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【社員の◯倍が上限】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い②

【社員の◯倍が上限】社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い②

「社長の給料は、社員の給料の何倍を限度とすべきなのか」
「給料を抑えることのメリットはどのような点にあるのか」

上記の内容に少しでも興味をお持ちの方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。今回は同著の181ページから182ページまでを取り上げます。

テーマは、前回に引き続き「社長の給料はいくら高くてもいいという勘違い」です。前回は主に以下のようなことをお伝えしました。

前回のおさらい:
・中小企業1,314社の社長は平均年俸「1,021万円」
・月給100万以上の社長は年1,000以上の利益を出している
・社長の給料は「利益」と「社員の給料とのバランス」で決めるべき

上記を踏まえて今回は、社長の給料は「社員の給料の何倍くらいが妥当か」や、「社長は稼いだお金をどう使うべきなのか」などを解説します。ぜひ参考にしてください。

▽動画でも解説しています

優良な中小企業は「社員の給料が高い」

私は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査員ですが、同賞には重要な審査基準が二つあります。

一つは「利益がしっかり出ていること」。赤字が続いている会社は審査に通しません。

そしてもう一つが、「社員の給料が最低でも世間相場であること」。できれば世間相場よりも10%くらい高いのが望ましいです。この2点が「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査基準になっています。

そのため、審査にあたっては社員の給料も調査します。

社長の給料は「社員の初任給の5倍」?

同賞で審査員長も務める経営学者の坂本光司先生は、ご自身の著書の中で「社員の初任給の5倍が経営者の報酬の限度だ」と言っています。これは私の意見とは少し違います。

新入社員の年俸は、大体300万円くらいです。400万円以上払っている会社はないでしょう。

仮に400万円あるとしても、その5倍は2,000万円にしかなりません。300万円だったら1,500万円。これらが社長の年俸の限度だとするのは、いささか厳しいのではないでしょうか。

「社員の平均給料の5倍」を限度にするのが良い

私は、利益が十分に出ているなら、社長はもう少しもらっても良いと思うんですね。「社員の平均給料の5倍を限度とすべき」と私は考えています。

我が社では、正社員の平均年俸が600万円です。そのため、役員である私の給料は、最高でも3,000万円だと前々から思っています。

ちなみに現在は、月給200万円で賞与が年間300万円なので、年俸にして2,700万円もらっています。昔は賞与をもらっていなかったので、2,400万円でした。

私は、これまでにやった自分の役員報酬の設定は正しかったと思っています。坂本先生と同じくやはり「社員の5倍」が妥当だと考えます。

しかし、ベースは新入社員の給料ではなく、社員の平均給料です。賞与も含めて社員平均の5倍。これが最もわかりしやすい設定ではないでしょうか。

そのように定めておけば、経営者が自分の給料を上げようとしたら社員の平均給料も上がるわけなので、社長にとっても社員にとっても良い決め方だと思います。

経営者の皆さん、これからの自分の報酬は「正社員の平均給与の5倍」。これを基準に決定してはいかがでしょうか。

もう少しもらいたいなら「男性社員の給料」を基準に

より多くもらおうとするならば、「男性の平均給料の5倍」にしても良いかもしれません。

ちなみに我が社の平均給料は、男性が648万円、女性が470万円です。男女平均だと600万円なので、男性の平均だけを基準にすれば、もう少し私の給料は上がります。

しかし、それだと女性社員と比べたときに、私は給料をもらいすぎているとも言えるので、やはり「男女平均の5倍」と決めておくほうが健全なのではないか思います。

「できるだけ多く社員に分配する」という発想を持つべき

当社のお客様を見ていて思うのが、一般論として、中小企業の社長は給料をもらいすぎているということです。社員の平均給料の5倍どころか、7倍、8倍取っている経営者の方が結構います。

社員の給料に対して7倍以上というのは、取りすぎではないでしょうか。もっと社員に分配するべきなのではないかと思います。

社長の場合は、年俸のほかにも家賃収入や配当などでお金が入ってくるケースが多いです。それに対して社員には、400万円〜500万円の年俸だけしかないわけなので、社長と比べて生活は大変でしょう。

そのため、自分の取り分を少し抑えてでも、社員の方にできるだけ多くお金を回してあげるという発想が、経営者には必要です。

経営者は内部留保や貯金を重要視すべき【無駄遣いは厳禁】

また経営者の方には、もしものときに備えてお金を貯めていただきたい。社員に対して4〜5倍の給料を受け取ったら、そのうちの半分、少なくとも3分の1は、内部留保することをおすすめします。

例えば、年俸が2,400万円であれば、住民税や所得税が引かれるとしても、毎年700万〜800万円は貯められるはずです。そうすれば、今回のコロナのように、不測の事態で赤字になったとしても、銀行からお金を借りず、社長自らがお金を投入して急場をしのげます。

毎年コツコツ貯めていけば、10年も経てば十分な資金が作れます。20年くらい続ければ、1億円以上の資金を社長個人で持つこともできるわけです。

【実体験】39年目の私が安心できるようになるまで

経営者には、資金繰りに苦労している方が多いと思います。

私も経営者として39年以上になりますが、賞与をもらい始めたのは、30年が経ってからでした。それまでは資金難になるのが怖くて、賞与をもらう気にはとてもなれませんでした。

月給もずっと200万円です。その前は100万円台でした。これもやはり怖くてしかたなかったからです。

いつ会社は倒産するかわからないし、損害賠償で1億、2億請求されるかもしれません。また社員が大量に退職したり、業務停止になったりする可能性もあるわけです。

そのような事態になったら、会社の資金などあっという間になくなってしまいます。経営者はそれでも会社を続け、社員にきちんと給料を払わなくてはいけません。

以上を踏まえると、やはり経営者は十分に内部留保をしておかないといけないわけです。私の場合は、自分の給料の半分くらいを、ずっとコツコツと貯め続けていきました。

50歳までマイホームは我慢し、賃貸暮らし

住む場所も、少なくとも20年間は、事務所の近くの賃貸マンションでした。家賃は12、3万。そこ50歳まで住んでいました。家賃がそれほど高くないので、お金を貯めることができました。

自分で土地を買って建物を建てる、それに何千万円を投資するという度胸は私にはなかったです。50を過ぎてようやく、女房の実家に私が入って家を建て替えることになりました。

それも茨城で建設会社をやっている父親に建ててもらいました。費用は3,000万円くらい。父親の関係ということと、実家の建て替えということで安く済みました。

費用のうち、1,000万円は銀行から借金をしました。お金はそれなりにあったので、2,000万円は自己資金を使って払うことができました。

父親に頼めばもっと安くなったのかもしれませんが、やはり親でもある程度お金を払いたかったのです。またその頃には十分な資金が貯まっていて、会社もきちんと内部留保ができるようになっていたという事情もありました。

60歳を過ぎてようやく自分に賞与を出せるように

賞与をもらってそれなりに安心できるようになったのは、60歳を過ぎてからです。内部留保がしっかりしてきて落ち着くまでに、20年はかかりました。

そこまでの20年間は、不安で仕方がありませんでした。だからそれほど高くない給料の半分は、必ず貯めていったのです。

もちろん会社でも十分な内部留保を確保しました。決して給料を取りすぎず、会社にお金を残しました。その上で、決して多くない給料に対しても、貯金を続けたのです。

経営が軌道に乗り始めた頃は、何があるか分からないですし、絶対倒産させることもできないので、お金を使う気にはなれませんでした。ちょっと経営がうまくいったからといって、自分で豪邸を建てるなんて考えには、とてもならなかったのです。

しかし、うちのお客様を見ていると、少し儲かり始めたところで、月給を200万、300万にして豪邸を建てる方も結構いました。そのうち何人かは今倒産しています。

会社を守るには「臆病な経営」をすることも大切

私たちは会計事務所として倒産した事例もたくさん見てきているので、「こういうことをしてはいけないな」という経営者の特徴は重々知っています。おそらく経営者は、大胆ではなく、臆病なほうが成功しやすいと思います。

できるだけ臆病な経営をすべきです。会社は常に倒産の可能性に晒されています。万が一何かあったとき、会社と自分を救うのは「お金」です。

そのため、会社で内部留保をし、個人でお金を貯めている、決して無駄遣いはしない。この心がけが大切かなと思います。

いくら儲かっているからと言って、社長が給料を取りすぎたら、会社に内部留保ができません。「社員の5倍」を目安に、「分相応な給料」を意識することが重要です。

【データ】優良な中小企業の社長はいくら給料をもらっているか

資料:「経常利益」と「社長の役員報酬」(H28年8月〜29年7月決算)

経常利益 社長の役員報酬
金額 平均 件数 平均
5億円〜15億円 9億2,200万円 7 4,900万円
2億円〜5億円 2億9,500万円 21 3,300万円
1億円〜2億円 1億4,400万円 43 ※1 2,400万円
7,500万円〜1億円 8,700万円 31 2,200万円
5,000万円〜7,500万円 6,200万円 46 1,700万円
4,000万円〜5,000万円 4,500万円 24 1,300万円
3,000万円〜4,000万円 3,400万円 47 1,500万円
2,000万円〜3,000万円 2,400万円 63 1,500万円
1,000万円〜2,000万円 1,400万円 156 ※2 1,200万円
750万円〜1,000万円 860万円 68 950万円
500万円〜750万円 620万円 97 900万円
250万円〜500万円 360万円 134 680万円
1円〜250万円 93万円 228 ※3 550万円
▲250万円〜0円 ▲92万円 56 450万円
▲500万円〜▲250万円 ▲360万円 52 990万円
▲1,000万円〜▲500万円 ▲700万円 43 850万円
▲2,000万円〜▲1,000万円 ▲1,300万円 28 740万円
▲5,000万円〜▲2,000万円 ▲2,900万円 14 1,100万円
▲3億円〜▲5,000万円 ▲8,500万円 11 1,100万円
1,314
(計)
1,021万円
(平均)
※1:経常利益が1億円以上の会社は71社(5.4%)
※2:経常利益が1,000万円以上の会社は443社(33.7%)
※3:黒字の会社は1,076社(81.4%)

前回と同じ資料を載せますが、経常利益ごとの社長の年俸は、上記の数字が大体平均です。また全体の平均だと、1,021万円という結果が出ています。うちと契約のある比較的優良な中小企業1,314社の社長さんは、平均で1,000万円強の給料を受け取っているということです。

多くの給料をもらっている人から見ると、「それだけしかないのか」という感想かもしれません。しかし、私の今までの経験でも、上記の金額ぐらいが妥当なのではないかと思います。

社長の給料をいくらにするのか迷ったときは、上記の表を1つの指標にするのがおすすめです。

まとめ:社長の給料は社員の5倍が限度、内部留保や貯金も意識

この記事のポイント:
・社長の給料は「正社員の平均給料の5倍」
・内部留保や貯金を増やすことが重要
・臆病な経営が会社を長く存続させる

社長の給料は、「正社員の平均給料の5倍」を基準に決めるのがおすすめです。この基準なら、社長の給料を上げるなら社員の給料も上げる必要があるので、社長にとっても社員にとっても良いといえます。

また社長は、自分の給料を抑えてでも、会社の内部留保や自身の貯金を増やしていかなくてはなりません。いざというときに手元にお金があれば、銀行から借金をすることなく危機を乗り越えられるからです。

会社を長く存続させるには、「いつ倒産するかわからない」「業務停止になるかもしれない」といった不安を常に感じ、「臆病な経営」を続けるほうがうまくいくと私は考えます。

堅実な経営を目指していきたい方は、『健全な会社とは』という資料もぜひご覧ください。

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