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仕入先や経費の支払いより銀行の借入金返済という勘違い②

仕入先や経費の支払いより銀行の借入金返済という勘違い②

「資金繰りに困ったらどのように支払いを進めていくべきなのか知りたい。」
「リスケをすべきタイミングやする意義について学びたい。」

などとお考えの方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、前回に引き続き「仕入先や経費の支払いより銀行の借入金返済という勘違い」です。

前回は銀行への借入金返済よりも、むしろ手形の支払いや従業員の給与、材料代などの支払いのほうが優先度は高いと解説しました。今回は銀行への支払いを後回しにするために必要な「リスケ」について深掘りします。

銀行に対しては積極的にリスケを交渉し、返済を一時中断したり、返済額を大きく減らしてもらったりすべきです。借入金の返済にかかる負担が低減されることで、資金繰りはグッと楽になり、ほかのことにお金や労力、情熱を使えるようになります。

▽動画でも解説しています

資金繰りに困ったときの優先順位

前回も解説した通り、資金繰りに困った際の支払いの優先順位は以下のように考えるべきです。

1. 手形の支払い
2. 従業員の給与
3. 材料代
4. 会社を維持するための諸経費
5. 銀行への金利
6. 税金・社会保険料
7. 銀行への元金返済

銀行への支払いよりもむしろ、手形の支払いや従業員の給与、材料代などの支払いを優先させましょう。また銀行への支払いについては、元本返済よりも金利のほうが重要です。元本についてはいくらでもリスケの使える余地があります。

以下ではこうした内容について、もう少し詳しく解説します。

◯「手形の支払い」を第一に考える

まずは手形の支払いが最優先です。手形の支払いが滞り、不渡となったら倒産に直結します。支払い金額には1円の不足も許されません。

資金繰りが苦しくて、手形の支払いができそうにない場合、手形のジャンプをお願いする、つまり支払い期間を延期してもらえるように頼むことはできます。また長期の分割払いにしてもらうのもよいでしょう。

ただし、そうした交渉はできるだけ早く行わないと手遅れになるので気をつけてください。

そのほか、従業員の給与や材料代、会社を維持するための諸経費、銀行への金利、税金・社会保険料などについても、期日の延期や分割払いへの変更などの交渉をしましょう。

◯税金は滞納額が多いと「差し押さえ」なので注意

法人税や地方税、消費税などの税金については、滞納金額が1,000万円までなら税務署との交渉が可能です。一方で1,000万円を超えると国税庁の管轄になり、差し押さえをはじめとする強制手段の可能性も出てくるので注意しましょう。

国税庁を無視していると、財産を差し押さえられます。税務署は、勘定科目の内訳書によって、どこと取引があるのかを把握しているため、すべて差し押さえられてしまうのです。決して税務署を甘くみてはいけません。

◯リスケは早めにやるのがおすすめ

銀行への元本返済については、リスケの交渉によって据え置きにすることができます。リスケをしても会社の経営や財務が改善されれば、銀行との取引をまた通常通りに戻せるので、リスケはやるべきです。

しっかりとした再建計画を立て、銀行に対して早めの交渉を行いましょう。

【超重要】リスケをするタイミングについて

大事なのはどういうときにリスケをやるかということです。銀行が貸してくれる限りは、普通に借り入れをし、借りた金額で返していけば構いません。問題は銀行が「もう貸さない」と言ってきたときです。

◯銀行に返すために他の銀行から借りるのは厳禁

「貸さない」と言ってきた銀行へ返すために、ほかの銀行から借り入れをするのはやめましょう。銀行から借りたお金を銀行の支払いに充てていたら、あっという間にお金がなくなってしまいます。

これはよくあるケースですが、三菱や住友など、都市銀行は我々中小企業に対して「もうおたくには融資しませんよ」と平気で言います。ところが地元の信用金庫や信用組合は、メガバンクが貸してくれなくても「取引しませんか、当行はまだ融資しますよ」となることが多いです。

しかし、都市銀行に返すために地元の信用金庫・信用組合から借入をしてはいけません。我々中小企業は、都市銀行にとっては全く重要性のない存在です。はっきり言って「どうなってもよい」と思われています。一方で信用金庫や信用組合にとって中小企業は、それなりの取引先です。我々が大切にすべきなのは信用金庫や信用組合であり、都市銀行・メガバンクにお金を回しても何の意味もありません。

◯【原則】「貸し渋り」には「返し渋り」で応える

重要なのは、メガバンクだろうと何だろうと、銀行が「貸さない」と言ってきたらもう「返さない」ことです。「貸し渋り」には「返し渋り」で応える。これをぜひ理解していただきたい。

信用金庫や信用組合から借りてメガバンクに返済するなど、あってはならない話です。そのようなことをすると、たちまち信用金庫や信用組合の貸付の限度額を超えてしまいます。上述の通り、信用金庫や信用組合との取引はお互いにとって重要度が高いです。これは大切にしなければいけません。

よって、メガバンクが「貸さない」と言ってきたら、積極的にリスケをやりましょう。手形の支払いは待ってもらえませんが、銀行への返済にはいくらでもリスケが効きます。銀行、とくにメガバンクへの支払いの優先度は、最も低くて良いのです。

◯「リスケをするとお金が借りられなくなる」なんてことはない

リスケをすると銀行からお金を借りられなくなるということはありません。会社の状況が良くなれば、また銀行はやってきます。

リスケをするのは、資金繰りに詰まって銀行に借り入れを申し込んでも断られ、なおかつ返済を3〜5年猶予してもらえば当面をしのげるというときです。たとえ一時的に資金繰りに困っても、赤字を黒字にする地力があったり、2〜3年の計画で黒字を見込めたりする場合は問題ありません。

急場をしのぎ、数年後に資金繰りを改善できれば、また銀行から普通に借り入れができるようになるでしょう。

リスケの意義は「返済額を減らすこと」

なぜリスケをしなくてはならないかというと、返済額が多すぎるからです。会社の実力以上に借入金の返済額が多いとお金が返せないので、リスケをしなければなりません。借入金が多くなり、銀行が「もう貸さない」と言ってきたらリスケをしましょう。

リスケは「お金の支払いを拒む」という意味ではありません。リスケの意義はあくまで返済額を少なくすることです。

税引後利益+減価償却費をひとつの目安にして、そのくらいで返せるような状態を作るのがリスケの目的だと考えましょう。月々300万円返済していたのを、当面月30万円ずつにしてほしい、来年は50万円、その翌年は100万円、そしてその次は200万円にする。そのように事業計画を立てたうえで返済額を少なくする交渉を行うのがリスケです。決して「返せない、返さない」と主張するわけではないため、リスケは実はそれほど難しくありません。

かつてリーマンショックが起きたときには、「中小企業金融円滑化法」という法律ができて、リスケが正常債権とみなされました。中小企業金融円滑化法はすでに期限を迎えましたが、リスケという制度は今でも活用されています。

◯コロナ融資を借入金の返済に使うべきではない

当コラムでは、たびたび日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を紹介していますが、コロナによって融資を受けたとしても、それを借入金の返済に充てていたのではどうしようもありません。たとえ1億円、2億円融資を受けたとしても、借金の返済に使ったらそのお金は1年ほどで無くなる可能性もあります。

コロナ融資は、これまでお金がほとんどなくて、新たに借り入れをしながら借入金を返していた会社が、そこから脱却できる大きなチャンスです。そのため、コロナ融資は借入金の返済以外に使わなくてはなりませせん。

例えば、コロナによって日本政策金融公庫から1億円や2億円を借りられたとすると、その分だけ会社にお金が貯まります。そうすれば手元に十分なお金が残っていることを強みとして、リスケの交渉をすることもできるでしょう。リスケを使えれば、コロナ融資は運転資金として使うことが可能です。

【成功例】交渉がうまくいったお客様もいらっしゃいます!

実は上記のような交渉を、私どものお客様にもやっていただきました。コロナ融資を加味した事業計画を作って、銀行にリスケをお願いしたのです。

銀行からは「このような事業計画を作ってきたことはとても評価します。先々の施策についてもわかりました。しかし、リスケは困るので、返した分だけまた融資しますからどうか今のまま取引を続けてください」という返事をいただきました。

このように、リスケやそれに準ずる約束をしてもらうことで、コロナ融資が借入金の返済であっという間に消えてしまうという事態を防げます。例えば、これまで手元に1,000万円しかなかったのが2,000万円、場合によっては1億円くらい持てるようになるので、資金繰りおよび財務体質はずいぶんと改善します。

まとめ:銀行が「貸さない」と言ったらリスケをしましょう

資金繰りを改善するために、銀行へのリスケは積極的に活用すべきです。銀行が「もう貸さない」と言ってきたのを良いきっかけに、リスケを交渉しましょう。「貸し渋り」には「返し渋り」で応えるのがおすすめです。

また銀行への返済のために、ほかの銀行から借り入れをしたり、コロナ融資の資金を使ってしまったりしてはいけません。銀行への支払いはリスケで止めておいて、ほかの支払いを優先させる、なおかつ、運転資金を増やして経営や財務を改善させるのが賢明な選択です。

また、今回ご紹介した内容は、あくまでも対処療法にすぎません。中長期的には、キチンと財務を改善していき、健全な会社にしていく必要があります。

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