『経営目標は1つだけではいけない』 (社長は社員に数字教育をしないと社員に勘違いされます)
月次決算の数字を全社員で共有する
経営計画書の核になるのは、社員の未来像と事業の未来像ですが、私は多くの会社の経営計画書を見ていますが、短期利益計画のみです。
すなわち1年間の利益計画と販売計画です。
社員には数字教育がなされていないので、何故これだけの経常利益を出さなければならないのか、経常利益から逆算して算出された売上高が必達なのか、そして目標売上高を超えると超過額の何%が利益として増えるのか、逆に不足すると不足額の何%が目標利益額より減るのか社員はわかっていません。
社長は社員に本気になって利益計画の達成に取り組んでもらおうとするなら、計画と実績の差をチェックして対策を打たなければなりません。
そのために最低限月次決算の数字を全社員で共有することが大事です。
共有するためには、社員に数字教育をして、社長の説明を社員がわかるようにしなければ社員に勘違いされます。
数字教育の最高の教科書が古田土式月次決算書の未来会計図表です。
この1表だけで十分教育できます。
活用して下さい。
会社の未来を決める戦略 8つの目標
会社の未来を決めるのは、事業です。
短期利益計画のみでは、現商品の現市場に対する計画なので、未来の事業に対する計画がありません。
過去の延長線上に未来はありません。
新規事業こそが会社の未来を決める戦略です。
社長は5ヶ年の中期事業計画を立案し、事業計画として現商品、現市場での5ヶ年計画を策定し、市場の動向を予想し、どの商品が成長し、衰退するのかを計画するとともに毎年増加しなければならない粗利益額を稼ぐために新商品の開発と、新市場の開拓で売上を確保する計画を立てます。
中期事業計画で一番大事なのは、事業計画で次に利益計画ですが、2つの目標だけではP/L中心の計画なので、不十分です。
バランスの取れた未来像は描けません。
この他に3番目の目標として要員計画、4番目に設備投資計画、5番目に資本金計画、この計画では5年後の自己資本比率や純資産額を決め、毎年少しずつ高める数字を計画します。
6番目に、資金計画、現在の預金、借入金を出発点として5年後の目標とする預金、借入金を計画し、この5年間で利益による借入金の返済ではなく、まず貸借対照表(B/S)の体質改善によりどれだけ預金が増え、借入金が返済できるか計算し、足りない分を利益で賄うのが無駄がなく、売上拡大に走らない正しい計画の立て方です。
7番目に生産性、生産性は、1人当たりの粗利益高と経常利益です。
中小企業は、大きくなることより、1人当たりの経常利益が高いことに誇りを持つべきです。
私共のお客様でも1人当たりの経常利益が500万円を超えている会社はいくつもあります。
1,000万円近く稼いでいる会社もあります。
8番目は収益性です。
収益性は損益分岐点比率で評価します。
現在90%とするなら、5年後に80%を目指すという計画です。
経営目標は1つではなく、できれば以上のように8つの目標を掲げることによって、未来が具体的にイメージできバランスのとれた会社になります。
中期事業計画は、古田土会計の経営計画書P48にあります。
是非参考にして下さい。
社員の処遇
もう1つ大事な経営目標があります。
それは社員の処遇です。
P26で⑴高給与を実現するで1,000万円給与を取れる社員の数、30歳での給与、役職ごとの給与の額の目標を明示しました。
⑵時短の目標⑶終身雇用制の約束⑷定年後の働き方⑸第2の人生の目標等を明示し、社員が夢と希望、安心できる未来像を掲げました。
人は目標があるから、努力し、頑張れます。
1つの目標より、8つの目標や社員の処遇を具体的に掲げたほうが目標が実現できる可能性が高いことを私は体験から知っています。
古田圡 満