『中小企業の財務の強化書 』 (経営に必要な機能は、財務とマーケッティング(1年)+イノベーション(3年)と人づくり(10年))

「中小企業の財務の強化書」というタイトルの本を出版しました。
日経BP社より去年の12月2日に「中小企業の財務の強化書」というタイトルの本を出版しました。
私にとっては9冊目の本になります。
私と川名税理士との共著です。
この本は、私が日経トップリーダーで毎月連載している高収益体質エクササイズ(令和7年1月号で100回)の記事で掲載したものと、川名が講演したものをまとめたものです。
中小企業の経営の弱点は、財務体質がよくないことです。
P/Lはわかっても、B/SとC/F(キャッシュフロー)はわかっていません。
会社はP/LではなくB/Sで潰れます。
私は前月号で「盤石な財務体質会社とは」で4つの指標を書きました。
(1)1人当たりの純資産が1,000万円以上
(2)自己資本比率が50%以上
(3)1年分の固定費を預金及び金融資産で持つ
(4)総資本利益率(ROA)が10%以上ある。
この4つの指標を全部満たせば盤石な財務体質です。
この指標のチェックは全て毎月古田土式月次決算書でチェックできます。
指標とか分析は決算書からでは遅すぎます。
月次で分析、チェックすることにより対策が打てるのです。
P/Lの高収益型経営の3つの指標も毎月分析、チェックが出来ます。
中小企業で財務を強化するためにはお金を儲け、お金を残すことですが、そのための指標として大事なのが、自己資本比率と総資本利益率(ROA)です。
ROAと似たものにROE(自己資本利益率)があります。
同じ利益率ですがROAは経常利益、ROEは税引後利益です。
ROAは経営の効率性の指標だから経常利益です。
ROEは配当の指標なので税引後利益なのです。
私は中小企業は内部留保が少なく自己資本比率が低いので配当は控えるようにお客様に話をしています。
目安は自己資本比率が30%を超え、f/m比率(損益分岐点比率)が90%以下です。
自己資本比率が高い会社は、過去の経営がよかったことの証です。
しかし、未来を保証するものではありません。
100年以上続く長寿企業は日本に多くありますが、ROAが10%以上の企業は少ないのではないでしょうか。
生き残っているだけで儲かっていない、これから先も生き残り、成長できるかの指標が必要と思い、「社長の成績表(中小企業版)」では、持続性(企業体力指数)を指標の1つにしました。
持続力指数は自己資本比率×ROAで計算されます。
自己資本比率が60%でROAが10%なら、60×10=600で超優良企業です。
盤石な財務体質では、50×10=500としました。
未来に対する指標はROAが大事です。
ROAは、総資本回転率(売上高÷総資産)×売上高経常利益率に分解できます。
経常利益は出し続けなければなりませんが、経営者として自分の判断で改善することができるのが総資産の圧縮です。
現在ROAの目標を10%にして、現在5%で内訳は総資本回転率1回、利益率5%なら、総資産を1/2にすればよいわけです。
中小企業は、まず財務を強固にすること
B/Sの左側を見直し、現預金以外の科目残高を少なくすることです。
一番効果があるのは固定資産の圧縮です。
借金過多や毎月の借金返済額の多いキャッシュフローの苦しい会社は、土地建物をオフバランスにすることにより、借金と借金返済額を大幅に減らせます。
財務を強化する指標は、持続力指数を500以上にすることだと思っています。
中小企業は、まず財務を強固にしてから、攻めの経営でマーケッティング(1年)とイノベーション(3年)で高収益型企業になり、人づくり(10年)をします。
人づくりは10年かかると思ったほうが、人がなかなか育たないと不満を持たなくてすみますから心が救われます。
人づくりの最高の教科書が経営計画書です。
古田圡 満