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「貸借対照表」は社長一人で作る。「損益計算書」は全社員で作り上げる。【社長の仕事その4】

「貸借対照表」は社長一人で作る。「損益計算書」は全社員で作り上げる。【社長の仕事その4】

「損益計算書」は全社員で作り上げる。
「貸借対照表」は社長一人で作る。

せっかく稼いだ利益を会社の成長のために有効活用するのか、それとも個人的な趣味嗜好や利殖のために使うのか。また利益額が潤沢でなくとも社員教育や研究開発にお金をかけるのか。

以上のような社長のお金の使い方は、すべて決算書に表れます。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.44

今回は社長が貸借対照表を理解することの重要性について、事例や方法論も含めて解説します。正しいお金の使い方、財務改善の仕方などを知りたい経営者の方はぜひ参考にしてください。

▼動画でも解説しています。

貸借対照表は社長一人で作る

売上を増やし経費を削減するのは社員、手形を振り出すのは社長

社長にまず理解していただきたいことがあります。それは「損益計算書は全社員で作り上げるもの。貸借対照表は社長一人で作るもの」ということです。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.45

損益計算書は全社員で作り上げる

損益計算書を社長一人で作り上げることはできません。売上を上げるのは全社員です。また仕入れも社員が行います。

売上から仕入れの経費を差し引いた粗利益を稼ぐのも全社員の仕事です。人件費や販促費などの経費もかけながら全社員で売上を上げ、粗利益を稼ぐのが経営です。

以上より、損益計算書(P/L)は全社員の頑張りで作られるものだといえます。

会社は「お金」で倒産する

さて、会社が倒産する原因は「お金」です。お金の使い方を間違えたことが災いし、会社はつぶれます。

お金の使い方を決めるのは社長です。つまり会社を生かすも殺すも社長の行動次第ということになります。

貸借対照表は「社長の判断の結果」を示す

貸借対照表では、在庫の扱い方、固定資産の購入や売却、支払手形の発行や借入金など、全てが社長の経営判断の結果として表されます。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.45

中小企業の経営において、貸借対照表は「社長の姿勢」を示します。手形の発行や借入をはじめ、さまざまな選択が社長の判断として表れるのが貸借対照表です。

会社は「固定資産」でおかしくなる

貸借対照表では商売上の売り買いに注目しがちですが、実は会社がおかしくなるのは「固定資産」に原因があることのほうが多いです。貸借対照表の固定資産の部を見れば、社長がどのようなお金の使い方をしているかがわかります。

返済条件を決めるのも社長

例えば、「せっかく会社を作ったのだから自社ビルが欲しい」と考えた社長がいたとしましょう。会社に十分な内部留保がなかった場合、その土地・建物は大半を借金で購入しなければなりません。借入をすれば当然返済する必要があります。

その借金の返済条件(返済期間)を決めるのも社長です。返済期間が10〜15年のように短いと、たちまち資金繰りに困って会社が倒産してしまう恐れがあります。

一社依存を決めるのも社長

また別の事例ですが、大手の会社と取引をしていた某会社がありました。その会社の問題は「一社依存型のビジネスモデル」で経営していたことでした。その一社依存型も、社長が決めたことです。

その会社は取引先の「御社を頼りにしているからこれから新工場を作って、どんどん増産してほしい」という言葉を真に受けました。取引先を信用し、社長の決断で新工場を作ったのです。しかし、新工場ができた途端、取引先から「実は御社と取引ができなくなりました」という通告を受けます。

その会社は一社依存型だったので、メインの取引先から仕事を打ち切られ、倒産しました。倒産後、仕事を断った取引先は、銀行と話をつけ、持ち主がいなくなった新工場を安く買い取ったのです。

この事例は、社長の認識の甘さと、特定の取引先に依存するビジネスモデルを決断したことが招いた結果です。

中小企業の「3つの偏り」

昔から中小企業には「3つの偏り」があると言われています。「商品の偏り」「取引先の偏り」「業界の偏り」の3つです。そうした偏りがあると、会社は本当にたやすくつぶれてしまいます。

重要なことは、商品を決めるのも、一社依存を決断するのも、業界を選択するのも、全て社長の判断だということです。社員の責任で会社がつぶれることはありません。会社は社長の判断でつぶれます。

貸借対照表で社長のお金の使い方がわかる

社長の経営の結果は全て貸借対照表に表れます。貸借対照表の左側、とくに「固定資産」を見れば、社長がどのように考え、経営したのかを読み取ることが可能です。

例えば、左側に投資有価証券が多かったり、ゴルフ会員権やリゾート会員権があったりすると「本業以外のところにこれほどお金を使っているのか」と考えられます。内部蓄積が十分にある会社ならまだしも、借金が多いと「お金の使い方をわかっていないのではないか」「危ういのではないか」と推測できます。

財務体質が良くなるまでは我慢が肝心

不動産など保有しているとすれば、お金を使うのが好きな社長だと推測できます。

反対に、長期にわたって堅実な経営をしていれば、そのことも貸借対照表に表れます。堅実な経営とは、きちんと利益を生み出し続けることです。十分な利益を出し続けていれば、会社にお金が蓄積されていきます。

なかには少し利益が出ると、せっかく稼いだお金を会社の成長のために有効活用するのではなく、社長の個人的な趣味・嗜好や利殖のために使ってしまうケースもあります。そうしたことも全て貸借対照表に表れるのです。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.46

高級車を会社の経費で買う社長もいます。しかし、会社経営に高級車は必要ありません。とくに中小企業の経営では、中古の安い車で十分です。

少なくとも財務体質が良くなるまでは、そのような我慢の時期を過ごすことが大切になります。

貸借対照表は経営の歴史

貸借対照表には、社長の会社経営に関する歴史が蓄積されています。社歴10年の会社なら10年分、20年の会社なら20年分の経営の結果が、現在の貸借対照表に明記されています。これはとても重要なことです。

損益計算書は「その時の勢い」で決まるので、社員が一丸となって「会社を良くしよう。売り上げを伸ばし、利益を増やそう」と思えば、ただちに成果を生み出すこともできます。前期は赤字でも、今期はV字回復で大きな利益を計上するといったことも可能なのです。

一方、貸借対照表の改善は一朝一夕では達成できません。10年、20年かけて蓄積した歴史を、わずか1年で大きく改善するなどということは現実的ではないのです。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.47

上記の内容は前向きにも捉えられます。10年、20年かけて自己資本比率を高くし、十分な預金を持っていれば、緊急事態で2、3年赤字になってもびくともしない会社が作れるのです。

以上のような財務のこと、貸借対照表のことを社長がわかっているかどうかで、会社の未来は大きく変わります。

会社は貸借対照表で倒産する

財務体質を強くするとは、貸借対照を良くすることにほかなりません。

このことは中長期的な視点で取り組むべき課題だということを理解しましょう。時間がかかるからこそ、一刻も早く取り組みを始める必要があるのです。

出典:古田土 満「社員100人までの会社の『社長の仕事』」, p.47

会社は損益計算書ではなく貸借対照表で倒産します。社長がバランスシートを読めないと、儲かっていても会社は倒産してしまう恐れがあります。

また貸借対照表は社長一人で作るものです。社長自らがバランスシートを勉強しなければいけません。しかし、現実にはバランスシートの読み方がわからない社長が大半です。

貸借対照表の基本

貸借対照表の目的は、自己資本率を上げて預金を増やすこと。そのためには、キャッシュフロー計算書と一体的に正しく貸借対照表を読むことが大切です。

貸借対照表は一枚ものの資料で、右が「資金の調達」、左が「資金の運用」となっています。調達する資金をいかに自己資金で占めていくか、つまり自己資本比率をいかに上げていくかを検討するのに使います。

また借入金をいかに少なくするかや、左側の科目のうち「現預金」以外をいかに少なくするかも考えるべきです。以上のようなことが、社長のバランスシートに関する仕事になります。

まずは自己資本比率を上げること

自己資本比率が十分に高くなるまで、最低でも50%になるまでは、社長は本業以外にお金を使うことを避けるべきです。高級車やリゾート会員権、投資有価証券などにお金を使うべきではありません。

バランスシートがきちんと読めるようになれば、会社の無駄がなくなり、短期間で財務体質をある程度改善できます。また中長期的には自己資本比率50〜60%も夢ではありません。

目指すは「無借金」

その先には借入金より預金が多い「実質無借金」。さらに先には完全な「無借金」と潤沢な預金。そうした未来をぜひ目指していただきたいです。

そのために社長は貸借対照表を勉強する必要があります。そして社長一人で貸借対照表を作れるようになりましょう。

まとめ:貸借対照表の読み方、お金の使い方を覚えるべき!

社員全員で作り上げる損益計算書に対し、貸借対照表は社長一人で作るものです。そのためにはまず財務の基本や貸借対照表の読み方を勉強する必要があります。

貸借対照表が読めるようになれば、お金の正しい使い方がわかり、財務体質が改善します。財務体質の改善は自己資本比率を高め、将来的には無借金を実現することも可能です。これを機会にぜひ貸借対照表を学び始めましょう。

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