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【賞与は損益分岐点比率で考えよ】もしもに備えて好業績でも賞与は出さないという勘違い①

【賞与は損益分岐点比率で考えよ】もしもに備えて好業績でも賞与は出さないという勘違い①

「どのくらいの業績なら賞与を出して大丈夫なのか」
「賞与を払うことの意義はどこにあるのか」

上記の内容が少しでも気になる方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。今回は同著の170ページから175ページまでを取り上げます。

テーマは「もしもに備えて好業績でも賞与は出さないという勘違い」です。このテーマについて、主に以下2点のことをお伝えします。

このコラムのダイジェスト:
・財務体質が良ければ、好業績でなくても賞与は出せる
・会社のモチベーションのために、社長の分も含めて賞与は必要

会社の賞与について、どうすれば良いか迷っている経営者の方は、ぜひ以下の解説を参考にしてください。

▽動画でも解説しています

決算賞与を出す基準としての2つの考え方

決算賞与を出す基準として、経営計画を超えた分だけ出すという考え方があります。経営計画で定めた分より多く利益が出た場合、例えば、超過分の3分の1を分配するといったやり方です。

このやり方だと、事業がうまくいかなかったり、目標が高すぎていつまでも達成できなかったりすると、なかなか決算賞与を配るという段階までいかないかもしれません。

当社は違う考え方で決算賞与を出しています。経営計画をオーバーしたらではなく、「損益分岐点比率※に基づいて」決算賞与を出すのです。

※損益分岐点比率:損益がちょうど0になる売上高の水準を、実際の売上高で割った数値。低くなればなるほど利益が出やすく、良い状態といえる。

賞与は「損益分岐点比率」に基づいて決めるべき

基準は明確で、損益分岐点比率が90%以上であれば賞与は出しません。一方で損益分岐点比率が90%を下回った場合は、賞与を出します。

例えば、20億円の売上で3億円の利益が出たならば、損益分岐点比率は85%です。この場合、利益の40%程度にあたる1億円を、決算賞与として社員に分配します。

また基準は経営計画ではなく損益分岐点比率にあるため、目標を達成しなくても決算賞与は出します。

賞与を払うための「財務体質」の重要性

なぜ目標達成してないのに賞与を出せるかというと、財務体質が良いからです。

無借金で資金を十分に持っているので、目標に届かなくても、問題なく賞与が払えます。借金がなければ、返済にお金が出ていかないので、その分を社員に分配できるのです。

このように財務体質さえ良ければ、たとえ直近の業績が悪くても、決算賞与は出せます。そのため、「もしもに備えて好業績でも賞与は出さない」というのは勘違いです。

「もしもに備えて財務体質を整えておけば、特別好業績でなくても賞与は出せる」というのが本当だといえます。このようなことを伝えたくて、私は『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』の170ページから175ページを書きました。

会社経営における賞与を出すことの意義

やはりこれからは「人を大切にする経営」が大事です。

過去には「日本の人件費は高い」と言われていましたが、現実には低いです。最近はアメリカをはじめとする外国逆転されるようになってきており、生活もそれほど楽ではなくなってきています。

そのような状況下で、生活を豊かにするにはやはり「給料・賞与」なのです。基本の給料・賞与は世間並みにきちんと払って、そして決算賞与で多くお金を分配できれば、社員も豊かになるのではないかと思います。

また損益分岐点比率を決算賞与のベースにしておけば、利益が出ないときは分配しないので、調整も図ることができます。「賞与は業績が良くなってから出す」としておけば、状況が悪いときに無理して払わなければならないことはありません。

損益分岐点比率という明確な基準を掲げておけば、社員たちも納得してくれるはずですし、「決算賞与が出るように頑張ろう」とモチベーションを高める要因にもなるでしょう。

社長自身にも決算賞与を出すのがおすすめ

もう一つは重要なポイントは、「社員だけでなく経営者自身にも決算賞与を出す」ということです。これはとても経営者のモチベーションを上げます。

ちなみに私の場合、夏にはもらえませんが、12月には決算賞与で300万円をもらう予定です。月々の月給は200万円で、12月には決算賞与として300万円受け取ります。

夏の賞与はいただきません。なぜなら役員の決算賞与は、成果に対して払われるものだからです。決算賞与は人件費の一部ではありません。役員報酬は人件費の一部ですが、決算賞与は「成果配分」なのです。

成果を上げれば、相応の報酬が受け取れる。このことが、私を含めた経営者が頑張れる良い動機となるのです。

経営者への決算賞与は「事前確定届出給与」で

そもそも役員の賞与は、株主総会の決議事項です。通常、決算期の2ヶ月後に株主総会が行われ、そこで配当が決まり、役員賞与も決まります。そのほか、利益処分として、別途積立金を積み立てるなど、いろいろな積立金の処分も決定されます。

多くの中小企業は、役員賞与を払っていません。なぜなら役員賞与は税務上、損金にならないと長年決まっていたからです。そのため、役員賞与を払っていたのは、大企業や中小企業でも上場している会社だけでした。

事前確定届出給与は「損金」に算入可能

しかし、10年ほど前に税法が変わり、役員賞与が損金として払えるようになったのです。

それは「事前確定届出給与」の届出を税務署に出すことで可能になります。届出に支払日と支払い金額を記入し、記入した通りに支払えば、その金額は損金に算入できるのです。

株主総会の取締役会で決議し、税務署に届出を提出すれば、「事前確定届出給与」という形で役員賞与が払えます。我が社でも、飯島社長が200万円、私が300万円で届出を出しています。

事前確定届出給与の本質と表示方法

事前確定届出給与の本質は、「利益処分の前倒し」だといえます。本来ならば利益処分でもらう役員賞与を、それより2ヶ月前の決算期末でいただくわけです。

なお、利益処分の前倒しなので、事前確定届出給与は「特別損失」の場所に表示する必要があります。「販管費」に入れてはいけません。

なぜなら役員賞与の実質は、利益配当だからです。利益配当と同じような性質を持つので、特別損失に計上します。なお、社員に対する決算賞与も、同様に特別損失に計上します。

特別損失は経常利益とセットで表示すべき

我々の考え方では、社員の決算賞与は「経常利益との対比」で決まります。つまり「経常利益がいくらだったからこのくらい決算賞与が出せる」という意味です。

そのため、決算賞与や経常利益の下に表示しなければいけないと、我々は考えています。目標の経常利益と実際の経常利益、その関係の中で決算賞与が社員に払われるわけなので、決算賞与と経常利益は引っ付けて表示しておく必要があります。

役員賞与を特別損失に計上するメリット

繰り返しますが、役員賞与は利益処分の前倒しなので、特別損失に計上します。また社員の決算賞与も、同様に特別損失です。特別損失に計上することのメリットはたくさんあります。

まず販管費に計上するのと特別損失に計上するのでは、営業利益が大きく変わります。特別損失に計上したほうが営業利益は高くなるので、是が非でも特別損失に計上しなければなりません。

営業利益がなぜ大事かというと、銀行が我々中小企業を見るときに、営業利益を最も重視するからです。「インタレストカバレッジレシオ」や「債務償還年数」、「キャッシュフロー」など、銀行が重視する指標は、すべて営業利益を中心に計算されるからです。

そのため、営業利益を大きくするような決算書を作ると、銀行の格付けが上がり、金利は下がってお金は借りやすくなります。このようなメリットが得られるので、役員賞与や社員への決算賞与は、特別損失に計上するのがおすすめです。

美しい損益計算書が作れるという魅力も

また損益計算書の体裁が美しくなるというメリットもあります。営業利益がマイナスで、特別利益や営業外収入でなんとかプラスになるという損益計算書は、決して美しいとはいえません。

一方、営業利益より経常利益のほうがやや少なくなるくらいの決算書、なおかつ、特別損失があって税引前がプラス、税金を支払って税引後もプラス。このような美しい損益計算書を作るべきです。

当社には、年間150件以上の新しいお客様が移ってきますが、前の会計事務所の計算書を見ると、ものすごく汚いことが少なくありません。汚くない場合でも、綺麗とはいえないことがほとんどです。表示方法はまるで美しくありません。

私は、美しい損益計算書とバランスシートを作ることが大事だと考えています。体裁の良い計算書を作れば、それだけ銀行の評価も上がりやすくなります。そのためには、表示方法に気を配ることが大切です。

意欲的な経営にかかる事前確定届出給与の必要性

事前確定届出給与の手続きをすると、経営者自身も決算賞与をもらえるので、頑張るモチベーションになります。

また計画通りに行かなかったり、業績が落ちたりしたら、決算賞与はもらわなければ良いのです。事前確定届出給与は、届出をした通りの金額でなければならないので、本来は300万円のところを150万円にしておくといったことはあり得ません。

そのため、結果が出なかった場合、経営者の決算賞与はゼロです。そもそも経営の結果責任は全て社長にあるわけで、粗利益が出なかったら社長は決算賞与をもらえないというのは、妥当な話でしょう。

結果が出れば、十分な決算賞与がもらえる。一方で結果が振るわなければもらえない。このようにメリハリが効いているからこそ頑張れるわけです。

社長自身も社員も、決算賞与をもらおうというモチベーションがあるため、お互いに数字を意識しながら経営をするようになります。数字を出すため、目標を達成するためにいろいろな工夫もするようになるでしょう。

このような好循環を生むためにも、賞与というのは必要です。

まとめ:社員や社長自身のために賞与を出せるような会社づくりを

十分な賞与は社員や社長自身の生活を豊かにし、同時に仕事を頑張る良いモチベーションにもなります。そのため、一生懸命経営に取り組んで業績を上げ、いつでも賞与が出せるような状態を目指しましょう。

そのためには利益計画書を作理、その数字に基づいて毎月対策を打つことが肝心です。そのうえで損益分岐点比率など、賞与を出すための一定の基準を設け、利益をしっかりと社員の方に還元していきましょう。

また財務体質さえ良ければ、特別好業績でなくても、賞与を出すことができます。賞与を出すことは、社員を大切にすることに直結するので、常に賞与が払えるよう、ぜひ財務体質の改善にも取り組んでみてください。

より詳しく、財務体質の良い会社について知りたい方は、『健全な会社とは』という資料をご用意していますので、こちらも参考にしてみてください。

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