『トップとナンバー2 の違い』(トップになれるナンバー2 とトップにしてはいけないナンバー2)

ナンバー2の条件とは
致知出版社の藤尾社長の話によると「成長している会社には共通点がある。それは社風がとてもよいこと。その社風はトップが創っているのではなく、実はナンバー2が創っているということです。トップは経営方針を社員に発表しますが、方針が社内に浸透するかどうかはナンバー2次第だということ。」です。
経営方針は社内に強力な推進者がいないと、いくら経営者が繰り返し強い想いを込めて話をしても社内に浸透しません。
古田土会計グループは吉田専務というすぐれたナンバー2がいたからここまで成長できました。
ナンバー2の条件として第1に辞めないということ、独立しないこと。
優秀であるより、辞めないことのほうがはるかに重要です。
イエスマンを周りに集めるということではありません。
信頼できる誠実な人間をナンバー2、幹部にするということです。
会社の理念・方針を忠実に不器用に実行する人が、社長から見て信頼できる人財です。
経営理念より拡大を優先させるようになると危険
京セラの創業者の稲盛和夫さんによれば、中途入社の優秀な社員は目先がきくから何か会社に問題があると、途中で辞めていったそうです。(中小企業のとき)
私はトップの条件として
(1)「経営理念を浸透」させるために先頭になって働き、社員に後ろ姿を見せられること
(2)事業を持続的に成長させるために「マーケティングの能力」があること
(3)トップは長期的な視点で「人づくり」ができること
が必要と思っていました。
しかしこのなかには間違いがありました。
(1)の経営理念はトップに立って長くやっていると字づらだけになったり、理念は唱えていても言っていることとやっていることが違ってきます。
ビッグモーター等の記事を読むと、立派な理念があり毎日唱和していてもトップや幹部によるパワハラが幹部、社員を苦しめているのが現実です。
(2)のマーケティングの能力は大事ですが、経営理念より拡大を優先させるようになると危険です。
「歴史を忘れた民族は滅びる」「創業の思いを忘れた会社も衰退する。」(アサヒビール名誉顧問 中條高徳)
ナンバー2がナンバー2のときはトップが上にいるからトップの方針に従って社員を叱ったり、きつい言葉を言っても部下はついて来てくれます。
トップに直訴すればどうにかなるという期待があるからだと思います。
ところがナンバー2がトップになり、経営方針は自分が決め実行させようとすると、ナンバー2のときと同じように正論を言い、それができないことを責め続けると、社員は病気になるか、辞めるか、パワハラで訴えるしかなくなります。
多くの社員は病気になる前に辞めて行きます。
ナンバー2はトップになれば役割が変わる
トップの器として大事なのは、仕事の能力より「人柄」です。
トップの資質として必要なのは「ガマン」です。
トップになったら、社員にいくら言いたいことがあっても、言葉を選び「ガマン」するという資質が必要です。
この資質がないトップは自分を抑えきれず社員にきつい、きたない言葉を言いパワハラをして有能な社員に退職され、会社は衰退していきます。
ナンバー2がトップになるには自分の役割が変わるのだから、自分の人格を高められる、すなわち人柄のよいトップにならなければなりません。
ナンバー2、幹部がトップになるには人柄が大事だといまさらながら気づきました。
私たち中小企業が育成すべき人間は、自分のために「利」を追う人間ではなく、「信」を大事にする人間です。
「徳」のある人間です。
その育成は、トップやリーダーが後ろ姿を見せることと経営理念、使命感の浸透のために経営計画書による「人づくり」だと確信しています。
しかし、その道程は、担雪埋井であることも覚悟しています。
古田圡 満