クレームとラッキーコール
ラッキーコールに関する方針
私共の経営計画書には「ラッキーコールに関する方針」というものがあります。
「お客様にご不満を与えたすべての事」と定義しております。
平成13年度までは「クレームに関する方針」でしたが、クレームという言葉よりも、ラッキーコールという言葉の方が明るく前向きに、お客様から与えられた貴重な警告、仕事の在り方を我々に反省させてくれる幸運な言葉と受け止められると思ったからです。
電話でも所長「お客様からのクレームですよ」と言われるより「所長ラッキーコールですよ」と言われるほうが素早く対応できると思っていたからです。
クレーム報告書もラッキーコール報告書に換えました。
経営契約書にも次のように書かれています。
一部抜粋すると
- ラッキーコールが発生したら、大小にかかわらず、その場から直ちに上司に報告する。
- ラッキーコールについての責任は一切問わない。ただし報告、連絡を怠った者、方針に従わなかった社員は責任を追及し処罰する。
- 自分がお客様の立場であれば何をしてほしいかを考える
- お客様がもうよいと言われたときが解決したと判断する。お客様はお金のことを言っているのではありません。お客様の傷ついた心をいやしてくれるのを待っているのです。
クレームをラッキーコールと呼称した顛末
ラッキーコールと言っているうちに、自己中心的な自分に都合のよい、甘い考え方になり、本来クレームになることも報告されなくなり、クレームも責任のなすりつけ合いとなってしまいました。
問題が表面化したときには、クレームが報告されていないことを知り、愕然となりました。
ラッキーコールという言葉自体が悪いのではなく、うちのレベルが低かったのです。
クレームというものを、いやなもの、面倒くさいものという考え方が私を中心にはびこり、お客様のことが忘れられていったのです。
クレームは言われる方より、言う方のほうが数倍傷ついているのです。
お金を弁償すればよいというのではなく、そんなことはあたりまえのことで、お客様がこれに対処する時間と回りの人に迷惑をおかけしてお詫びをする苦労、夜も寝むれないほど悩み、心配します。
人によっては体をこわす人もいれば、責任問題となって会社を辞めざるを得ない人もいます。
乱世は敵も味方も組織の中の人間
竹内日照上人の言葉の中に乱世と治世の敵というのがあったのを思い出しました。
治世の敵は外部(同業他社) 味方はお客様。
能力主義集団で思想価値観を共有する必要のない。
乱世は敵も味方も組織の中の人間、思想的間違いを本人が理解できず、それが原因で会社が自らを滅ぼす。
高い価値観の人の集団にしなければならない。
能力がある人が高い価値観の人ではないと。
今は乱世です。
経営者は時代というものをしっかり見つめ、会社、社員を守るために、社内の価値感の共有と内部からの崩壊を防ぐための手を打たなければなりません。
今日も倫理法人会からの記事です。
今月のタイトルに合っています。
古田圡 満