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【コストカットの前に◯◯◯◯を改善すべき!】業績を上げるために人件費を削るという勘違い①

【コストカットの前に◯◯◯◯を改善すべき!】業績を上げるために人件費を削るという勘違い①

「業績を改善するために、人件費をカットするのは妥当な選択か」
「人件費を削ることのデメリット、人件費を削らず業績を上げる方法とは」

上記の内容が少しでも気になる方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。このコラムでは、同著の166ページから168ページを取り上げます。

テーマは「業績を上げるために人件費を削るという勘違い」です。

昨今、コロナによって売り上げが大幅に下がったという事例がたくさん見られます。「会社の売上・粗利が下がったら、経営を維持するために人件費を含めた固定費も下げなくてはならない。だからやむなく社員の方に辞めてもらった」。そのような会社も多いです。

業績を改善するために人件費を削るのは、一見まともな選択のように思えますが、実はそうではありません。人件費のカットには限度があり、社員の士気に与える悪影響も大きいです。よって、中長期的に見れば、人件費を削ることでむしろ業績を悪化させてしまう恐れもあります。

そこで今回は、人件費を削らずに業績を上げるための発想の転換や、その具体的な実現方法などを解説します。これから経営を立て直し、この先何十年も続く会社を作りたいとお考えの経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

大企業で見られる「正しくない経営」

業績を上げるために人件費を削るというのは、大企業では日常茶飯事です。例えば、あのカルロス・ゴーン氏は「コスト・カッター」として知られています。徹底的に人件費をはじめとするコストをカットして利益を出し、経営を改革するのです。

しかし、ゴーン氏自身は、10億円くらいの給料をもらっていたといいます。社員からすればとんでもない話です。10億円もあれば、社員何人分の給料を払えるでしょうか。自分の給料を1億円未満にして、残りの9億円を給与の支払いに充てれば、一体何人の社員が救えることか。我々は、ついそのような計算をしてしまいます。

とはいえ、ゴーン氏は一時期マスコミからもてはやされていたのですから不思議です。マスコミで記事を書く人も一社員のはずですが、同じ社員が次々とクビになっていることに何も感じなかったのでしょうか。彼らは業績が上がったことだけを見て、「すごい経営者だ」と書いていたのです。

また「ソニーが過去最高益を出しながら希望退職を募った」という記事もありました。このような経営は果たして正しいのでしょうか。私は正しいとは思いません。希望就職を募るくらいだったら、経営者がもっと知恵を出し、辞めなければならない人たちが活躍できる場所を作ってあげるべきです。

「あなたはこの事業に必要ないからもう辞めてください。あっちの事業で必要な人材はまた別で採用します」。このようなことをやっていれば、社員が単なる道具になってしまいます。会社がそのような態度であれば、社員がその会社のために一生懸命働くとは思えません。

社員とその家族を守るのが経営者の使命

我々中小企業は、「人を大切にする経営」を心がけるべきです。大企業のように、業績を上げるために人件費を削るといったことはしてはいけません。会社のために社員を切り捨てるというのは重大な勘違いだと、私は考えます。

万が一何があっても、社員の方に辞めてもらわなくて済むような形を作るのが、正しい経営です。高収益型の事業構造を作ったり、内部留保を厚くしたりしておけば、たとえ利益が出ずに赤字になっても、立て直すための時間が与えられます。

とくに内部留保は重要で、内部留保が十分にあり、自己資本比率が高ければ、1年、2年くらい売り上げがなくても、びくともしないような会社が作れるのです。そのような会社が作れれば、人件費を削る必要がなくなり、社員やその家族を守れます。

「何があっても社員とその家族は守る、人件費は削らない」。このような決意からスタートするのが、経営者のあるべき姿ではないでしょうか。

労働分配率ではなく「労働生産性」で考える

今回のポイントは、「分配率ではなく生産性を見るべき」ということです。分配率から生産性へと発想の転換を行うことで、人件費を削らなくても業績を改善できる可能性が見えてきます。

労働分配率の問題点

一般的に中小企業は、人に頼る部分が大きい「労働集約的」です。そのため、どうしても売上や利益の規模に比べて、人件費の割合が高くなってしまいます。そのため、企業が生み出した付加価値をどれだけ労働者に還元したかを示す「労働分配率」も高くなりがちです。

会計的な数字だけを見て、会社の業績をよくしようと考えれば、この労働分配率を低くしなければなりません。また労働分配率という指標には、「粗利益率に対して人件費が何パーセント以内に抑える」というコスト意識が潜んでいます。

よって、人件費をネガティブなコストと捉え、それを抑え込もうとする傾向になってしまうのです。

ちなみに労働分配率という指標は、粗利に対する人件費の割合で考えます。要するに人件費を粗利益(=付加価値)で割るわけです。

そのため、労働分配率を一定に保とうとするなら、売上および粗利益が下がると、その分だけ人件費も下げなければいけません。具体的には、賞与を少なくしたり、辞めてもらって人件費自体をいくらかなくしたりするわけです。一般に人件費を抑えることは、労働分配率を一定にしよう、もしくは下げようという行動だといえます。

「人件費=コスト」という発想はやめるべき

中小企業の経営では、人件費のコストと見ると、社員のモチベーションが下がって、社員が定着しません。そのため、中小企業では、人件費はコストではなく「経営の目的」と考えるべきです。会社のために社員が存在するのではなく、社員の幸せのために会社が存在すると発想を転換しましょう。

コロナ禍でいろいろな会社を見せていただくと、コロナで赤字になり、社員に賞与を払えなくなった会社は結構あるわけです。しかし、1,000万円以上の役員報酬は依然として変わっていないというケースも何件かありました。

我々からすると、順序が逆だろうと思うわけです。まず経営者の役員報酬を下げてから、それでも厳しいなら社員の賞与を下げたりなくしたりすべきでしょう。

一般的に、社長の給料と社員の給料では、金額が全く違います。普通に考えれば、社長の給料のほうが下げられる余地が多くあるわけです。それなのに社員の給料のほうから率先して下げる。そのようなことをしていれば、社員から「うちの社長は我々のことを全然考えてくれていない」と思われても不思議ではありません。

労働分配率と業績には明確な関係がない

まずは「労働分配率」と会社の業績を結びつける発想をできるだけやめましょう。会社の業績は、決して労働分配率で決まるわけではありません。

例えば、我々古田土会計は、決算賞与まで含めると労働分配率が65%もあります。しかし、それでも3億円以上の利益を出せています。

一方、労働分配率が40%で赤字になる会社も存在するわけです。このように労働分配率は、会社の業績に大きく影響する指標ではありません。よって、会社の業績のために人件費を減らそうという考えは、実際のところそれほど正しくないのです。

中小企業にとって人材はかけがえのない存在

たしかに大企業では、正社員の削減や外注化によって人件費を減らし、労働分配率を低くする経営手法が一般的です。リストラも労働分配率を下げるために行われます。しかし、労働集約的な中小企業にとって、人材はかけがえのない大切なものです。人手不足の中、人手をコストと考え、人件費を削って業績を良くしようとするのは、本末転倒と言わざるを得ません。

中小企業の社長の仕事は、縁あって働いてくれている社員とその家族を守ることです。「業績を良くすること=労働分配率を下げること」という大企業的発想に取り憑かれ、大切なものを手放してはなりません。

「労働分配率から労働生産性へ」という発想転換の魅力

社長は「粗利益を増やして労働生産性を上げていこう」と頭を切り替えるべきです。「労働分配率から労働生産性へ」と価値観を転換しましょう。

そもそも労働分配率という発想をするから、分子である人件費を抑えようという考えが働くのです。労働生産性への発想の転換では、労働分配率の分子と分母を逆にします。以下をご覧ください。

図1:労働分配率と労働生産性

労働分配率 労働生産性
人件費 付加価値
付加価値※ 人件費

※付加価値:売上から変動費を引いたもの。
変動費とは、材料費や外注加工費、商品仕入れ費など、いわゆる外部の人が稼いだお金。

上記の通り、労働分配率と労働生産性は、真逆の発想です。労働分配率は、人件費を付加価値で割ります。それに対し、付加価値を人件費で割るのが労働生産性です。

労働生産性の式を見ると、やるべきことがはっきり見えてきます。つまり注目すべきは「付加価値」だということです。

もちろん人件費を削減することで、労働生産性を高めることはできます。しかし、それには限界があります。経営の合理化によって人件費をある程度削ることはできても、削り切ることはできません。限界以上に削ったら、働く人がいなくなってしまいます。

一方で労働生産性を高めるには、付加価値を上げるという方法もあります。こちらの可能性は無限大です。社長が率先して頑張れば、売上や利益はどこまでも上がる可能性があります。

一人ひとりの社員に支えられている我々中小企業は、あくまで「社員は守るべき存在」という考えを持たなくてはなりません。よって、人件費はある程度一定に保たれる必要があります。

人件費を変えずに会社をよくするなら、あとは付加価値を上げるしかありません。社員を守るためにいかに付加価値を上げるか、これを考え、実行・実現するのが経営者の仕事です。

一流コンサルタントも付加価値を重視する

経営者の仕事は、付加価値を上げることである。これはあのドラッカーも一倉定先生も、そのほかの立派なコンサルタントも、皆が口を揃えて言うことです。

例えば、ドラッカーは「経営とは顧客の創造である」と述べています。顧客は内部ではなく、常に外部にいます。つまり顧客の想像とは、「売上を高めて付加価値を上げなさい」と言っているわけです。

また一倉先生は「販売無くして事業なし」とおっしゃっています。販売すれば付加価値が上がります。内部のコストを下げるのには限界があり、事業を成功させるには外部に目を向け、販売を頑張らないといけない。つまりは付加価値を上げなければならないということです。

コストカットに限界あり、付加価値に限界なし

我々中小企業の人件費は安いです。また多くの場合、人材に対してそれほど無駄な経費を使っているわけではないでしょう。そのため、人件費をいくら切り詰めたらからといって、大きな効果は望めないのです。

よって、重要なのは付加価値を中心に経営を考えること、付加価値を上げるための計画を立てることだといえます。

付加価値を上げるための3つの施策

それでは、どのように売上および付加価値を上げるか。具体的には以下の3つの方法が考えられます。

1. 現商品と現市場をつなぐ営業力を強化する
2. 現市場に対して新商品や新サービスを定期的に投入する
3. 新たな市場を発掘し、そこに現商品を投入する

上記のような努力をすれば、付加価値は上がります。その努力をするのが社長の仕事です。

人件費をはじめとするコストを下げるには、限界があります。社長がコストカッターで、付加価値を作る能力がなければ、やがて会社は倒産するでしょう。

一方で社長が社員を大切にし、人件費を聖域として守りつつ、その代わりに付加価値を上げる努力をすれば、社員は喜び、会社も良くなります。また社員の意欲が上がれば、さらに付加価値は上がるでしょう。そのようなポジティブな循環を生み出すのが、正しい経営のあり方です。

まとめ:人件費削減よりも付加価値を上げる事業構造を作ること!

社長の皆さん、「業績を改善するために社員をクビにする」、「赤字になったら社員の賞与をゼロにする」という発想はやめましょう。人件費を削って利益を出すには限界があります。

一方で売上を高めて付加価値を上げることに限界はありません。そのため、業績が悪いのは自分の責任だと考え、たくさん付加価値を稼ぐような事業構造を作れるように努力していくほうが、よほど健全です。

また縁あって働いてくれている社員と家族を守ることを、第一に考えましょう。それが経営者の役割です。社長が社員を大切にすれば、その姿勢が社員の心に通じ、社員も一生懸命協力してくれるようになります。

強い会社を作るには、強い事業構造を作る必要があります。そして、その足掛かりになるのが、経営計画書です。

どうやって作れば良いのか分からないという方は、ぜひ『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』を活用してみてください。

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