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【外部研修は社員が◯◯でないと逆効果】 研修費にお金をかけると会社は儲かるという勘違い②

【外部研修は社員が◯◯でないと逆効果】 研修費にお金をかけると会社は儲かるという勘違い②

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

「社員を外の研修に出しているのに全然効果が出ない。なぜか知りたい」「普通の中小企業にとって、どのような研修のあり方がベストか気になる」などとお考えの方は、ぜひこのコラムをお読みください。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、重要なポイントをかいつまんで解説していきます。今回は、同著の188〜191ページを取り上げます。

テーマは、前回に引き続き「研修費にお金をかけると会社は儲かる」という勘違いです。

前回は、外部研修に社員を出せば会社の業績は上がるという考え方が誤りであること、意識や人間性などの教育はむしろ社内でやるべきことなどを解説しました。今回はそれらをもう少し深掘りし、「外部研修が効果を発揮するための条件」「普通の中小企業が実践すべき研修、それに伴って社長がすべきこと」などをお伝えします。

研修についてお悩みの方をはじめ、会社をもっと良くしたいとお考えの経営者の方々は、ぜひ以下を参考にしてください。

▽動画でも解説しています

3つの社員教育と研修の関係について

社員教育には、大きく分けて以下の3つがあります。

1. 売上に貢献する技術教育
2. 社員のモチベーションを上げて利益に貢献する教育
3. 儲けるためでなく社員の人間性を高めるための教育

1つ目の「売上に貢献する技術教育」。これは絶対に外部の研修機関を使うべきです。一方で2つ目と3つ目については、社内で実施することができます。

しかし、現実には2つ目と3つ目の教育についても、外部の研修機関に頼る中小企業が多いです。例えば、業績が悪いのは営業力が弱いからだと考えて、営業力を強化する研修に社員を送り込む。または、指示通りに社員が動かないのは管理職が仕事をしていないからだと思って、管理職養成の研修に行かせる。特に管理職研修に行かせる社長は結構多いです。

このようなことを続けている社長は大きな勘違いをしています。中小企業で業績が悪いのは、全て社長の責任です。社員には一切責任がありません。

外部の研修を頼るべきなのは技術研修だけ

社外で行うべき社員研修は、「売上に貢献する技術を磨く研修だけ」です。これは絶対必要です。たとえ会社が赤字でも惜しんではいけません。社員の給料が世間より低い場合でもです。

技術やノウハウが遅れると会社は存続しません。そのため、技術教育については、積極的に外部の研修を活用しましょう。

一方でモチベーションや人間性を高める教育は、経営計画書という道具を使って社内で実施することができます。私たち古田土会計では、「朝礼・挨拶・掃除」という3つの文化(訓練)や、毎週の勉強会を行なっています。

研修費よりもまずは社員の給与・賞与を高めよ!

多くの社長が勘違いしているのは、社員のモチベーションを上げる教育をしたり、社内の整理や掃除を徹底したりすれば、会社の業績が上がると思っていることです。しかし、必ずしもそうではありません。

社員教育によって業績を上げるには、大きな前提が1つあります。それは「社員の給料が地域の相場よりも10%くらい高い」ことです。

儲かっていない会社が研修にお金をかけるとどうなるか

儲かっていない会社、社員の給料が世間相場以下だったり、世間相場スレスレだったりという会社があったとします。そのような会社で、社員を1人当たり50万円の研修に行かせたらどうなるでしょうか。

研修会社のコンサルタントはこのように言います。

「みなさん、この研修は50万円もします。そんな大金を投入してまで、みなさんを育ててくれようとする社長に感謝してください。みなさんをここに送り込んだ社長は、本当にすごいです」

このように社長を褒めるわけです。それを聞いて社長はしてやったりで、「研修費をかけているんだから、それだけの効果を出してくれよ」と社員に言います。

しかし、社員の側からすればどうでしょうか。自分たちは相場並みの給料・賞与ももらっていない。それなのに研修費には50万円もかける。

「こんな高い研修費を払うんだったら、なんで自分たちの給料・賞与をもっと上げてくれないんだ」「研修に50万円も払えるのに、どうして10万円ほどしかない賞与を20万円にできないのか」と不満をもらすでしょう。このように感じるのが社員なのです。

ひどい会社になると、賞与はないのに研修には出す会社もあるわけです。

そうすると社員の心のコップは、もう伏せられてしまいます。伏せたコップにいくら水を注いでも、コップが満たされることは絶対ありません。

外部研修の効果は「社員が裕福かどうか」で決まる

これが儲かっている会社、相場よりも10%も20%も高い給料を払っている会社であれば、話は違います。

社員の心のコップが上を向いています。そのため、「これだけ給料を払ってくれるうえに、高い研修費も出してくれる社長さんは本当にすごい」と社員も思うはずです。「わざわざ仕事の時間を削ってまで、こういう研修に出してくれる社長はほんとにありがたい」と感じるでしょう。

しかし、十分な給料・賞与を払っていない会社、世間並みの給料しか払っていない会社の場合、そううまくはいきません。社員は「研修費はいいから、もっと給料・賞与を出してくれ。もっと自分たちは裕福になりたい、豊かになりたいんだ」と思うはずです。これでは研修に十分な効果は期待できません。

中小企業では「社長が社員に教える」が基本

社員教育、特にモチベーションや意識、人間性に関する教育は、外部ではなく社内で行うことをおすすめします。

たくさん儲けていて、社員にも相場をはるかに超える給与・賞与を支払っているならば、話は別です。その場合は、外部の研修にお金を使っても社員から喜ばれ、業績はより一層良くなる可能性があります。

一方、普通の中小企業の場合、相場並みかそれ以下の給料・賞与を払えない会社の場合は、研修費にそこまでお金をかけるべきではありません。研修機関に払うお金があるならば、まずは社員の給与・賞与を上げてやるべきです。

技術研修については社員を外に出して構いません。しかし、モチベーション研修や管理職の研修は、社長自身が行うのです。

社長1人なら外部の研修を利用しても良い

社長が自分で社員教育をするといっても、何を教えて良いかわからない。そのような場合、社長が外に出て勉強するのは良いと思います。

社長は1人ですから、1人分しか研修費はかかりません。社長が研修で教わったことを社員に伝えれば、研修費の節約になります。それだと社員からも不満は出ないでしょう。

これに対し、管理職は何人もいるわけです。さらに社員研修となると、何十人単位と研修費がかかります。社長1人だと50万円のところ、社員30人が受けるとなると1500万円も必要です。普通の中小企業にとって、これはベストなお金の使い方だとは言えないでしょう。

よって、社員教育に関して社長がやるべきことは、一生懸命に勉強することです。自分で勉強するなり、外の研修に行って教えてもらうなりして、考え方やノウハウを身に付けます。そして、社内で社長が講師となり、勉強したことを社員に教えるのです。

古田土会計の研修費は「社員280人に対し300万円強」

社長が勉強し、社員に教える。私たち古田土会計では、経営計画書という道具も活用しながら、それを実践しています。

そのため、社員は280人いますが、研修費は300〜400万円くらいしかかかっていません。外部の研修に出すのは、本当に必要な場合だけです。それも技術研修に限ります。

経営計画書を道具として毎週勉強会を実施

私たちは、外部研修の代わりに、経営計画書を用いた勉強会を毎週月曜日に実施しています。講師は私です。

そのため、日曜日になると私は一生懸命考えます。月曜日の勉強会のために何を話そうか思案するため、日曜日の午前中3時間は必ず勉強に充てています。そこで翌日の勉強会のための題材を探したり、どういったことを計画書で説明したら社員に伝わるかを考えたりします。

このように社長自らが勉強し、社員の人づくりをしていくことが正しいあり方だと私は考えます。外部に頼るのは、自分では教えられない技術教育だけです。何でもかんでも外に出せば良いというのではありません。ここを勘違いしないでいただきたいのです。

古田土会計の人づくり【朝礼・挨拶・掃除】

私たちは「朝礼・挨拶・掃除」という3つの文化を通じて人づくりをしようと思っています。私の経験上、これが一番効果的です。

「朝礼・挨拶・掃除」を実践するため、私は毎朝一番に来て、全社員を迎えています。トップが最初に会社に来て社員を迎え、社員と一緒に一生懸命働く。そうやって社員にトップの後ろ姿を見せるのが、一番の社員教育です。

その上で、経営者はしっかりした経営をして十分に儲ける。儲けたものを社員に分配する。給与・賞与が上がれば、社員はますますトップを尊敬してくれるようになり、会社はまとまって良い会社ができる。つまりはこういうことです。

以上のような教育・経営のあり方が、中小企業には一番向いていると思います。できるだけ経費は抑え、そのかわり内部でしっかり研修を行いましょう。そうすれば、社員教育もできて社員の給与・賞与ももっと上げられます。多くの中小企業でこれが実践・実現されることを願っています。

まとめ:研修費にお金はかけない!【社長自らが講師となるべし】

普通の中小企業は、研修費にあまりお金をかけるべきではありません。研修費をたくさん出すくらいなら、社員の給与・賞与をもっと上げましょう。そうでないと社員から不満が出て、研修をしても十分な効果は見込めません。

おすすめなのは、社長が一生懸命勉強し、自らが講師となって社内で社員を育てることです。そうすれば、研修費を抑えつつ人づくりができ、自分自身も成長できます。

ちなみに古田土会計では、「朝礼・挨拶・掃除」という3つの文化や、毎週の勉強会を実施しています。これを機会に、ぜひ御社でもお試しください。

ちなみに、こういったルールは経営計画書という形で明文化しておくことをおすすめします。

いきなり完璧な経営計画書を作るのは大変かと思いますので、まずは最低限の要素を揃えた『マネるだけ、埋めるだけで作れる経営計画書 作成シート(ダイジェスト版)』をご活用いただくことをおすすめします。

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