理職として働いているメンバーはほとんどが中途採用です。中には、定期的に食事をしたり一杯飲んだりする仲間だった人もいます。彼らには当時から浜野製作所のストーリーを全て話しており、それが入社のきっかけでもありました。彼らをはじめ中途採用の社員は、全員経営理念を知ったうえで採用しているので、ミスマッチは起きませんね。昔はただ履歴書を見て「経歴が良いからできそうだ」などと、よく考えずに即採用したりもしていたので、ことごとくうまくいかなかったものですが(笑)。

飯島 時代とともに、人材採用に対する価値観は「選ぶのではなく、選んでいただく」に変わっていますからね。だからこそ、自社の歴史や今後どこへ向かうかといった、過去・現在・未来まできちんとつまびらかにすることが大切だと、この度浜野さんのお話を聞いて痛感しました。

浜野 当社では、入社1年目の社員でも月次決算書を見ることができます。やはり会社の想いを話したところで、お金に関する情報がなければ、誤解を生んだり憶測のようなものが生まれたりすると思うんですよね。良くも悪くもみんなで取り組んだ結果が月次決算の中に現れているので、包み隠さずみんなに見てもらおうというのが私の考えです。悪いのであれば、どうすれば改善できるかをみんなで考えれば良いことですし、そういう意味もあって月次決算書は公開しています。若いスタッフも月次決算について学ぶ機会があるのは、活気が生まれて良いことだと思っているようですね。

事業構造を変えたいという一心で
産学連携の電気自動車開発にチャレンジ

飯島 ここまでお話をお伺いして、浜野製作所にとって人の存在は本当に大きい要素なのだと感じます。もちろん技術力も非常に高いものをお持ちですが、そこにはお客様のご要望に応えたいという想いが大前提にあるんですよね。また、大学生との産学連携活動といった協力パートナーとのオープンイノベーションも、今や浜野製作所の代表的な事業です。こういった自社だけでなく、外とのさまざまな縁を広げられている理由やきっかけも気になるところなのですが…。

浜野 早稲田大学との産学連携は、2003年に墨田区と早稲田大学との提携をきっかけにスタートしました。2009年に電気自動車「HOKUSAI」を開発したことでも注目していただいています。

当社の経営理念には「お客様」「スタッフ」「地域」というキーワードを入れており、地域、つまりここ東京墨田区で仕事をすることに価値があると思っています。しかし東京は、土地代も固定資産税も人件費も高く、そもそも大きな工場をつくるような土地もありません。ほかの地域でなら、大きな工場を建てて機械も自動化して、AIやIOT技術を使用してセンシングするといったこともできますが、ここは24時間機会を動かすと怒られる住宅街です(笑)。そういった意味では、私たちは日本で一番ものづくりに適してない地域で、ものづくりをしているのかもしれません。

けれども、見方や枠組みを変えれば、「一見デメリットである東京の地域性をメリットにしたものづくりができるかもしれない」と思っています。東京は世界的に見ても大学が集積しています。研究機関も非常に多いですし、クリエイティブな方がたくさん集まる地域です。

けれどもこんなに大学が集積していても、東京のほとんどの中小企業や大企業では、大学との産学連携を行いません。その理由はしごく簡単で、会社はどのくらいの売上や利益が見込めるのかがわからない事業に、人とお金を注ぎ込めないからです。しかし産学連携では、いつこの電気自動車が完成するのかということを誰もわからないまま取り組みます。中小企業には、いつになったらできるのかわからないようなものに、人とお金を注ぎ込む余裕もないんですよね。そもそもマインドもなかったりしますし…。それよりは、多少理不尽なことや厳しいことを言われることがあっても、利益が見込める大手傘下のサプライチェーンの中で仕事をするほうが安心なわけですよ。ではなぜ、それでも私が産学連携活動をしようと思ったのかというと、事業構造を変えたかったからなんです。

飯島 そういった理由だったんですか?

浜野 最初にお話ししたとおり、当社は金属の部品加工だけでは、これ以上の成長は厳しいと感じていました。けれども、私たちの最大の強みもこれなので、この周りの事業に取り組もうという思いがあったんです。そんな中、6歳の車椅子に乗った女の子との出会いをきっかけに、装置開発や設計開発をしたいと思うようになります。けれども、やったこともなければ、人材も採用できないし分からない。そんな時に電気自動車の話を提案されたんですよ。電気自動車のような最終完成商品は、部品加工もありますが、電気のことや制御のこと、素材、組み立てなど、ものづくりの要素が全て入っています。ですから、これは私が中心に入って取り組みました。中小企業が事業構造を変えたい時は、やはり社長自らが入ってやらないと変わらないんですよ。

飯島 名言が出ましたね。私も全くもって同感です。

浜野 プロダクト作成やデータ整理など、各業務はスタッフに任せれば良いことですが、事業構造そのものは、社長自らが現場に入って本気でやらない限り変わりません。そのチャレンジをきっかけに事業構造を徐々に変えていき、今に至ります。

ですから、火事に遭い、インターンシップ生を受け入れ、6歳の女の子と出会い、早稲田大学との産学連携に取り組む…といった出来事が、全て1つのストーリーになっているんですよね。こうした浜野製作所の変化を、みなさんが楽しんだり理解してくれたりして、それがまた新たなきっかけや縁につながっているかもしれませんね。

第6回に続く]

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