『経営計画の実施は数字教育から始める』 (数字がわからないと経営の役に立たない)
まず一番最初に経常利益を決める
経営計画書には方針編と諸表編があります。
方針編のなかに中期事業計画があり、5年間の事業計画、利益計画、要員計画等の経営目標が設定されます。
短期利益計画では、年間利益計画を作成し、毎月計画と実績を記入し、誤差を認識し、対策を打ちます。
販売計画も毎月計画と実績をチェックし、誤差を認識します。
何故、数字教育が必要かと言うと、誤差の意味を知らない社員がほとんどだからです。
利益計画は、まず一番最初に経常利益を決めます。
売上高ではありません。
税引後利益が自己資本を増やし、内部留保を厚くして、財務体質を強くし、会社を安定させます。
経常利益に固定費(販管費ではありません)を足して、粗利益を計算して、粗利益を粗利益率で割って、目標売上高を計算します。
利益計画は、全部原価計算ではなく直接原価計算によって、経常利益から逆算して目標売上高が計算されます。
数字がわかっていなければ正しい経営判断ができない
目標と実績の差を読むことによって対策を打つのですが、誤差の意味は数字教育をしないと理解できません。
例えば、売上高が目標より1,000万円不足していたら、経常利益はいくら不足するか社員は理解しているでしょうか。
1,000万円不足すると思っている人もいるのではないでしょうか、売上と利益の関係なので、売上高経常利益率が10%なら、100万円と計算する人もいるでしょう。
数字がわかっていないために正しい経営判断がなされていないのが現実です。
利益計画では、売上と粗利益と固定費と経常利益の関係を数字教育しなければなりません。
売上の増減は粗利益の増減となり、固定費は原則として変化しないと仮定して、利益の増減となることを教育しなければなりません。
先の例で、粗利益率が30%ならば、粗利益は300万円減少し、経常利益は300万円減少します。
1,000万円でも100万円でもありません。
社員が数字を理解することによって、目標売上高が単なる目標ではなく、社員と家族を守り、会社を守るための、必達の売上高であることをわかってもらわなければなりません。
社員の数字教育と社長、役員、管理職の数字教育
利益計画の数字教育の最高の教科書は、古田土式月次決算書の未来会計図表と月次推移変動損益計算書です。
この2つの道具を使って社員に数字教育をして、計画と実績の誤差の意味するところを読みとって全社員一丸となって、目標達成に努力していただきたいと思います。
また社員が数字をわかると経営がわかるようになり、成長し、将来の管理職、役員、社長にもなれます。
社員の数字教育は、P/L中心でよいのですが、社長、役員、管理職の数字教育は、P/Lは当然として、B/S、キャッシュフロー計算書、そして資金別B/Sまで読めるようになることです。
中期事業計画が経営計画の核となっているのは、何度も書きましたが、多くの経営者は資金やB/Sがわからないために、事業計画、利益計画、要員計画はあってもB/Sの計画、資金の計画はありません。
経営計画ソフトで5ヶ年の資金運用計画や目標B/Sを作っている計画書もありますが、B/Sも資金のこともわかっていない経営者にそんなものを作成して何の意味があるのでしょうか。
経営計画は実践することが命です。
わけのわからない数字などでどうして計画が実現できるのでしょうか。
経営者はまずB/Sと資金の勉強をしなければなりません。
その教科書は、月次決算書の当月と累計のB/S、C/Fと資金別B/Sです、毎月繰り返し学ぶことによって数字に慣れ、強くなります。
そして中期事業計画に5ヶ年の目標として、自己資本比率や純資産額、預金、借入金の目標を設定します。
数字が基本です。
社員はP/L、社長、役員はB/S、 C/Fと資金別B/Sを理解して、経営計画書を作って下さい。
経営計画書は道具です。
道具の使い方がわからなかったら、経営の役に立ちません。
古田圡 満