『経営者は数字で語れ』(節税より自己資本の充実)
事業計画に3つの偏りをなくす計画が必要
中小企業の弱点はいろいろありますが、代表的なものに
(1)自社の商品、サービスに価格決定権がないこと
(2)偏っていること
(3)自己資本比率が低く資金が少ないこと
があります。
(1)の価格は、3つの要因で決まります。
①コストから決める
②競争価格から決める
③付加価値から決める
①②は儲からなく、自社に価格決定権がありません。
③のみが価格決定権があります。
今すぐには無理でも将来価格決定権のもてる商品、サービスを開発しなければなりません。
(2)の偏っているとは、3つの偏りのことです。
①得意先が偏っている
②業界が偏っている
③商品が偏っている
今回のコロナにより大きな打撃を受けたのは、この3つのいずれかが偏っています。
事業計画に3つの偏りをなくす計画が必要です。
私共は会計事務所が中心ですので、(3)の自己資本比率と資金について今月のテーマとします。
2つの節税方法
中小企業の自己資本比率が低いことの理由として2つあります。
1つは儲からなかったこと、1つは儲かっても税金を払いたくないために節税をやり過ぎたことです。
問題は後者です。
節税には2つあります。
お金が出ていかなかったり、お金が入ってくる節税とお金が出ていく節税です。
お金が出ていかない節税方法は古田土会計の節税チェックリストに月別に書いてあるので毎月チェックして備えて下さい。
お金の入ってくる節税方法は、売却損を出す固定資産や投資有価証券、ゴルフ会員権、リゾートトラスト等の売却です。
これらの方法は是非実行して借入金を返済して総資産を圧縮して自己資本比率を高めて下さい。
お金が出て行く節税方法として、過度の保険料、レバレッジドリース等があります。
これからの経営では内部留保を高めるために控えるべきと思っています。
自己資本比率は最低30%は必要です。
資金は最低総資産の30%は必要です。
借入金依存度は30%以下が目標です。
内部留保するためには、利益が必要です。
正しい利益とは、何かご存知でしょうか
私は正しい利益とは前年より売上や経常利益が上昇することではないと思っています。
前期の経済情況社内体制、設備情況と今期を比較しても参考にはなりますが、正しくはありません。
正しい利益とは、経営者が作成した利益計画と販売計画です。
計画と実績を対比し、誤差を認識し、対策を打つのが正しい利益の認識です。
利益計画、販売計画を作成していない会社は正しい経営をしていないのではないかと思っています。
古田土式月次決算書の未来会計図に実績の下に計画の数字を入れられるように改良しています。
利益計画は、まず経常利益を決め、固定費を加え、粗利益を算出し、粗利益を粗利益率で割って目標売上高を計算しますが、固定費の中で特に重要なのが、人件費と未来費用です。
これからの時代は、人件費はコストではなく、経営の目的の1つです。
人件費をコストと考えるような経営をしたのでは中小企業では、社員から見捨てられます。
社員のための利益計画、販売計画、利益
経営者は、5ヶ年位の人件費アップ計画を作り、社員に安心してもらい、
人件費がアップすると粗利益もアップしないといけないので
マーケティングや新商品、新市場の開拓をしなければなりません。
社員の給料、賞与をアップし続けるために利益計画、販売計画が必要であり、利益が必要です。
社員のために利益を出し内部留保し、自己資本比率を高めます。
未来費用は利益計画でとても大事な計画です。
内容は、新規事業の開発費、社員教育費、人財採用費等ですが、未来費用は計画に基づいて使われるもので利益が出たから多く使うべきものではありません。
このようなお金の使い方をしていると内部留保ができなくて、自己資本比率が低いままです。
利益が計画より多く出たら社員に決算賞与を支給して、社員の労苦に報います。
社員のモチベーションが上がります。
配分の基準は社員4、税金2、内部留保4です。
経営者は数字に強くなって、数字で語って下さい。
古田圡 満