自己資本比率は50%が目安
中小企業は何故自己資本比率が低いのか
100万分の1グラムの極小歯車を開発した樹研工業の松浦社長は、
「今の月商は前年の半分ですが、この状態があと5年続いたってビクともしません。何しろ自己資本比率が60%もありますから。」
と言っています。
つぶれない会社をつくるコツは財務体質をよくすること。
すなわち、支払手形をなくし、借入金をなくし、お金をたくさん持つことですが、中小企業では、この逆、支払手形あり、借金過多、お金なしの会社が多いのが現実です。
自己資本比率(純資産÷総資産)が10%以下もあり、30%を超えている企業はそれほど多くはありません。
中小企業は何故自己資本比率が低いのか。
それは儲かっていないのと総資産が多すぎることが原因です。
儲かっていないのに、土地・建物、ゴルフ会員権、有価証券等の資産を持っているのです。
儲かっていないということは返済能力のないのだから、本来これらの資産を買えるお金がないのに買えています。
これは銀行が貸してはいけない会社に多額の融資したためです。
これが原因で倒産している会社は意外に多いのです。
会社は儲からなくても倒産はしませんが、財務体質が悪く、お金がなくなれば倒産します。
P/Lではなく、B/Sで倒産します。
強い財務体質をつくるには
ではどうしたら、これから強い財務体質をつくれるかといいますと、B/S中心の経営計画作成です。
自己資本比率50%を達成するためには、現在25%の会社なら、純資産を倍にするのではなく、純資産を半分にする努力をするのが先です。
純資産は税引後利益の蓄積ですから税金を払った分お金が社外に出ていくので、なかなかお金が増えません。
支払手形や借入金を利益で返すのには税金というコストがかかります。
ところが、受取手形・売掛金、棚卸資産等のB/Sの左側の科目を少なくして借入金を返済すると、税金は1円もかからないのでより多くの額を返済できます。
5ヶ年計画の長期計画をつくり、財務体質を改善する
古田土会計グループの自己資本比率は約88%です。
当然支払手形なし、借入金なしですが、
開業以来の方針としてきたのは、本業のみ、不動産は持たない、株取引はしない。動産でも100万円以上のリース。土地、建物は持たないだけでなく、借りるときにも保証金・更新料はできる限り払わない。
巨額のお金を寝かすのはお金の効率が悪く、いざというときに使えないお金が資産にあっても資産とは思えないと思っているからです。
自宅にもお金を使うのはもったいないので、妻の実家に家は私が建てました。
㈱古田土経営では社員が20%株を持っていますが、配当をしたことがありません。
毎年出資額の10%を賞与として払っています。
配当は税引後なので、賞与ならば経費になりますから、お金が内部に残ります。
お金で会社に残すのは、社員と家族を守るためです。
何が起きるかわからないのが経営です。
お金がないいざという時に社員を守れないからです。
私が強欲にならないように全てP/L、B/S、G/Lは公表しています。
理想的なB/Sは、資産別B/Sより作るのが一番イメージがわきます。
資産別B/Sに支払手形ゼロ、借入金ゼロと記入して、その資産をどの科目で調達するのか手書きでシュミレーションするのです。
不用な資産は売却、貸付金の回収、手許預金も減らします。
そして、どうしても足りない分を損益資金である利益で調達します。
5ヶ年計画の長期計画をつくるのです。
少ない利益で財務体質は改善されます。
個人も会社も借金がないと経営は楽です。
古田圡 満