『締日と支払日を変えると会社は儲かる』（締日と支払日を変えると社員のモチベーションは上がる）
習慣で翌月払いにしていませんか
古田土会計のみのお客様数は約2,700社です。
私は全てのお客様の決算書に署名押印をしています。
私が責任者なので大切なお客様の決算書を見て私のアドバイスできることはないか、決算書に不備がないかチェックするためです。
責任者が自署するのは「私がしっかり見てますよ」ということをお客様に伝えたいためです。
しかし現実には、税務調査で多くの問題点を指摘されています。
私が一番注意して見ているのは、お客様の給与の締日と支払日です。
税務申告において申告書に「法人事業概況説明書」があり、その中に、給与の締日と支払日、買掛金の締日と支払日の記入をしなければなりません。
まず給与の締日で多いのが月末締の翌月10日、15日、なかには25日という会社があります。
給与の支払日は資金繰りに影響するので、預金が少なく、借金が多い会社には勧めませんが、預金が十分にある会社には、翌月払いを当月払いに変えませんかと提案しています。
お客様は習慣で翌月払が続いただけのケースが多いためです。
社員が一番お金が必要な時は、月末とクレジットカードが引き落とされる26、27日なので、理想は25日に支払うことです。
公務員は月末締の当月25日払いです。
「これが理想ですよ」と話をしたら、「今迄は残業手当の計算があるから15日締の25日払いにしていたが、残業手当は翌月に支払えばよいと教わったので月末締の25日払いにする」と言って下さった運送会社の社長もいました。
ある女性社長も20日締の翌月5日払いなのを当月25日払いにすると言ってくれました。
多くの社長は習慣で気づかなかっただけなので、指摘すると多くの社長はよい指摘をしてくれたとお礼を言ってくれました。
まだ財務体質が悪く、資金のない会社は、無理をする必要はないのですが、目指してほしいと思っています。
給料の額だけでなく、支払日も社員にとって大事なのです。
売上割引、仕入割引を検討しシミュレーションする
次に買掛金の締日と支払日についてのアドバイスです。
お客様は会計科目に売上割引、仕入割引があるのをご存知でしょうか。
売上割引とは、約定の支払日より早く支払っていただいたお客様は、支払期間が短縮された期間を計算して割引いて支払ってもらうことです。
仕入割引は約定期間より前倒しして支払った場合に支払額を割引してもらった額です。
2つの科目とも財務なのでP/L上は、営業外損益として表示します。
財務顧問をしているお客様より質問を受けました。
「古田圡さん、うちは今買掛金を3ケ月後に払っていますが、翌月払いにするとどうなりますか。」
社長に聞きました。
「3ケ月後を1ケ月後に払うと何%の割引になりますか」
社長「1%は無理でも0.5%は可能です」
私「1ケ月後に支払うために返済を予定しない短期借入金が18億円必要になりますが何%で借りられますか」
社長「0.5%は可能です」
私「では電卓を用意して下さい。仮に月商10億円粗利率10%、売掛金3ケ月、買掛金3ケ月として、0.5%割引になれば9億円（仕入）×12ケ月×0.005=54百万円になります。
買掛金27億円が9億円になるので返済しない短期借入金18億円の0.5%の年間利息は、9百万円です。差引毎年45百万円のコスト削減になります。」
ある優良会社の決算書を見るとP/Lに売上割引が860万円計上されていました。
資金が十分ある会社なので、「売上割引をやめたら860万円儲かりますよ」とアドバイスしたら社長は「昔は資金繰りが苦しかったから、売上割引をして続いていたが今後は辞める方向で行く」と言ってくれました。
私はお客様のお役に立てたのでとてもうれしくなりました。
お客様に提案します。
売上割引のある会社で資金のある会社は割引をしない資金のない会社は返済しない短期借入金で資金の調達をし、割引をしない。
買掛金が3ケ月位ある会社、支払手形を発行している会社は、手形を現金払いしたり買掛金の支払日を早めた場合に何%の割引が可能なのか検討、シミュレーションして下さい。
電子記録債権、電子記録債務も同じです。
銀行に手数料を払うより、短期借入金のほうが得です。
仕入先には銀行から短期借入金で資金を調達し、仕入先に支払い銀行に払う手数料分を割引をしてもらうと儲かります。
財務を知ると会社はもっと儲かります。
古田圡 満
