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【肝心なのは社長の◯◯と◯◯】社員のやる気は人事・給与制度で決まるという勘違い②

【肝心なのは社長の◯◯と◯◯】社員のやる気は人事・給与制度で決まるという勘違い②

「社長が何をすれば、社員のやる気は上がるのか」
「そもそも業績を上げるために社員のやる気は必要なのか」

上記の内容に少しでも興味のある方は、ぜひこのコラムをお読みください。

こんにちは。古田土会計・代表社員の古田圡満です。

本コラムでは、中小企業の社長の皆さまが勘違いしやすい事例をまとめた書籍『熱血会計士が教える 会社を潰す社長の財務!勘違い』から、ポイントをかいつまんで解説していきます。今回は同著の186ページから187ページまでを取り上げます。

テーマは、前回に引き続き「社員のやる気は人事・給与制度で決まるという勘違い」です。前回は主に以下のようなことをお伝えしました。

前回のおさらい:

・社員のやる気が高まるのはお客様から喜ばれたとき
・業績に関係があるのはむしろ「商品やサービス、ビジネスモデル」

今回は、社員が高いモチベーションを持って働くために、社長はどのように行動すべきなのか、どのようなことを理解しておかなくてはならないのかを解説します。

▽動画でも解説しています

社員のやる気を大きく左右する「社長の姿」

社員のやる気は人事・給与制度で決まる。

「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの著者でもある元法政大学教授の坂本光司先生は、この考え方を否定しています。つまり人事制度・給与制度で社員のモチベーションが決まらないということです。

坂本先生「社員のやる気はリーダーの人格で決まる」

坂本先生の本には、次のようなことが書かれています。

“私は、社員のモチベーションが高い企業と低い企業を3年間比較研究したことがある。そこで分かったことは、人事制度や給与制度はほとんどモチベーションには影響与えないということ。結論は「リーダーの人格」。経営者や上司への信頼が薄れたときに、最も社員のモチベーションが低下することが判明した。

どのような制度を作るかではなく、「どのようなリーダーがいるか」が大事であって、経営者が自分自身を変えずに自分以外のものをいくら変えても会社は良くならない。”

これが結論です。

船井幸雄氏「中小企業は99%社長で決まる」

別の言葉に言い換えれば、船井総研の創業者・船井幸雄さんは、「中小企業は99%社長で決まる」と言っています。社長のモチベーションやリーダーシップ、尊敬できる人間かどうかで、社員のモチベーションが決定されるということです。

中小企業におけるリーダーは、社長です。社長が人格的に優れていれば、社員のモチベーションも上がります。とくに中小企業では、社長の顔が直接見えるので、なおさら社長の人間性や人格、またはどのように社員を信頼し、大切にしているかによって、社員のモチベーションが変わるといえます。

ドラッカー「社長が社員の模範となることが重要」

同じようなことを、ドラッカーも言っています。ドラッカーは、「人を動かすのは何か」について、人はアメとムチによって動くのではないと主張します。短期的には動くかもしれないが、長期的にモチベーションを持続させるためにアメとムチは有効ではないと。それに代わる内発的な動機付けとして、「尊敬・信頼・貢献」が大事だとするのがドラッカーの意見です。

彼の著書『経営者の条件』の前置きには、「マネジメントは模範になることによって行うものである」という言葉が登場します。マネジメントは人をコントロールする方法ではなく、自らが率先垂範することであるとの意味です。これは上述した坂本先生の調査結果とぴったり一致します。

ドラッカーの言っていることも、坂本先生の調査結果も結論は全く同じです。肝心なのは「社長の考え方や行動」。

そのため、日経新聞に出てくるような、「賃金規程や給与規程を作ると社員のモチベーションが上がって儲かる」といった話はあまり信用しないほうが良いと思います。これが我々の体験から出てきた結論です。

大事なのは、経営理念や使命感を明確にし、「我々は一体何のためにこの仕事をしているのか」「この仕事がどのように社会に貢献するのか」といった事柄について、社員に誇りとプライドを持ってもらうことです。仕事の社会的な意義を実感すれば、仕事のやりがいも上がります。

そのためには、トップが率先的に行動し、社員の模範として彼らにより良い後ろ姿を見せなければなりません。

中小企業の社長が社員について理解すべきこと

また中小企業の社長が、「人事制度や給与制度を変えれば、社員のモチベーションが上がる」と思い込むのは、異なる観点から見ても良くないといえます。

社員は社長を見抜いています。社員は、「社長が自分たちのことを大切にしてくれているのか、それとも業績のための道具としか見てないのか」をしっかり感じ取っています。気づいていないのは社長だけです。

社員を家族と捉えることがチーム力を高める

社長が「数字が人格」といった考えで、ノルマによる業績を中心に社員を評価し、成果によって給与に大差をつける賃金制度は、果たして日本の中小企業の社員に受け入れられるのでしょうか。

中小企業は1つの家族であり、「社長が父親・母親となり、社員とその家族を守るような経営」こそ、社員が求めている在り方ではないでしょうか。

社長は人格者として「人を大切にする経営を」

中小企業にはチーム力が必要であり、それは家族的なぬくもりから生まれるものです。このことを踏まえると、冷たい経営がうまくいくはずがありません。坂本先生の調査にあるように、結論は「リーダーの人格」です。

リーダーとは、中小企業では社長のことです。社長の人格が優れていれば、会社員のモチベーションは高くなります。

社長の人格が高い経営とは、「社員とその家族を大切にする経営」、または「仕入れ先や外注先など、会社を取り巻く全ての人たちを幸せにする経営」だと、坂本先生は言っておられます。

成果主義の限界「2・6・2の法則」

また中小企業に成果主義の人事制度・給与制度は向きません。中小企業では、成果によって給料に大きな差をつけるべきではないと思っています。

会社には、能力の高い人も低い人もいます。能力の低い人の給料を下げたり辞めさせたりしても、結局「働きアリの法則;2・6・2の法則」により、また下2割の人が出てきてしまいます。

会社には、さまざまな能力の人がいるのが自然です。この自然な状態は、いかなるときも保たれるようになっています。それが「2・6・2の法則」です。

どの会社にも「できない社員」はいる

上2割の優秀な社員は、どこの会社でもやはりしっかりと貢献してくれます。その上の2割がしっかりしていれば、次の6割の人はそれについてくるのが普通です。

上2割が十分に頑張り、次の6割がそれなりに貢献してくれれば、会社の業績は良くなります。あくまで社長の戦略が正しいという前提ですが。

しかし、下の1割から2割の人は、常に足を引っ張ったり、いろいろな問題を起こしたりします。こうした人はどの会社にも必ずいるのです。

優良な会社だと1割もいないかもしれませんが、どれだけ素晴らしい会社でも3〜5%は「できない社員」がいます。

「できない社員」を会社に置く重大な意義

「できる社員」が100%を占めるなんてことはありえないことです。仮にできない人たちを切っていったとしても、残りの中からまたそういう人が生まれます。これが「2・6・2の法則」です。

また私の持論として、優秀な人は常に優秀ですが、普通の人が普通に働けるのは、「自分より仕事ができていない人がいる」からなのではないかと思います。普通の人は、できない人と自分を比較するから、頑張れるのではないでしょうか。

以上より、会社には仕事のできる人と普通の人だけでなく、仕事ができない人も必要なのです。

社長と価値観が一致していることも大切

また価値観が一致していることも大変重要です。いくら仕事ができても、価値観、仕事に対する考え方が違っている人は、会社にいてもらうとかえって迷惑になります。

一方で不器用で仕事ができなくても、価値観さえ一致していれば、会社への貢献が期待できます。上述の通り、そのようなできない人たちがいるおかげで、普通の人が頑張れるということもあるわけです。

会社の売上・利益は「社長の戦略」次第

それでは、できない人たちが普通に働いてくれれば、もっと売上や利益が上がるかというと、そうではありません。

会社の売上・利益は、社長の戦略で決まります。社長の戦略さえ正しければ、管理職と社員が普通に働いてくれるだけで十分な利益を出すことが可能です。

一方、社長の戦略が間違っていると、優秀な社員がどれだけ働いても利益が出ません。

「弱い人たちと一緒に仕事をする」ことが会社をよくする

社員全員が「この会社で働いて良かった」「居心地が良い」などと思えることが大切です。言い換えれば、「弱い人たちと一緒に仕事をすること」が、会社全体の社風を良くすることにつながります。

仕事ができない人、まだ仕事に慣れていない人、障がいのある人など、会社には色々な人がいて良いのです。仕事ができる人、できない人、障がいのある人、家庭の事情で満足に働けない人。そのような人をすべて含めて会社なのです。

会社は弱い立場の人を見捨てるべきではありません。そういう人がいるからこそ、かえって多くの人が安心して働ける会社になるのです。

社長さえ優秀なら「社員は普通で良い」

結論をいうと、中小企業の業績は、社長の戦略が正しければ良くなります。社員のモチベーションについてあれこれ言われることが多いですが、社員が業績に及ぼす影響はそれほど多くありません。

我々が中小企業を見ていて、儲かっている会社の社長は、ほとんどが自ら新しい商品やサービスを手掛けたり、市場を切り開いたりしています。その結果、多くの儲けを得ているのです。

戦略を練ることに長けた社長がいて、そのうえで一部の優秀な社員とそれなりの社員が普通に働き、成果を上げていく。これが儲かっている中小企業の姿です。

社員全員に最高を求める必要はありません。中小企業は社長で決まるのです。

社長が優秀なら、社員は普通でも構いません。社長が事業を牽引し、社員を守るという心根が大事です。

給与制度では「トップがもらいすぎない」ことを意識

給与制度については、「社長が社員を家族と思い、全社員とその家族が幸せになるような」制度にしてはどうでしょうか。

例えば、私が実践したのは、「トップのみが高額な報酬を取らない」ということです。私の役員報酬は、全社員に公開されています。

また公私混同をしないよう、総勘定元帳を社員の休憩室に置き、毎月貸借対照表と損益計算書を全社員に開示しています。

「社長だけが得している」と社員に思われないことが大事です。社員に尊敬されるような社長になり、社員を幸せにすることこそ、社長の一番の仕事だといえます。

まとめ:肝心なのは社長の人格や戦略【社員のやる気は普通で良い】

社員のモチベーションを上げようとするのは大切かもしれませんが、多くを求めすぎてはいけません。

社長が優秀でしっかりしていれば、社員の能力ややる気は普通でも、業績は上がっていきます。とくに中小企業の場合、普通の社員が多いので、社長が頑張ることのほうが大事だといえます。

電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、すべて社長の戦略の結果です。社員ではなく、社長自身に目を向けて、いろいろな改善をしていったほうが、かえってうまくいくでしょう。

そして、そんな社長の想いや考えは口で伝えるだけでは上手く伝わりません。

ぜひ、ご自身の考えを経営計画書として文字に落とし込み、社員さんにも共有してあげてください。

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