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【お客様インタビュー】社員や家族の生活や心を豊かにする会社をつくる(株式会社浜野製作所 6/7)

【お客様インタビュー】社員や家族の生活や心を豊かにする会社をつくる(株式会社浜野製作所 6/7)

本連載は、中小企業の星として、今やメディアに引っ張りだこの株式会社浜野製作所 代表取締役CEOである浜野氏へのインタビューを書き起こしたものです。

全7回に渡るシリーズものとなっていますので、ぜひ中小企業の経営のヒントを得ていただけますと幸いです。

▽動画も視聴いただけます

◇前回までの記事はこちら
【お客様インタビュー】時代や環境の変化を見つめて事業展開をする中小企業の鑑(株式会社浜野製作所 1/7)

【お客様インタビュー】インターンシップの受け入れが会社に新たな風を吹き込んだ(株式会社浜野製作所 2/7)

【お客様インタビュー】6歳の女の子のために受けた仕事が今の事業展開の原点に(株式会社浜野製作所 3/7)

【お客様インタビュー】経営理念に込めた想いを伝えることでスタッフの意識も変わる(株式会社浜野製作所 4/7)

【お客様インタビュー】これまでのできごとや出会いがつながって現在の事業拡大に(株式会社浜野製作所 5/7)

【出演者】
インタビュイー:
株式会社浜野製作所
代表取締役 CEO
浜野 慶一氏

インタビュアー:
株式会社古田土経営
代表取締役社長
飯島 彰仁

ある時見た衝撃的な夢が
新たな決意につながる

飯島 早稲田大学との産学連携で、電気自動車などの開発にもチャレンジされている浜野製作所ですが、そのきっかけは「事業構造を変えたい」という思いからだったんですね。

浜野 当時はいくら頑張っても売上が上がらない、機械を買えないから効率も上がらない、というサイクルから抜け出せない状況がずっと続いていましたので…。ですからスタッフのため、お客様のため、自分自身のためにも、事業構造を変えたかったんですよね。

飯島 そういうことだったんですね。

浜野 実は、もう10年以上前の話になりますが、ある夢をみたんですよ。その夢に出てきたのは、当時の社員と、その社員の娘さん(中学生)です。夢の中で娘さんは、私立高校に行きたいとお父さんにお願いしていました。けれども父親から返ってきたのは「無理を言うな。お父さんは小さな町工場で働いていて、お前を私立に行かせるほどの給料はもらっていないんだ。公立高校に受からなければ、中学卒業後は働きなさい」という言葉でした。夢の中の話とはいえ、私はこの娘さんの悲しい顔が忘れられなくて…。

その時に私は「これを正夢にしてはいけない。こんな思いをスタッフやその家族、もちろん自分の家族にもさせてはいけない」と、強く思いました。

当社の経営理念には、働いているスタッフとその家族みんなの生活と心を豊かにする会社であろう、という想いも込められています。それを自分たちの手で実現していきたいんです。けれども、それは社長1人では実現できないので、みんなで一緒に作っていこうよ、という気持ちで日々仕事に取り組んでいます。もちろん大変なこともたくさんありますが、とにかくこの想いは絶対に曲げられないんですよ。

これまでの賞与の査定や、この度のコロナ禍における対策などは、全てこの経営理念を原点に対応してきたつもりです。「浜野製作所はこういう会社である」ということを、さまざまな局面で盛り込んでいくと、経営理念についても意識し、スタッフも当社の目指すものを徐々に理解してくれるようになります。そしてこの想いに共感してくれる人が、どんどん集まってくると思っているんです。

私にとって、あの時見た夢は本当に衝撃的だったんですよね。親にとっての最大の仕事は、子どもをきちんと教育することじゃないですか。ごちそうを食べさせたり贅沢をさせたりすることよりも、自分の力で前に進んで生きていくための教育をすること。それを叶えることが、やはりすごく大切なことですから。

自分の子どもたちに試した実験で得た気づき

浜野 そうは言っても、私は、以前はずっとスタッフたちを信用できずにいました。なんというか、「自分がやらないとこの会社はダメになってしまう」という変なおごりのようなものがあって、うまく人に仕事を任せることができなかったんですよね。

その意識が変わったのは、家で子どもたちにある「実験」をしたことがきっかけでした。私には2人の息子と1人の娘がいて、当時は休日に4人で一緒に自転車でよく出かけていたんです。ある時、それまでは私が率先して行先などを決めていたのですが、「浜野隊」という組織を作り、週替わりで子どもたちを隊長に任命することにしたんです。隊長は行き先や食事など、全て自分で決めても良いし、みんなの意見を聞いて決めても良い。さらにその日の予算を預けて、朝10時から夕方4時頃まで、外にいる間のお金のやりくりも任せました。

飯島 なるほど。子どもたち自身が決めて、取り仕切るんですね。

浜野 預けたお金は、帰宅後に何に使ったかを確認して、お釣りを返してもらう…という形です。予算は千円の時もあれば、思い切って1万円渡してみた時もありました。千円しか渡さない時は、食べ物や飲み物はみんなで分け合いやすいものを買うなど、子どもたちなりにいろいろと工夫をします。また1万円を渡した時には、「今日はこれでゲームを買ってもいいんだよ」と言っても、互いに譲りあったり相談したりしながら、昼食までのやりくりを考えるようになっていましたね。

ある時、当時、幼稚園生だった末娘が、隊長を務めたときのことです。よく行く公園へ向かったのですが、先導する娘がなぜか家から遠いルートを選んで行ったんですよね。不思議に思って聞いたところ、近い方のルートには大きな道路があって、トラックやバスもたくさん走っていて危ないから、より安全な道を選んだ、と言うんですよ。

飯島 なるほど。そういった理由だったんですね。

「できないからさせない」ではなく
スタッフの自主性に任せることが大事

浜野 その時に、子どもだからまだ難しいと思っていることというのは、できないのではなく、自分がさせていないだけなんだと気づきました。そしてそれは、自社のスタッフにも同じことが言えると思ったんですよね。「できないから任せられない」というのは、社長が勝手に決めつけていることで、「できない」のではなく、「させていない」ということなんですよね。

飯島 させていない…、確かにそのとおりですね。

浜野 それからは、スタッフたちにも、もっといろいろなことを任せてさせるようにしました。口を出したくなることがあっても、グッと飲みこんで我慢します。そうして見ていると、みんなどんどん自主的に動いてくれるようになるんですよね。ですから、これは我が家の「浜野隊」で実験したことを、会社でも採用したというだけの話なんですよ。

飯島 それは非常に教育的な方法ですね。単なる詰め込み教育ではなく、考えてチャレンジさせる機会を提供する。その方がよほど人間らしい教育だと思います。

浜野 そうですよね。立場や年齢が上である状況では、どうしても「自分がやらなければいけない」と思ってしまいがちです。けれども、場合によっては人に任せた方が良いこともあるんですよね。それは家庭における親子の間でも、会社における上司・部下の間でも、同じだと思うんですよ。

飯島 すごくよくわかります。私たちも、社内でそういった話をしますので…。

浜野 そういう形で事業を運営していくことが、みんなの心を豊かにすることにもつながると期待しています。

最終回に続く]

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