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運転資金は短期借入金で調達すべきという勘違い

運転資金は短期借入金で調達すべきという勘違い

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、重要なポイントをピックアップして解説していきます。

今回のテーマは、「運転資金は短期借入金で調達すべきという勘違い」です。

結論から申し上げますと、運転資金を調達するならば、長期借入金で借りるべきです。しかし現実には運転資金を短期借入金で借りようとする経営者は少なくありません。その理由は「運転資金とは何か」ということについて、経営者と銀行とでズレがあるためです。

本記事では「経営者が考える運転資金」と「銀行が考える運転資金」の違いや、短期借入金の考え方について解説します。

「運転資金は短期借入金で賄えれば問題ないと思っている」
「銀行から短期借入金として借りられる金額を知りたい」

このようにお考えの方は、ぜひご覧ください。

▽動画でも解説しています

経営者が考える運転資金とは

まず、経営者が考える運転資金の認識について解説します。中小企業の経営者は運転資金を「設備投資以外の資金」と捉えている方が多いです。売上の回収より仕入れの支払いの期限が先に到来し資金が不足する「サイト負け」に対応する資金以外にも、賞与や納税、借入金の返済、一般的な経費の支払いも運転資金と考えている経営者もいらっしゃいます。

昔は6月・12月の賞与の時期になると「賞与資金を借りませんか」、決算期の2か月後には「納税資金を借りませんか」と銀行が経営者に声をかけることが珍しくありませんでした。ゆえに経営者は運転資金を「お金が足りなくなったら借りるもの」と認識していました。

しかし現在では、賞与や納税のために銀行から資金を借りる会社はほとんどありません。なぜ昔は賞与や納税のためにお金を借りていたかといいますと、企業が右肩上がりであり、伸び率も高かったからです。

企業がうなぎ登りに成長しているものですから、売上も増えており、売上が増えれば在庫も増え、受取手形が増え、売掛金も増えます。

会社には粗利があるため、たとえば粗利益率50%、売上高に占める材料費や外注費の割合が50%であれば、売上高が1億円増え、売掛金が1億円増えると買掛金は5,000万円です。

売上高に対する変動費率の分だけ、売掛金に対し買掛金が増え、在庫も増えます。売り上げが大きくなるほど必要な資金も大きくなります。

この状態は儲かってはいるものの、お金が寝かされているものですから、賞与の時期には賞与を支払う現金がなく、決算期には納税資金が現金で準備できない状態に陥ります。

銀行が考える運転資金とは

銀行が考える運転資金とは、(受取手形+売掛金+棚卸資産)ー(支払手形+買掛金)です。この金額は銀行が企業に資金を融資する場合の基準の額とも言えます。

つまり中小企業の社長は銀行がどのくらい自社に運転資金として短期借入金を貸してもいいと考えているかを計算することができます。たとえば、受取手形と売掛金で9,400万円、棚卸資産で1,000万円だとすると、資産の部の合計は約1億円です。買掛金は2,500万円だとします。そうすると銀行は1億円-2,500万円=7,500万円を短期で貸してもよいと考えていると予測し、銀行と交渉することができます。

では、銀行が想定する運転資金の範囲であれば短期借入金で調達してもよいかといいますと、それも勘違いです。季節変動費を除き、短期で借りてもいい資金はありません。仕入れ資金やサイト負け対策資金も長期借入金で調達しましょう。

短期借入金は約定で1年以内の返済が条件となっていますから、銀行が約定を根拠に返済を求めてきた場合には返済するしかありませんし、返済できなければ資金繰りに詰まる状態となります。会社を守るためにも、極力安全な方法で資金調達を行うことを勧めています。

本当に儲かっているならば、現金が手元にあるはず

京セラやKDDIの創業者である稲盛和夫さんの本には「儲かっているから賞与や税金を払うはずなのに、払うお金がないということは、本来は儲かっていないのではないか」といったことが書かれています。

会計を勉強している人は「損益と資金は別」と考え、賞与が払えなくても「儲かっている」と認識します。会計的にはその認識は正しいのです。しかし、稲盛和夫さんは疑問を持ち、キャッシュフロー計算書を作り、儲かった利益がどこに消えたかを明らかにしました。

私は稲盛和夫さんの本をヒントにし、「古田土式キャッシュフロー計算書」を生み出し、ご契約いただいているお客様には、利益とお金の違いを毎月キャッシュフロー計算書にて説明を行っています。具体的には今月分のキャッシュフロー計算書・累計のキャッシュフロー計算書・累計のバランスシートを用いています。

古田土会計では、借入に関するお悩みのご相談にも乗ることができますので、ご活用をご検討いただけますと幸いです。

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