『売上より利益、利益よりキャッシュ』 (節税より預金による内部留保)
自己資本比率を高め、預金を増やすことが財務
会社経営において経営者が心がけなければならないことは、会社を潰さなく、経営を安定させることですが、経営を安定させるためには財務体質を盤石にすること。
盤石にするとは、内部留保を多くして預金をしっかり持つことです。
内部留保するには、税引後利益を積み上げなければなりません。
税引後利益を多く積み上げるためには、より多くの売上げが必要ですが売上の拡大には2つあります。
利益の増加を伴う売上拡大と利益の増加を伴わない売上拡大です。
前者を成長しているといい、後者を膨張しているといいます。
また成長しているように見えても手許資金が少ない会社があります。
手許資金が多くても借金過多の会社も多くあります。
財務を知らないために、預金さえあれば会社は潰れないと勘違いしている経営者もいます。
財務とは自己資本比率を高め、預金を増やすことです。
財務体質を改善するとは、預金>借入金にして、この差額を毎年多くすることです。
これは長期的なことです、短期的には、大きな設備投資やM&Aにより総資産や借入金の増加により自己資本比率が下がっても問題ありません。
ただ投資やM&Aをする場合には、自社の財務体質が投資等に耐えられるのか知っていないと投資の失敗により会社は潰れます。
大きな投資やM&Aをする場合には、まず自社の財務体質を強固なものとしてからでないと危険です。
30年前の昔とは、法人税等の税率が違う
私達古田土会計グループは、去年1.5億の資金を使ってM&Aをしました。
これから5年間で12億円のシステムへの投資をします。
自己資本比率90%無借金なのでこれからも借金をする投資はしません。
営業キャッシュフローの範囲内で投資をして、フリーキャッシュフローを必ずプラスにして預金を増やし続けます。
無借金なのでフリーキャッシュフローがプラスならば資金は増えます。
資金による内部留保をするためには、節税をやりすぎてはいけません。
30年前の昔とは、法人税等の税率が違うということを知って下さい。
30年位前は、法人税等は50%位でした。
15年位前になると、42~43%でした。
今は30%位です。
以前私は、経常利益目標を設定し、この金額を超えたらオーバー額の33%を社員に決算賞与として分配することを勧めました。
この計算は、例えば1,000万円オーバーしたら、333万円を賞与、残り666万円の50%が税金、その残りの333万円が内部留保です。
社員と税金と内部留保を3分の1ずつ分け合うということをしました。
今は税率が30%なので、賞与40%税金20%内部留保40%です。
税金が下がったことにより、より多くの社員への分配ができるようになり、内部留保も増えました。
過大な節税は大きな損を出す
会社の決算書は、銀行等多くの利害関係者が見ます。
レバレッジリース、過大な保険料、多額の特別減価償却費の計上は、一時的な節税になりますが、あとで節税した額は納税することになります。
レバレッジリースは、自己資本比率を下げ資金が流出します。
多額の特別減価償却費の計上は、次期以降の製造原価や固定費には計上されなくなり、正しい経営判断ができなくなります。
節税のために減価償却費を多く計上しようとすると、やらなくてもよい過大な設備投資と無理な借金により、財務体質の悪化、借金返済の増加によるキャッシュフローの悪化により、黒字でも倒産します。
過大な保険料による節税は、大きな損失になっているということを知って下さい。
例えば全額損金で1億円払っても満期で戻ってくるのは、80%の8千万円とします。
払った年は30%の3千万円が節税できました。
数年後には8千万円が戻って全額益金になりますので2千百万円の税金です。
税金は6百万円少ないのですが、戻ってこなかった2千万円は損失です。
つまり14百万円の損だということです。
役員退職金に備える保険は必要ですが、節税のための保険は大きな損を出していることに気づいて下さい。
今は法人税等の率が30%位です。
節税で資金の流出、借金増加により、自己資本比率を下げるより、税引後利益を増やして、自己資本比率を高め、美しいB/Sを目指して下さい。
古田圡 満