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【お客様インタビュー】社長がスタッフ一人ひとりに寄り添える規模を維持(株式会社浜野製作所 最終回)

【お客様インタビュー】社長がスタッフ一人ひとりに寄り添える規模を維持(株式会社浜野製作所 最終回)

本連載は、中小企業の星として、今やメディアに引っ張りだこの株式会社浜野製作所 代表取締役CEOである浜野氏へのインタビューを書き起こしたものです。

全7回に渡るシリーズものとなっていますので、ぜひ中小企業の経営のヒントを得ていただけますと幸いです。

▽動画も視聴いただけます

◇前回までの記事はこちら
【お客様インタビュー】時代や環境の変化を見つめて事業展開をする中小企業の鑑(株式会社浜野製作所 1/7)

【お客様インタビュー】インターンシップの受け入れが会社に新たな風を吹き込んだ(株式会社浜野製作所 2/7)

【お客様インタビュー】6歳の女の子のために受けた仕事が今の事業展開の原点に(株式会社浜野製作所 3/7)

【お客様インタビュー】経営理念に込めた想いを伝えることでスタッフの意識も変わる(株式会社浜野製作所 4/7)

【お客様インタビュー】これまでのできごとや出会いがつながって現在の事業拡大に(株式会社浜野製作所 5/7)

【お客様インタビュー】社員や家族の生活や心を豊かにする会社をつくる(株式会社浜野製作所 6/7)

【出演者】
インタビュイー:
株式会社浜野製作所
代表取締役 CEO
浜野 慶一氏

インタビュアー:
株式会社古田土経営
代表取締役社長
飯島 彰仁

テレビ企画へのチャレンジを
通して生まれた新たなチームワーク

飯島 浜野さんからお話を伺っていると、人に対する愛というものを、ものすごく感じます。また、浜野製作所は「えっ、それやっちゃうんだ!」と思うようなことにも挑む、チャレンジ精神もすごいじゃないですか。2020年6月にNHK BSプレミアムで放送された『魔改造の夜』も拝見しました。ポップアップトースターでより高く食パンを飛ばしたり、犬のおもちゃを速く走らせたりする改造にチャレンジするという、ユニークで見応えのある企画でしたね。

浜野 このお話をいただいたとき、これは若手エンジニアと会社との協力をつなぐ、良いプロジェクトになるのではと思いました。当時はすごく忙しかったこともあり、反対するスタッフもいたのですが、お金を払って体験できることでもないので、とりあえずやってみようよと。

社内で参加希望者を募り、手を挙げたのは若いスタッフたちでした。取り組み始めた当初は、周りのスタッフも「忙しいのに人が抜けて…」などと言っていましたが、次第にみんな集まってきて、いろいろ協力するようになりましたね。「あとは俺たちに任せて、今日はそっちにかかっていていいよ」と声をかけてくれたり、品質管理スタッフは犬のマントを手作りしてくれたり…。最後の1週間は、私が統括として入って仕事の調整などは行いましたが、ほぼ現場サイドで回してくれたんですよ。このチャレンジでは、会社が1つのチームになっていくのを実感しましたね。

飯島 それはすごい。周りのスタッフの意識も変わっていったんですね。

浜野 私は彼らに「絶対に2つとも優勝するという気概をもって取り組むこと」と、「食パンを何メートル飛ばせたかを気にする前に、この食パンを粗末にするな」ということも併せて言いました。

実験段階では、いろいろなメーカーの食パンの成分を分析したり、何度も食パンを飛ばしたりしますから、ちぎれた食パンやパン屑がそこら中に置いてあったりしたんです。ですから「世界にはパン1枚を食べられないがために、命をつなげない子どもたちもいる。そのことをわかったうえで取り扱わなければ、良いエンジニアにはなれないよ」と伝え続けたんです。私たちは常にそういったことも考えながら、製品づくりや商品開発をしていかなければいけませんから。結局パン屑は、魚の餌などにしていましたね。

その件を含めて、1作業1清掃を徹底するように言いました。毎朝のミーティングでは、改造の進捗状況とあわせて、1作業1清掃を心がけているか、食パンは粗末にしてないかも確認したりして。そういったこともあって、今彼らはすごく良い働きをするようになっていますよ。

飯島 それこそが、まさに環境整備であり、教育なんですね。

どんな商売でも人柄があってこそ
成長や成功に導かれる

浜野 仕事に取り組むうえで大切なことや文化は、経営者や先輩技術者がスタッフにきちんと指導すれば、彼らは次の世代へ引き継いでくれます。私は職場でそういう良い循環を作りたいと思っているんですよ。

飯島 浜野さんが、いかにスタッフの可能性を信じていらっしゃるかがよくわかります。スタッフ・お客様・地域社会すべてを大切にしながら、ビジネスや企画など、いろいろなことにチャレンジされている、その姿勢は本当に素晴らしいです。

私は、どうしてもこのタイミングで、浜野さんにお話を伺いたかったんですよ。その理由は、今コロナ禍で大変な思いをしている中小企業も多い。そんな中、さまざまな苦しい経験も乗り越えてきた浜野製作所の話が、中小企業の方たちにとって、きっと何かのヒントになると思ったからです。

浜野 ありがとうございます。そういう私たちも、事業構造を少しずつ変えてきたつもりではありますが、それが成果として出ているかというと、まだ十分ではありません。ただ、当社のスタッフやその家族、周囲の人々など、私たちの取り組みをサポートしてくださる応援団もたくさんいるんですよね。それがすごくありがたく、大きな力となっています。

飯島 やはり、人を大切にされてきたからこそのつながりなんでしょうね。

浜野 私の妻の父、つまり義父は90歳を過ぎていますが、今でも週に3〜4回仕事に行くなど、現役で活躍しています。義父と時たま一緒にお酒を飲むので、ある時「お義父さんは、ご自身の成功の秘訣は何だと思いますか?」と聞いてみたんですよ。すると「自分ではよくわからないが、人柄だと言われたことがある」と返ってきました。そして「僕は、あなたの成功の秘訣も人柄だと思っているよ」と言ってくれたんです。また「人柄があってこそというのは、どのような商売でもきっと同じなのかもしれないね」と。お酒を飲みながら語る義父の言葉にはすごく深みがあって、鮮明に記憶に残っています。

浜野製作所にとっての
人を大切にする経営とは?

飯島 浜野さん自身は、人を大切にする経営とは、どういうことだとお考えですか?

浜野 私は、人を大切にするということは、必ずしも言うことを何でも聞いて甘やかすことではなく、時には話を聞いて寄り添い、時には厳しく指導をすることだと思っています。スタッフが2名の会社、300名の会社などいろいろありますが、社長がスタッフ一人ひとりに向き合えるくらいの数が、各会社にとっての理想的な規模なのではないでしょうか。私は、当社をスタッフ一人ひとりに向き合えないほどの規模にするつもりはありません。スタッフそれぞれの人生や家族、背負っている過去などを理解して、一人ひとりと寄り添った関係性を築くことが、すごく楽しいんですよ。

また今後は、生き方や働き方においても多様化が加速し、一人ひとりの人生や想いに丁寧に寄り添うことが、会社でもより一層求められるようになると思います。スタッフに寄り添い、お客様に寄り添い、地域に寄り添う…それこそが、浜野製作所の経営理念にもある「おもてなしの心」です。そのことは、次の世代の経営者にも知ってもらいたいですし、それが当社のアイデンティティであり、理念の源泉なのかもしれないと思っているんですよ。

飯島 最近、よく言われる「働き方改革」はもちろん大切です。けれども、一人ひとりと対話することや、可能性を信じて機会を与えることも、経営者が忘れてはいけない大切なことなんですよね。今回、浜野製作所のさまざまなストーリーをお聞きして、浜野さんの想いや、またそれをスタッフのみなさんと共有できている理由がよくわかりました。

浜野 私も経営理念をつくった当初は、なかなか伝えきれていませんでしたが…。やはり、単につくられたルールに当てはめたことをするだけでは、その意味を理解することも付加価値を見出すことも難しいものです。ですから、場長たちには「伝えたか、伝えていないかではなく、伝わっているか、伝わっていないかを見ることが肝心だ」と、よく言っています。ちょっとした出来事にも、そこに隠された背景や心情を少し添えることで、ストーリーとしてみんなの胸に落ちて、理解度が進むことってあるじゃないですか。それが、「伝わる」ということなんだと思います。心に染み入って、理解して取り組んでこそ、付加価値が生まれ、そこからまた新たなチャレンジが生まれてくるんだと思うんですよね。

飯島 肝に銘じたいど真ん中のお話でしたね…。ど真ん中すぎるので、もしかしたら「わかってるよ」という方もいらっしゃるかもしれません。けれどもやはり、本当に会社を成長・成功させ、人を大切にされている社長がおっしゃられたことには、改めて共感させられましたし、再認識させられることがたくさんありました。このことが1人でも多くの方に伝わると、私たちも嬉しいです。

浜野 ありがとうございます。古田土会計には、良いクライアントがたくさんいらっしゃって、私もいろいろなご縁をいただいているので、今後も勉強させていただきたいと思っています。

飯島 いえいえ、こちらこそ。浜野さん、今回は本当にありがとうございました。

浜野 こちらこそ、ありがとうございました。

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