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【実際は月給の◯ヶ月分払えば優良企業】うちの賞与は世間より少ないという勘違い①

【実際は月給の◯ヶ月分払えば優良企業】うちの賞与は世間より少ないという勘違い①

「自分の会社の賞与に自信がない、世間より劣っていると思う」
「中小企業だと、賞与をどのくらい払えば世間並みなのかが気になる」

上記に少しでも共感される方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。

今回のテーマは、「うちの賞与は世間より少ないという勘違い」です。

新聞などで「賞与は平均70万〜80万」と知り、「うちの賞与は低い」と悲観している経営者の方がたくさんいらっしゃると思います。また社員の方からも「世間と比べてうちの賞与が低すぎる」と思われているかもしれません。

しかし、自社の賞与に対するそうしたネガティブな捉え方は、誤解であるケースも多いです。ひょっとすると、世間一般の中小企業がどのくらいの賞与を社員に払っているか、大半の経営者が知らないのではないでしょうか。70万〜80万?とんでもありません。実際はそこまで多くないのです。

自分の会社の賞与に自信がない経営者の方は、ぜひ以下をお読みになって正しい情報を知り、それを社員の方にも説明してあげてください。

▽動画でも解説しています

日経新聞が行う賞与の実態調査で中小企業は測れない

毎年5月と11月に、日本経済新聞社から賞与の実態調査が出ます。上場企業と日本を代表するその他の優良企業3,600社くらいを対象に実施するアンケート調査の結果です。

同調査では、3,600社のうち、回答が返ってくるのが大体600社から700社ほど。そのうち実際に使えるデータは、560社ないし570社というのが、この調査の常です。

そのような状況で、「平均賞与は70万ないし80万」という数字が出てきます。それを見て多くの人は、「世間では70万も80万も賞与が出ているのに、うちの会社では20万とか30万しか出ていない」、「本当にうちの会社の社長はケチだ」などと嘆息するわけです。

また社長さん自身も、そのような数字を見ると「自分の会社は少ないんじゃないか」と思ってしまうケースが多々あります。

上場企業のうち「自信のある企業だけ」が回答している

しかし、情報は正しく分析しなければなりません。日本経済新聞の調査では、3,600社のうち2割程度しか返ってこないわけです。このことから「良い会社しか回答を出していない」と推測できます。悪い会社はおそらく回答を出しません。

つまり回答を出した2割の企業、賞与に自信のある優良企業の平均が、70万〜80万の賞与ということです。

平均年齢や勤続年数も中小企業の実態と合わない

加えて、調査対象は平均年齢が42歳〜44歳、勤続年数は11年〜13年という数字が出ています。それだけ平均年齢が高くて勤続年数も長くて、なおかつ上場企業や優良企業のたった2割の平均が70万〜80万。このような現実をまずは知らなければなりません。

【実態はどうか】古田土会計の場合

それでは我々中小企業の数字はどうなのか。私たち古田土会計は、自分たちのことを調べてみました。

その結果、入社して1年以上の社員の平均年齢は、男性が36歳、女性が30歳でした。また勤続年数は、男性6.93年、女性は5.17年、平均して6.37年でした。つまり日経新聞の調査が対象にする上場企業より、平均年齢は7、8歳低く、勤続年数も約半分なのです。

そのような状況の中、私どもの場合は、男性の平均年収が648万2,000円、女性が470万円、平均が604万円でした。

しかも、日経平均の調査と比較すると、平均勤続年数ではあと5、6年余裕があります。5、6年あれば、600万円の平均年収は、700万円近くになるでしょう。とくに男性の場合は、700万円を超えると思います。

経営者は社員に正しい説明をしてあげるべき

要するに日経平均の調査と我々中小企業の実態では、平均年齢も平均勤続年数もまるで違うのです。この違いを加味して自分の会社を説明しないと、社員には本当のところがわかりません。中小企業の社長には、そうした説明をきちんとする責任があると私は思います。

なぜなら、社員たちは「うちの賞与は低い」「うちの会社はダメだ」と悲観しがちですが、実際にはそれほどネガティブな状況ではないかもしれないからです。本当は世間並み以上の賞与が出ているのに、そのことを社員が知らないとすれば、社員にとっても社長にとっても気の毒なことだといえます。

本当のところを知り、「中小企業にしては結構賞与が出ているほうだ」「うちの会社は意外に優良企業だ」と思えれば、社員はもっと前向きに働けるかもしれません。社長だって、もっと胸を張って経営ができるでしょう。

【リアルなデータ】中小企業の平均年収・平均賞与

さて、国税庁の資料では、100人以上の会社における平均年収が年齢別・男女別に出ています。

例えば、30歳〜34歳の給料は、男性が442万4,000円、女性が320万円です。ここから読み解くと、男性の場合、給料は大体33万円くらいになります。年間で396万円、そこにボーナスが2ヶ月分ほど付いて440〜450万円くらいになるわけです。

月給は「年齢万円」という法則【30歳で30万円】

ひとつの目安として、月給は大体年齢に相当するということがいえます。33歳だと月給も33万円といった具合に。

もう一例見ておくと、35歳〜39歳・男性の平均年収は、520万円くらいです。これについてもやはり計算が合います。

月給を40万円とすると年間では480万円。そこに40万×2のボーナスを加えると560万円くらいです。しかし、実際には520万円なので月給40万円だと多いことになり、本当は36、7万だろうという推測が成り立ちます。

つまり35歳〜39歳の平均月収は36、7万で、やはり「年相応」です。それゆえ40歳なら40万となりますが、実際には37、8万が妥当な数字でしょう。女性の場合は、給料が年間310万、ボーナスを含めて平均400万円くらいです。

日本人全体の男女平均年収・平均賞与

また日経新聞のデータでは、日本人全体の平均年収が436万4,000円になっています。これは国税庁の資料とほぼ同じです。

年収430万円だと、月給30万で年間360万、そこにボーナスが30万×2加わって420万。もしくは35万×2加わって430万。大体このくらいのイメージでしょう。

つまり40歳くらいの全国的な男女平均を見ると、月給は30万ないし31万円くらい。そこにボーナスが1ヶ月+1ヶ月分くらい付くのが世間の平均なのです。

以上より、経営者の方は「ボーナスを基本月給の1ヵ月分くらい払っていれば世間相場並み」と考えて差し支えありません。

古田土会計による中小企業限定の独自調査

また私たち古田土会計では、5月と11月にお客様の賞与の実態調査を実施しています。年末調整などを引き受けている関係で正確な情報が入ってくるため、こうした調査を行えるわけです。

2020年4年に実施した夏の賞与の実態調査では、757社を調べました。蛇足ですが、会社の数では日経新聞の調査を上回っているのです。もちろん規模は全然違いますが。

賞与を払えない中小企業のそれなりにある

さて、同調査では、757社の約2割にあたる148社は、「賞与支給基準はあるが賞与がない」、要するに「払いたくても払えない」という会社でした。

私たちのお客様には、比較的良い会社が多いのですが、それでも実際に賞与を払えている会社は8割です。

中小企業の賞与は「月給の0.8〜0.9ヶ月分」

その8割、609社を見ると、平均社員数が36人。そして夏の賞与の金額は23万7,000円ほどです。その前の冬は、26万6,000円ほどでした。

つまり平均月給を30万円とすると、「夏の賞与は月給の0.8ヶ月、冬は0.9ヶ月くらい」が相場というわけです。これが36人くらいの規模の中小企業における、本当の平均賞与だといえます。しかも払っている会社だけを見た場合であり、払っていない会社も加味すると、数字はもっと下がるでしょう。

以上より、社員の平均月給の1ヵ月分くらいの賞与を払っている中小企業があれば、その会社は世間相場並みか世間相場よりちょっと良いといえます。このようなリアルな情報を経営者が知り、社員にも知らせないといけません。経営者がきちんと社員に説明していないので、社員は「賞与が少ない」と思ってしまうのです。

また十分に勉強したり、資料を手に入れたりしないので、「うちの賞与は世間より低いんじゃないか」と、経営者自身も勘違いをしてしまいます。

ちなみに我々の資料は確実に正しいです。日経新聞のように3,600社のうち20%の回答ではなく、うちは100%で結果を出しています。データを提供するかしないか、お客様の意見は聞いていません。名前出さないので、良い会社もそうでない会社もすべてを含めて算出しています。

賞与は業種によっても異なる

加えて、業種ごとの平均賞与も出しています。それを見ると、運送業や美容業の賞与は、比較的低いです。

やはりボーナスも、業種ごとに違いが出ます。業種ごとの特徴についても、経営者は把握しておかなければなりません。

例えば、運送業などは、基本的に人手不足なので月給は高めです。その代わり、ボーナスはあまり出ません。

そのため、運送業の「月給40万円」といった求人を見て、「そんなにもらえるか」と食いつく人も多いかもしれませんが、ボーナスが出ないので年棒では平均的です。

月給30万円でも、ボーナスが2ヶ月×2くらいあれば、月給40万円と変わりません。これが現実の数字なのです。社員の立場からすれば、月給だけに惑わされることなく、年俸にしてどのくらいかを見ることが大切だといえます。

まとめ:「月給1ヶ月分」の賞与を出せるなら自信を持つべき

中小企業の実質的な平均は「月給の0.8〜0.9ヶ月分」。この事実を経営者の方には、ぜひ知っておいていただきたい。知ることで少し自信がつく経営者の方も多いと思うからです。

「うちは1ヵ月分出しているので、世間的に見ればちょっといいのかな」、「1割くらい世間相場より高いのだな」などと思えれば、経営に臨む気持ちも変わってくるでしょう。

また社員からも、「うちくらいの規模だと、普通は月給の0.8〜0.9ヶ月だけど、1ヶ月分くれるのだから社長は頑張っているな」などと思われるかもしれません。

経営において、世間を知ることはとても大事です。正しい情報を把握し、そのうえで自分の会社を考えなければなりません。日経新聞のような一部の情報、それも厳選された大企業の情報をだけを見て、「自分の会社はあーだこうだ」と嘆くのは、まったくの勘違いなのです。

中小企業の正しい賞与の実態を把握するためにも、ぜひこちらの資料をご活用ください。

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